時は1992年頃。アメリカのシステム会社が、あるスーパーマーケットのPOSデータを分析したところ、おむつとビールがセットで購入されやすいということが判明しました。
しかし、実際は、おむつ売り場の横にビールを置くことで売上が伸びたというデータはなく、半ば「都市伝説」とされているようですが、このような解析手法はバスケット解析と呼ばれます。
バスケット解析とは一体なんなのか? ITmedia エンタープライズには以下のように書かれています。
データマイニングの利用法の1つで、POSデータやECサイトのトランザクション(取引)データを分析して、“一緒に買われる商品”の組み合わせを発見する探索的データ分析のこと。
データマイニングとは、「数々の統計解析手法を用いて大量の企業データを分析し、隠れた関係性や意味を見つけ出す知識発見の手法の総称、またはそのプロセス」のことです。
マイニング(mining)とは「採掘」という意味であり、文字通りデータから関係性・意味を「掘り起こす」手法を指します。つまりバスケット解析とは、「どの商品とどの商品が一緒に買われやすいか」をデータから分析する手法です。おむつとビールを同じ売り場に置くと売上が伸びるかどうかはさておき、POSなどで蓄積されたデータを分析することには価値があります。
おむつとビールの例以外にも、バスケット解析の例はいくつかあります。
ITmedia エンタープライズの記事によれば、「ジュースとせき止め薬」「化粧品とグリーティングカード」「キャンディとグリーティングカード」など30の組み合わせを見出したそうです。こうして見てみると、意外な組み合わせが多いのがわかりますね。
おむつとビールの関係性については、「夕刻子どものおむつを買いに来た父親が、ついでにビールを買って帰る」というようなストーリーを予想できます。ジュースとせき止め薬の関係性については、「風邪を引いた人が、せき止め薬を買うついでに水分補給のために清涼飲料水や炭酸水を買い物かごに入れる」というストーリーが作れそうです。これらはあくまでも予想ですが、ついでに何を買って帰るのか想像するのは面白いです。
バスケット解析を行うことは、店舗の売上を伸ばすためにも役立ちます。
例えば、同時に買われている商品がある場合、それがおむつとビールといったように極端な例ではないにせよ、関連性のあるもの(スマホケースの近くに充電ケーブルを置くなど)を考慮した店舗レイアウトの設計ができるでしょう。また、商品を陳列する際の棚割りや商品配置などにも応用できます。これを追求することで、顧客のクロスセル(他の商品等をあわせて購入してもらうこと)を達成できます。
またアップセルを考える上でもバスケット解析は役立ちます。アップセルとは、顧客に「より高いものを買ってもらうこと」の意味ですが、例えばハンバーガーチェーンで「50円プラスすればポテトのサイズアップができます」というセットがあったとします。この50円プラスで大きいサイズのポテトを買ってもらうことで、顧客1人あたりのアップセルを達成できます。
最近では、ビックデータ解析の登場によって、膨大なデータを使ってデータマイニングを行うことができるようになりました。
例えばECサイトを利用すると「この商品を購入した人は、こちらの商品も購入しています」というレコメンドが表示されます。これはバスケット解析を利用したビックデータ解析の好例と言えるでしょう。
今後ますます注目されるバスケット解析ですが、我々データ好きにとっては、さらに面白い相関のある商品のペアが出てくることに期待です。
参考記事 バスケット分析とは:何と何が、一緒に買われているのか?を知ろう|データ分析用語を解説 - graffe グラーフ マーケットバスケット分析(まーけっとばすけっとぶんせき) - ITmedia エンタープライズ 商品分析の手法(ABC分析、アソシエーション分析) - データ分析基礎知識 アソシエーション分析とは|用語集|リコーのマーケティング 例えでよくわかる、クロスセル_アップセル _ 東京WEBディレクターズガイド
(安齋慎平)
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