24時間営業のコンビニ、大型ショッピングモール、注文後翌日には自宅に配送される通信販売……。そんな便利な生活を支えているのが「物流」です。
しかし、一方で日本は高齢化社会が進み、労働人口の減少が問題視されています。もちろん物流業界も例外ではありません。特にトラック運送業に関しては、積載効率の低下、多頻度小ロット化、ドライバーの荷待ち時間や附帯業務の増加といった問題が顕在化。それに伴い、施設内の労働者および配送に関わるトラックドライバーの人手不足が顕著になっています。
現在物流が停滞してしまうと、日本経済は大ピンチに陥る。それは明白です。
JILS総合研究所が行った「職種別に見た労働力不足の問題意識」というWebアンケートによると、トラックドライバー、庫内作業担当者が人手不足であると考えている人が多く見られます。
また、「企画・計画」が不足しているという回答も多いことから、現場だけでなく管理側の業務でも労働力不足となっていることがうかがえます。
一方で、物流施設のニーズは高まっています。賃貸型の大型物流施設の需要が増えており、2018年から2019年にかけて、既存施設の約4割ほどの床面積が新たに供給される見込みです。
EC事業が拡大する日本において、物流施設の必要性が高まっているのは事実。それに伴い、施設の供給が増えているのもわかります。しかし先述の通り、物流業界は慢性的な人手不足。トラックドライバーはもちろんのこと、物流施設で働く人も不足しています。
つまり、働き手がいない状態のなか物流施設だけが増えている状態。供給過多になっていると言えるのです。
そのような状況では、ただ大型の物流施設を作ったからといっても、テナントが埋まるという保証はありません。さまざまな付加価値を付けることで、物流施設側も生き残りを図っています。
物流施設に特化した不動産開発や運営管理を行う日本GLPは、2018年3月に同社の集大成とも言える物流施設「GLP流山」を竣工しました。
入口を入ると管理センターがある。ガラス張りで管理センターの様子が見えるようになっている。
GLP流山は、同社のフラッグシップモデル。3棟建てになっており、総延床面積は約10万坪。その広さは日本最大級です。
GLP流山の模型図も設置されている。
常磐自動車道の流山インターチェンジすぐそば、都心から約25kmという立地条件は、物流センターとしては好条件。免震構造となっており、災害時の被害も最小限に抑えられるようになっています。
しかし、ただ利便性が高く広い物流施設というだけではありません。これまでの物流施設にはない特徴を多数備えた、最新の施設となっています。
広々としたトラックヤードを備えているのはもちろんのこと、ガス・水道を完備。また、冷凍・冷蔵設備にも対応しており、単純に倉庫としてだけではなく、リペアセンターやプロセスセンターとして稼働させることも可能です。
また、共同荷受システムを導入。トラックドライバーの荷受け時の待ち時間を削減することにより、効率のよい物流を実現しています。
倉庫部は開口部を全面シャッターにすることで、庫内移動をスムーズにしており、効率的なオペレーションが行えるようになっています。
共同荷受システムは、配送や集荷に来たトラックドライバーが共同荷受室で、荷捌き所の空き状況を確認できる。
共同荷受室にあるタブレットでテナントごとに受付が可能。受け付け可能状態になったら倉庫側からドライバーのスマートフォンなどに通知できるので、ドライバーはその間、建物内のカフェテリアなどで休憩することが可能だ。
各荷捌き所の状態はモニターで確認できる。待ち時間の可視化により、集荷・配送の効率化につながる。
倉庫内は大型シーリングファンを導入。このファンは従来の空調設備に比べランニングコストを約98%削減。夏場の暑い時期でも快適に労働できるよう配慮されています。
業務が行いやすい倉庫にすることで、労働者のストレスを大幅に軽減しているのが、GLP流山の大きな特徴です。
広々とした倉庫スペース。ガスや水道が使えるほか、冷蔵・冷凍設備を使用することも可能。
広々とした倉庫スペース。ガスや水道が使えるほか、冷蔵・冷凍設備を使用することも可能。
GLP流山は、物流業界での大きな問題である「人材不足」にも積極的に取り組んでいます。まずは、働きやすい環境の構築。1階と4階にカフェテリアがあり、庫内の従業員やドライバーがゆったりと休憩をすることができます。自動販売機はもちろん、コンビニも敷地内で営業しています。
カフェテリアは1階と4階にある。4階のカフェテリアは畳のところがあり、ゆっくり足を伸ばしてくつろぐことができる。ただし宿泊はNG。
1階にはコインラインドリーや宅配ボックス、シャワー室も完備。24時間稼働が前提の物流業界において、これらのサービスの需要はかなり高いと思われます。
宅配ロッカーがあるため、自宅にいなくてもこちらで荷物を受け取ることが可能。
通勤する人たちのために、駐車場を454台完備しているほか、専用無料送迎バスも運行。路線バスも運行されており、通勤しやすい環境となっています。
また、広い敷地内を移動するためにレンタサイクルや、近隣への移動に使えるカーシェアリングサービスも行っています。
広い敷地内の移動に使えるレンタサイクル。
そして、敷地内に託児所があるのも特徴。小さな子どもがいても、安心して働くことができる配慮がされています。
流山市公認の保育所を完備(有料)。20〜30人ほどの子どもを預かることができる。
ほかにも、入居企業向けの給油所があり、一般のガソリンスタンドよりも安い価格で給油できるようになっています。
また業界初となる人材派遣事務所を施設内に設けています。急な労働力確保が必要な際に、迅速に依頼ができます。
物流施設を作ることで雇用の創出をすることはもちろん、入居企業の従業員が快適に働ける環境を整えることで労働力の流出を軽減させるのが、GLP流山の新しい取り組みと言えるでしょう。
GLP流山は、365日24時間物流機能を途絶えさせないために、さまざまな対策が行われています。
建物は免責構造となっており、地震に対する建物の揺れの強さは、従来の建物の約4分の1に低減。これにより、庫内の荷物の倒壊や破損を最小限に抑え、震災後の補修などを大幅に軽減。また、緊急支援物資や復旧物資の物流拠点として機能させることも可能です。
また、非常用発電機を3日間稼働させるための燃料を確保しているほか、GLP専属の燃料車両を有しているため、有事の際にも各拠点へ燃料を速やかに配送。物流機能をできる限りストップさせない体制を整えています。
今回、GLP流山を訪れて感じたことは、「最先端の物流施設」ということ。物流を円滑に行うためのさまざまな機能を有しているのはもちろんなのですが、働く人に対する配慮が行き届いているという印象です。
建物屋上にはソーラーパネルを設置。太陽光発電により発電をし、一部を還元。GLP流山I・II占有部の電気代削減に一役買っている。
このような施設は、テクノロジーによって働き方を変え、労働者の負担を軽減しようという傾向になりがちですが、GLP流山の場合は、もっと「人」に近い部分での働き方改革を進めているように思います。
日本の経済を支えるインフラである「物流」は、24時間365日、絶え間なく稼働するのが当たり前のものとなりつつあります。
しかし、そのためには乗り越えなければならないものがあります。そのうちのひとつが「労働力」。テクノロジーだけでは決してフォローできないものです。
そこに注力したのが、GLP流山です。ある意味、これからの物流施設のニュースタンダードであると言えるのではないでしょうか。
(取材・TEXT・PHOTO:三浦一紀)
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