小売業を経営する企業の多くは、リアル店舗やECサイト(通販)を運営し、その店舗に訪れる顧客への商品売買にて、収益と情報を得ています。
小売業は売上、在庫をはじめ、販売員の接客にて得た来訪客の情報やECサイトを利用したインターネットユーザーの情報などを得ることが出来ます。
このような情報は小売業の課題や売上向上の解決策の模索に有用なのはもちろん、商品の提供、生産、開発を行なっている企業にとっても非常に価値があります。
特に商品やサービスを企画する企業のマーケティングでは、エンドユーザーとの距離に隔たりがあるため、以前は販売店・サイトが持っているような情報の収集とその絶対量の不足に悩まされていました。
小売業は店舗の運営と販売商品の買付け・仕入れなどが主な業務になりますが、原材料の仕入れから販売まで、企業間の垣根を越えたサプライズチェーンにより、モノ・カネだけでなく、情報も流通する仕組みが導入され始めています。
小売業ではIT化の導入に伴い、販売店でのデータ収集や活用に先んじて取り組んでいましたが、昨今では、小売業向けの情報機器、センシング技術を活用したIoTなどの登場により、より質の高いデータドリブンが実践されています。
小売業では、先だってデータの活用を重視しており、様々なデータドリブンの活用ノウハウの習得や実践に取組み続けています。
小売業では商品を販売する事で収益を得ているため、リード(見込み客)の獲得やナーチャリング(顧客育成)など集客力向上が目的の活動を積極的に行っています。
具体的には、WEBやメディアによる宣伝・広告、オウンドメディアによるリアルで有用な情報の提供などです。
またこれらの施策は、ただ販売者を獲得するだけが目的ではありません。
WEBに公開したサイト、ページへのアクセスやクリック率といった情報を蓄積する事で、インターネット上のリードの動向を把握することでき、また宣伝・広告活動の効果も計ることができます。
そのため集客力向上に繋がった施策であれば成功例とし、またその逆であれば、失敗例としてデータに蓄積する事で、次の宣伝・広告の検討に活用できるようになります。
昨今ではIoTとAIの導入により、リアル店舗に訪れた顧客の様々なデータを自動で蓄積できるようになりました。
例えば、性別、年齢、来店人数、購買履歴、店内滞在時間、行動といったデータを取得し、これらを分析する事で顧客への接客、プロモーション、課題や問題などに効果のある取組みや対策が考えられるようになります。
過去の売上や来客数、天候、季節といったデータに加え、新商品の発売時期、プレリリース・宣伝の開示なども配慮して、データドリブンで分析することにより、リアル店舗や販売サイトの訪問客数が予想できるようになります。
訪問客数の予想は、店舗の人的配置、仕入れなど安定した店舗運営に必要不可欠な分析結果として重宝されています。
在庫管理の精度は小売業の収益に大きく影響を及ぼします。
例えば、商品の在庫を切らしてしまった場合、チャンスロスを招き、得られるはずの収益が得られなくなってしまいます。
またその逆の過剰な在庫は、売れ残りによる廃棄、原価未満までの値下げといった損失を招くことにも繋がります。
商品の在庫、発注は日々の自店舗の販売状況だけでなく、市場の流通状況なども考慮して決定する必要があります。そのため在庫管理では、様々で多量なデータのリアルタイムな分析結果が求められ続けています。
小売業の業務量は、一定ではなく、曜日、時間帯、季節、新商品の販売、プロモーションや広告の効果などによって大きく変動します。
店舗への来客数に対し、スタッフが不足してしまうと十分なサービスが提供できなくなりますし、またその逆に過剰な人員配置は人件費の浪費を招くことになります。
リアル店舗、販売サイトでも必要なときに、必要な人員の配置は安定した運営に必要不可欠です。
シフト表などの作成には、その日に必要な労働力を予想した上で決めなければなりません。
また人員配置などは単純な労働力としてではなく、個人が所有するスキルや経験などに応じて適材適所に配置しなければ、高い効果は得ることができません。
小売業では、人員配置・シフト表作成といった業務プロセスを重要視しており、様々なデータを活用した上で決定するプロセスを導入しています。
IT革命を機に小売業では、本社、店舗、流通との通信インフラが確立し、これまで電話やFAXに頼っていたやり取りがデジタルデータの送受信で行えるようになりました。
また業務の効率を大幅に向上させる基幹システムの導入等により従業員の負担とコストの大幅な削減も実現されています。
