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ちょびっとラビット耳よりラピッドニュース #054:ギャグと真剣は紙一重!?大阪万博の「ミライ人間洗濯機」が想像以上に胸アツだった件

         

まいどどうも、みなさん、こんにちは。

わたくし世界が誇るハイスペックウサギであり、かのメソポ田宮商事の日本支社長、ウサギ社長であります。今週は高市早苗さんが自民党の第29代総裁に選ばれたり、田園都市線で事故で止まっていたり、秋深し、なはずなのに暑い日が続いたりと日本列島は大わらわでしたが、わたくしもそれなりにおかげさまで多忙にしておりました。

どんな多忙かと言いますと、なんとわたくし、終了間際の大阪万博の方へ少しばかり潜入させて頂きまして、現場の雰囲気を五感フル回転で味わって参りました。幼い頃から、「世界の国からこんにちは」の曲と岡本太郎氏の作品である太陽の塔のインパクトが脳に刷り込まれているせいで、大阪万博というとなんとなく懐かしい感じがするのですが、実はわたくし当時はまだ生まれておりませんでしたので、この懐かしい気持ちも実は単なる錯覚なのですが、とにかくEXPO2025をこの目で見てきたことは事実であり、今回は万博の数ある展示の中でもかなり注目されているかの「人間洗濯機」についてお話してみようかと思っております。

人間洗濯機で人生が変わった一人の少年

今回展示されていたのはサイエンス社のミライ人間洗濯機というものですが、この原型となるのは1970年大阪万博に展示されていた、当時の三洋電機(いまのパナソニック系列)が開発したもので、当時の万博ではかなり話題となっていたそうです。「超音波で身体を洗う」「人を洗う機械をつくる」など、そのコンセプトからしていかにも未来的で、そもそも洋服を洗う洗濯機というものがこの少し前までは憧れの存在だったこともあり、当時は2025年には一般にも普及するテクノロジーなのでは、と思われていたことでしょう。ところがどっこい、日本では人間を洗うどころか食器を洗う食洗機もそれほど普及していない、というのが現実なわけであります。

しかしながら、1970年の大阪万博を訪れたことにより人生が変わってしまった当時小学校四年生だった一人の少年がいました。その少年の名前は青山恭明(やすあき)と言いました。大阪市東成区のお寺の次男として生まれた彼は人間洗濯機を見て衝撃を受け、自分はこれを完成させ、世の中に普及させたい、という夢を持つようになりました。そして、やがて彼は大人になり、その夢を実現すべく、2007年に彼は株式会社サイエンスという会社を設立したのです。

株式会社サイエンスの立ち上げからミラブルの大ヒットまで

サイエンス社は「水と空気の力を科学する企業」として浄活水装置、マイクロバブル入浴装置など、水に工夫を凝らして人の体を綺麗にすることにとことんこだわった商品を開発し、少しずつ事業を拡大させていきました。サイエンス社は水の中でも「泡」というバブリーな技術に注目しており、石鹸などを使わずにファインバブルと呼ばれる極めて細かい泡を使って洗浄する研究をとことん突き詰めていったのです。ファインバブルとは直径 100 μm(= 0.1 mm)未満の泡のことで、さらにその中で 1 μm 未満の泡を「ウルトラファインバブル(UFB)」、1-100 μm のものを「マイクロバブル」と呼ぶそうです。ウルトラファインバブルに至っては小さすぎて見えないレベルなのだとか。

サイエンス社は創業から2012年くらいまではマイクロバブルに特化した技術を武器とした製品を開発していました。サイエンス社の初期の主力製品が「ミラバス(Mirable Bath)」と呼ばれる商品で、浴槽に毎分数万個のマイクロバブルを生成させ、泡の力だけで肌の汚れや老廃物を浮かせて落とすという技術を一般家庭向けに提供していました。この頃から、「泡で洗う」「泡で温まる」という新しい入浴文化の提案を始めたそうです。しかしながら、欲しいと思っても浴槽を設置するのはなかなかハードルが高い上に、ミラバスを愛用している人から、浴槽につからない顔や髪の毛などもマイクロバブルで洗浄したい、という声が高まったことからミラブルというシャワーヘッドが開発されたそうです。

しかもその頃にはバブルをより細かく作る技術が安定してきていたため、サイエンス社は「ウルトラファインバブル(直径1μm未満(0.001mm以下)」を洗浄に活用し始めます。発売直後からその1ccあたり約2000万個のウルトラファインバブルを含むシャワー水流の洗浄力と「油性ペンが落ちる」というテレビCMのインパクトが話題となり、2024年までに累計販売数150万台を超える大ヒット商品となったのです。

