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ここ最近、ニュースで大きく報じられるようになった円安。しかし、円安、と言われてもどの程度高くなっているのか? また、円安が加速すると何が起こるのか? をイメージするのは難しいもの。
今回は、円の価値について、対米ドルの円相場と消費者物価指数、企業物価指数から円の価値の推移を見ていきます。
円の相対価値を見る際に最も重要視される対米ドルの円相場。
戦後から1971年まで大戦後アメリカを中心に為替相場の安定のために固定相場をしいたブレトン・ウッズ体制のもと、1ドル360円固定レートとなっていました。しかし、当時のアメリカ大統領、ニクソンが、既存の世界秩序を大きく変革する方針転換を表明したニクソン・ショックにより、ドル不安が広がり、固定相場の引き下げを経て、日本では1973年より変動相場制が始まりました。
2度のオイルショック(1973年、1979-81年)で足踏みするものの、日本の経済成長とともに1990年代まで円高は加速度的に進みます。
しかし、日本のバブルが弾けたことで、再度円安に転換します。米国の相対的な高成長率と高金利や日本の金融緩和により、円高が進みますが、2010年代に入ると「インバウンド需要」の拡大に伴い一時は過去最も高い76円台まで上がっていきます。
しかし、2010年代後半から再び円安に転じ、2022年新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ侵攻によるインフレーションに対応するためアメリカは利上げに舵を切ります。しかし、日本では、国内の所得が停滞する中で引き続き低金利政策を取ることを決めたことでドルと円のバランスが崩れ、およそ30年前(1991-92年ごろ)の水準まで円安が加速しました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ侵攻に伴う流通の停滞や物資不足によりアメリカをはじめ世界各国で物価がインフレーションする中での円安は見かけの水準よりも低くなっていることが推測され、物価を加味した円の相対的な価値は50年ぶりの円安とも言われています。
ここで、国内での円の価値がどのように変わったのかも合わせて見てみましょう。
円の価値を見るために「企業間で取り引きされる財(モノ)・サービスを対象とした価格」を指数化した企業物価指数と「消費者が購入する財(モノ)・サービスを対象とした価格」を指数化した消費者物価指数の推移を見ます。
最も長く記録されているのが戦前基準指数で戦前・戦後の物価水準を一貫して比較できるようにするため、昭和9(1934)年から昭和11(1936)年までの平均を基準値として換算しています。この指数で100年前と比較すると1921年の1.296に対し、2021年は732.9と、円の価値はおよそ566倍になっています。しかし、1971年の396.8に対し、1921年からの50年で円の価値は306倍になっているのに対し、1971年から2021年の50年間では、1.8倍の成長に止まっています。
企業物価指数は1980年代を境に減少、停滞し、消費者物価指数も1990年代以降停滞が続いているといえるでしょう。
一方で、日本が停滞している中でも、世界では各国が成長をとげれば、相対的に日本の経済的な価値は下がります。
数十年にわたる停滞のまっただなかで、私たちはどのように経済、社会に向き合い、変化させなくてはいけないのか、パンデミックや戦争など、世界がまさに変動する中で改めて考えなくてはいけないのかもしれません。
【参考引用サイト】
・昔の「1円」は今のいくら?1円から見る貨幣価値・今昔物語
・昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか? : 日本銀行 Bank of Japan
・主要時系列統計データ表|日本銀行
・円相場(対ドル)の推移 1973-2002
・1ドル120円「実質50年ぶりの円安」と話題だが…1ドル300円時代と同じって、どういうこと?(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース
・急激な円高はなぜ発生したのか
・円相場 - Wikipedia
(大藤ヨシヲ)
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