ただ昨今の情報化社会では、消費者が求める製品やサービスの情報がインターネットを通じて得ることができるようになってしまい、顧客の行動・心理状態の複雑化が進んでいます。
そのため小売業ではさらなるデジタル化のテクノロジーを導入する事で顧客との距離の解消と競合店との差別化に取り組んでいます。
ビックデータとは、巨大で複雑なデータの集合のことで、データドリブンでは意思決定に必要な分析結果を生成の元になるデータを指します。
ストレージの高速、大容量化、クラウド帯域の向上により、様々なデータの大量蓄積を可能にするビックデータは、データドリブンの基幹技術として、様々な分野で活用されています。
データドリブンは統計学的にアプローチしてデータで根拠を示す意思決定のプロセスです。
そのため意思決定の精度は、分析結果の生成の元となるデータの母数が多ければ多いほど向上することになります。
AI(Artificial Intelligence)とはコンピュータによる言語、画像、音声の理解や推論、問題解決といった知的行動を指し、人工知能とも呼ばれています。
例えば画像による来訪者の特徴の把握、音声の会話のデータ化(テキスト化)などにより、ビックデータに蓄積するデータの価値をより高めてくれます。
IoTは”Internet of Things”の略称でパソコンやスマホに限らず、様々なモノ(機器)をインターネットで繋ぐ技術のことを指します。
センシング技術を備えたIoTは、常にデータを取得しビックデータに蓄積し続ける役割を担ってくれています。
昨今データドリブンで注目されているのが画像解析のテクノロジーで、AIやアルゴリズムの発達に伴い、人間の視覚判断に近い技術が実現しつつあります。
街を行き交う人の流れ、農作物の栽培状況などを静止画や動画から判断することができるようになり、こうした”行動に基づくデータ”がデータドリブンの有用性をより高めてくれています。
小売業のビジネスモデルは複合化、チェーン店化、大型化、施設化などを辿り、またECサイトの併用などにより、変貌を遂げ続けています。
そのため小売業を営む経営者は顧客やテクノロジーの流れに迅速に対応しつつも、新たなスタイルの開拓が求め続けられます。
オムニチャネルとは複数の販売チャネルを活用する販売形態の進化形で、リアルとネットの境界を融合させることを指します。
小売業の多くはリアル店舗とECサイトの販売網を敷いていますが、これらは別事業として運営しているケースが多く、双方が抱える情報が共有できていないのが実情です。
リアル店舗とECサイトが持つ顧客情報の共有は、より質の高いサービスの提供の実現を可能にしてくれます。
例えばリアル店舗で在庫を切らしてしまっても、訪れた顧客にECサイトを利用した購入を提案、代行する事が出来る様になります。
またECサイトの購入履歴を参照する事でより顧客により沿った接客ができるようになったりします。
リアル店舗に訪れることなく自宅から簡単に購買できるECサイトは非常に便利です。
しかしリアル店舗で品物と情報を手に入れた人の口コミやレビューが購買のきっかけになっていることは珍しくありません。
顧客の中には、リアル店舗で実物の質感を確かめ、納得した上で後日、ECサイトで購入するといった購入方法を選択されている方も大勢いらっしゃいます。
昨今の小売業では賃料や人件費を必要最低限にできるネット店舗が増えつつあります。
しかしより大きな利益を生むためには、ダイレクトな顧客との接触は必要不可欠で、リアル店舗の役割は、販売窓口からプロモーション、宣伝・広告、顧客育成、顧客体験価値の場に変わりつつあります。
カスタマーエクスペリエンスとは、商品やサービスを使用した時に感じる心理的・感覚的価値を指します。
顧客の共感や感動を高めたり、驚きを与えたりすることで、顧客満足度を向上させる手法として小売業では注目を集めています。
カスタマーエクスペアリエンスで得た顧客は、物理的・金銭的な価値に囚われにくいため、以下の様なメリットを小売業にもたらしてくれます。
データドリブン化が進む小売業の現状とテクノロジー、そしてこれからの小売業の在り方について紹介させて頂きましたが、現状のお悩みや課題の解決に有用な情報をお伝えできたでしょうか?
最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。
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