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DXの推進力は個人のスキルではなく、組織の総合力で決まる! デジタルリテラシー協議会が考える組織の総合力UPの方程式 by デジタルリテラシー協議会(Di-Lite)

多くの組織がDX推進を掲げ、専任チームを立ち上げたり、さまざまなデジタルツールを導入している。しかし、専任チームや一部の関係者のみが活動し、全社的な取り組みに発展しないという課題がしばしば見受けられる。その背後には、デジタルに対する理解不足や、既存の組織構造・文化とのギャップといった「適応」の難しさがある。では、こうした課題を克服し、社員全体を巻き込みながらDXを推進していくにはどうすればよいのか。デジタルリテラシー協議会(以下Di-Lite)が「デジタル人材育成を加速しよう」をテーマに行ったYouTubeライブ配信から、その解決策を探る。

         

デジタルリテラシー協議会(Di-Lite)主催のYouTubeライブ配信では、同協議会の小泉誠氏と高橋範光氏が司会を務め、デジタル人材育成の重要性と最新動向について詳しく解説。配信は二部構成で進行し、前半ではDi-Liteの設立背景や具体的な取り組みを紹介。後半では「組織のDX推進力」向上をテーマに、企業の戦略的アプローチや実践的な施策について深く掘り下げた。

また、視聴者からのリアルタイムの質問に対し、両氏が即座に回答・解説を行い、参加者との双方向のコミュニケーションをするなどライブ配信ならではのインタラクティブな配信となった。

DXが進まないのは、組織に「デジタルを理解している人」の割合が低いから

DX推進チームがさまざまな施策を試みるも、社内にデジタル活用が進まない。その原因について、「デジタルに無関心な層が多数を占めていること」だと話すのは、高橋氏だ。同氏は組織の「DXの推進力は個人のスキルではなく、組織の総合力が決める」とし、「個」よりも「組織」に目を向けることの重要性を説く。

では「組織の総合力」をどのように測り、高めていくのか。高橋氏は「DX推進力を測る方程式がある」とし、現状の人材のタイプと人数を把握する方法を説明する。

まず、組織内には下記5つのタイプの人間がいるというのが高橋氏の見立てだ。

  • a. デジタルを知らない人材:デジタル用語が伝わらない/効用が理解できない
  • b. デジタルを理解している人材:デジタルについて会話でき、得られる効用を理解できる
  • c. デジタルを使える人材:導入したデジタルツールやソリューションを利用できる
  • d. デジタルを活かせる人材:デジタル活用方法やビジネスを検討できる/適切な判断ができる
  • e. デジタルを作れる人材:デジタルソリューションを開発・導入できる

組織内の人材のうち、何人がそれぞれのカテゴリーに分類できるのかを調べる。そして、「dとeの人材数を掛け算し、cの人材数を足し、aの人材数を引く」というのが、高橋氏の説く「DX 推進力の方程式」だ。

組織のDX推進力の方程式(高橋氏スライドより)

上図の右側「100人の組織の人材内躍とDX推進力」には、5つの組織の例が示されている。例えば、右端の「100人の組織でeカテゴリーの人材が5人、他がaカテゴリーの人材」である組織だと、DX推進力はマイナス95となる。つまり高いデジタルリテラシーを持つ人が5人いても、デジタルを理解していない人が95人いればDXは非常に進みにくい。上位のリテラシー保持者がどんなに頑張っても、である。

一方、その右隣の組織のように、dカテゴリーの「デジタルを活かせる」人材が増えていくと、人数の掛け算で数字が増え、DX推進力は一気に上がる。しかし、あいかわらずマイナス要因のaカテゴリーの人材が大多数を占めると、DX推進力はその分大きなマイナスとなってしまう。

つまり、d、eカテゴリーの人材を増やすことが推進力アップに有効だ。しかしそれには他組織からの人材のリクルート、あるいは自社内での教育によるリテラシー向上が必要となり、これはどちらも困難な道だ。

そこで着目したのが、aカテゴリーの「デジタルを知らない」人材を教育・啓蒙し、少なくともbカテゴリーの「デジタルを理解している」人材にレベルアップしていくことだ。これはDX推進力のマイナス(阻害要因)を減らすことにつながる。先ほどの図でいえば、全社員が「デジタルを理解している」(基礎知識がある)状態になれば、DX推進力はマイナス95や90レベルから、プラス25や65レベルに一気に跳ね上がる。また「デジタルを理解している」人材がさらに勉強・経験を積み「デジタルを使える人材」に成長すると、その人数分だけDX推進力は高まることになる。