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「人間洗濯機は万博の目玉になる」:大人になった青山少年は再び大阪万博へ

そして、2025年に万博が大阪で開催されることが決定すると、青山氏は1970年に小学校四年生だった自分が感じた万博の感動を思い出します。当時、自分が見て衝撃を受けた人間洗濯機の最新型を2025年の万博に出展し、当時の自分が体験したような感動を今の子供たちにも与えたい、と青山氏は考え、6年前に万博への出展を決めました。しかし、万博への出展には莫大なコストがかかります。コスパを考えるとどう計算してもペイしない、と社内からは反対の声も上がりましたが、人間洗濯機は万博の目玉になる、という確信を彼は持っていました。

「スマートフォン」「回転寿司」「缶コーヒー」「ウォッシュレット」などの原型となったテクノロジーは55年前の万博で初めて紹介され、今では当たり前の存在になっていますが、この人間洗濯機は当時あれほど話題になったにも関わらず今も普及していないテクノロジーの象徴のような存在でした。半世紀以上の時を経て、再び大阪の地で開かれる万博で紹介することで人間洗濯機の普及を加速させたい、そして、泡の技術だけで、石鹸などを使わなくても、こすり洗いをしなくとも、いや、石鹸のように毛穴に残るものを使わない方が、こすり洗いをして肌をいたずらに傷付けないほうがより肌の健康を保てることを多くの人に知ってもらいたい、という青山氏の固い決意により、この展示は実現し、そして、その万博会場で、それを偶然目にした決して少年ではない一羽のウサギにしかすぎないわたくしのギザギザなハートは人間洗濯機という一見ギャグかと思うようなコンセプトとは矛盾しているとしか思えない技術力の高さと、青山氏の関西人特有のマシンガントークおよびその奥底にあるパッションによって鷲掴みにされ、その結果としてここに一本の記事が生み出されたわけであり、これを読んでいる方々はその結晶を目撃している証人である、ということになるわけであります。特にミラブルの開発秘話として語られていた、ミラバスを愛用していた人たちがこのバブルの効果を顔や髪にも、という気持ちが高ぶるあまり、息を止めて頭から水に潜ることを繰り返していた、という衝撃的な事実がアンケート調査の結果判明し、ミラバスユーザーの方々がそんなことをしなくても顔や髪に使用できるように、とシャワーヘッドが開発された、という話はあまりにも面白すぎるエピソードでありました。ギャグと真剣は紙一重だということを改めて感じた次第です。

まとめ

図らずもわたくし、つい2週間ほど前に高圧洗浄機なるものを初めて入手致しまして、ケミカルではなく水の圧で汚れを落とす、という概念にいたく感動したばかりでしたので、まだメタルスライムすらもやっつけたことがないこの界隈の知識レベル2くらいであるにも関わらず、いきなりラスボス的存在である人間洗濯機に遭遇してしまった感じになってしまい、さすが万博!とそのレベルの高さに感動したわけでありますが、会場はめちゃくちゃ混雑していたため移動するにも非常に体力を消耗する上に時間もかかり、ほとんどのパビリオンは予約制となっており、そもそも並んでも入れない状態でしたので、ほんのちょっと会場の雰囲気を味わっただけではありました。一応、こういうビッグイベントは行っておきたいミーハーな部分もあるわたくしですので行けて満足でありましたが、その一方で、全体的な印象としては「めちゃくちゃ混んでるハウステンボス」という感じでもありました(笑)。

万博という非日常を後にし、帰り際に大阪駅で白い恋人の公式パチモンである「面白い恋人」とウイングアーク社員であり、かつてのミスターデータリンピックである吉田さんを彷彿とさせる「太郎サブレ」をお土産として購入し、その後新幹線に乗ってわたくし、恥ずかしながら現実世界に帰ってまいりました。

ちなみに、万博に展示されているミライ人間洗濯機はなんとほぼほぼそのままで発売されることになったそうです。おそらく一億円程度で販売されることになるかと思いますので、ちょっと買ってみた、という方はデータのじかん編集部までその感想をどしどしお寄せください!あと関係ないですが、「世界の国からこんにちは」の歌をフルコーラスで歌うと「こんにちは」が35回も出てくるそうです。あのレベルの強烈なインパクトは今回の万博にはなかったように思いました。

そんなわけで、また再来週の水曜日にお会いしましょう。ちょびっとラビットのまとめ読みはこちらからどうぞ!それでは、アデュー、エブリワン!

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(ウサギ社長)

 

参照元

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