About us データのじかんとは?
みなさん、ファッションはお好きですか? その時々の気分や気候に応じて着るものを変えるとテンションが上がるという人も多いのではないでしょうか?
一方で、昨今の物価の上昇や為替の変化で家計を削らなくては、となった時、衣食住の中で削りやすいもの、というと、被服費の部分だったりもしますよね。
今回は、コロナ禍を経て、日本を取り巻く経済状況が変わる中、ファッションという切り口で市場がどのように変化してきたのか、そしてファッションの中心にいる若者の意識はどのように変わっているのか、をデータで見ていきます。
まずは、ファッション業界全体の市場規模についてみていきましょう。矢野経済研究所が行っている国内アパレル総小売市場規模の調査データが以下になります。
2020年、コロナ禍により、2019年と比較し、81.9%という大規模な市場縮小が起こりました。
この背景には、外出自粛に伴い、百貨店や専門店の多くが休業となったことや、外出の機会が減ったことでファッションを楽しむ機会が減ったこと、などがあると考えられます。
その翌年の2021年には、外出自粛の頻度や期間が減ったことで、百貨店、専門店の売上は若干回復したものの、増加率は101.3%となっています。こうした中、アパレル市場全体でOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)戦略が加速しているといいます。EC販売・利用はコロナ禍を経て拡大したものの、市場をコロナ禍以前に戻すには至っておらず、ファッションに欠かせない体験を後押しするリアル店舗との連動の必要性がより実感されているといいます。
コロナ禍というイベントがアパレル業界に与えた影響の大きさが見えてきましたが、さらに俯瞰してみるとより長期的なアパレル市場規模縮小が見えてきました。
2021年12月の経済産業省の繊維業界についての説明資料によると、1991年には14.7兆円あったアパレル業界の市場規模は2010年代には約10兆円まで減少し、およそ30年間で市場規模が2/3まで縮小しています。
こうした背景には繊維技術の発達や流通の効率化、ECによる販路の拡大により単価を下げれるようになったことなどがあると考えられます。
一方で環境や社会の持続性を考慮すると、大量生産・大量消費についても見直さなくてはならない、という部分もあります。そうした中で市場規模を単に拡大させることだけでなく、適量生産・適量供給を意識し、市場の未来を描いていく必要があるのかもしれません。
今後のファッション業界を考える上で欠かせないのが、若年層の存在です。
20代、30代の女性を読者にもつウェブメディア「4MEEE」が読者を対象に行った「コロナ時代のお金の使い方アンケート」によると、全体の半分に当たる48.9%がコロナ禍によって被服費の出費が減少したと回答しています。この傾向は冒頭で紹介した市場規模のデータとも整合的です。
では、若年層の人々はファッションをどのように捉えているのでしょうか?
博報堂DYメディアパートナーズがコンデナスト・ジャパンと共同で行った「『ミレニアル世代』のファッション・ブランド意識調査」によるとミレニアル世代のファッション意識には以下のような特徴があったそうです。
そうした中、ファッション購買額が高いミレニアル世代の層をラグジュアリーミレニアルズと定義し、今後のファッションを支えるベンチマークの一つとしてその特徴を以下のようにまとめています。
さらに、その中で年間50万円以上ファッション購買をするミレニアル世代を「スーパー・ラグジュアリーミレニアルズ」と定義し、ブランド意識などを深掘りした結果、好きなブランドを知った時期について、65%以上が高校生以下と回答しており、SNS利用の拡大により、コンシューマージャーニーが若年化したといいます。
市場規模は縮小傾向にあっても若年層のブランド意識は高まる傾向があるのが意外な気がしますね。
経済・環境・社会と様々な要因が絡まり合い、ファッションへの向き合い方は刻一刻と変わりつつあります。そうした変化をとらえる一つの要素として、今回はファッションにまつわるデータをまとめました。気になるデータがあればぜひ深掘りしてみてください!
(大藤ヨシヲ)
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