つまり、DX推進力はデジタルのプロフェッショナル人材を増やすことよりも、基礎知識のない人材に基礎知識をつけてもらうこと、そして段階的にリテラシーレベルを上げていくことが「組織のDX推進力」を高める上で効果的ということだ。

社員ごとに異なるリテラシーレベルを組織として高める方法

社員ごとにリテラシーレベルが異なる中で、どのように全社的に取り組んでいくべきか。小泉氏は、「全てのビジネスパーソンにITパスポート試験が有用」だと話す。

ITパスポート試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する、IT基礎知識を問う試験である。合格率はおよそ50%以上と、比較的難易度は低く設定されている。

「合格できるリテラシーがあれば、まずは『b.デジタルを理解している』レベルは超えていると考えていいでしょう」と小泉氏。また、次にDX推進力を高める有効な策は、bレベルの人をcレベルに、cレベルの人をd、eレベルに格上げしていくこととなるが、これにはDX推進人材(d、eレベル)を目指した教育・研修・自己研さんが必要になり、「G検定*」と「DS検定 リテラシーレベル*」の合格を目指すことが有効だと小泉氏は説く。

※G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する「ジェネラリスト検定」のことで、ディープラーニング活用のための基礎知識/スキルを評価するもの
※DS検定 リテラシーレベルとは、一般社団法人データサイエンティスト協会が主催しているデータサイエンティストとして「見習いレベル」の知識/スキルを評価するもの

Di-Liteは、「ITパスポート試験」「G検定」「DS検定 リテラシーレベル」の3試験の合格者に対して「DX推進パスポート」と呼ばれるデジタルバッジを無料で発行している(https://www.dilite.jp/passportページより)

高橋氏は、「イメージとして、組織には、言わなくてもやる層が2割、言われたらやる・言われなければやらない層が6割で大多数。最後に言われてもやらない層が2割残る」という。一番効き目があるのが「言われなければやらない層」に「言って」あげることだ。例えば、リテラシー向上を義務化したり、何らかの報奨(インセンティブ)を用意したりすることで、学習へのモチベーションを上げることができる。

「『ITパスポート試験合格』などの出来事があれば、その都度表彰するのも効果があります」と高橋氏。この際、DX推進パスポートバッジを活用することで、DXパスポート3までのコンプリートを目指すことが一つの目安となり、自己評価とモチベーション維持の力になるだろう。

なお、高橋氏は「言われてもやらない層」に対しては、「諦めずにデジタル理解を促す努力が必要」だという。「例えば、生成AIで翻訳や要約などが簡単にできて仕事に役立つことは誰でも分かるでしょう。そのような効果が分かりやすいケースを提示し、aカテゴリーからbカテゴリーの人材に移行してもらえるように働きかけていくのが有効です」。

DX推進がうまく進まず悩んでいる企業は、一度「DX推進の方程式」を用いて自社の現状を試算し、記事内で紹介した3つの試験を組織に取り組んでみてはいかがだろうか。

配信の終盤では、視聴者参加型の質疑応答セッションが展開された。小泉氏と高橋氏は、リアルタイムで寄せられた多様な質問に対し、それぞれの専門知識と豊富な経験を活かした的確な回答。このインタラクティブな対話を通じて、視聴者は自身の具体的な課題に即したアドバイスを得られただけでなく、他社の取り組みや悩みを知ることで、新たな気づきや発見を得る機会となった。


シリーズ第2回目となる次回は、9月19日(木)12時より配信予定。テーマは「ITパスポート試験取得から第一歩を踏み出そう」。なぜITパスポート試験がデジタル人材育成のスタート地点として重要なのか、その理由や最新の試験動向をお伝えします。


https://peatix.com/event/4107828/view

お昼休みにぴったりの30分、カジュアルに学べる内容となっていますので、ぜひお気軽にご参加ください!


本記事は「デジタルリテラシー協議会(Di-Lite)公式YouTube」に配信されたコンテンツを許可を得て掲載しています。(放送日は2024年07月11日)

 

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