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オーストラリアにおけるオープンデータのリスクとベネフィットのバランス:STR社CEOスティーブ・ハルス氏を取材

         

Steven Hulse(スティーブン・ハルス)

Space-Time Research Pty Ltd(STR) CEO
STRは、オーストラリアのメルボルンに本拠を置き、世界中の政府や企業のデータの調査・分析・活用を支援しているリーディングカンパニー。CEOのスティーブン・ハルスは、Oracle、IBM、Singtelを経て、ビジネスインテリジェンス(BI)の分野で幅広く活動している。

STRのビジネスの概要を教えてください



STRは、30年にわたり、世界有数の統計機関、政府機関、民間企業に、データを活用するツールとソリューションを提供してきました。我々は、情報やデータの検索、整理、共有方法を変え、その過程をよりシンプルで安全なものにすることで、情報の高付加価値化を図るための支援をしてきました。

当社のSuperSTARシリーズは、ノンコーディング、ノンプログラミングで利用でき、専門的な知識を持たないユーザーでも、データの検索や視覚化が簡単にできるように設計されています。また、複雑なシステム管理は不要で、個人情報やプライバシーを確実に守りながら、機密性を保った情報共有が実現できます。専門的なビジネスリサ―チから膨大なデータを扱う国勢調査まで、その結果の収集・分析・共有を可能にします。

どのようなユーザーで、どういった目的のために使われているのでしょうか?


我々のクライアントは、主に、政府系機関となります。

例えば、オーストリア統計局(Australian Bureau of Statistics:ABS)は、30年以上にわたって当社のソリューションを使っていただいているロイヤルカスタマーです。また、我々のWeb共有プラットフォームは、国勢調査やオーストラリア統計局などのデータを共有しており、その他にも、ヘルスケア、観光、教育業界などの分野も網羅しています。オーストラリア国内に強いプレゼンスがあることはもちろん、ヨーロッパや、直近ではアメリカの国勢調査でも、我々のサービスが選ばれました。イギリスの労働局では、安全保障のベネフィットデータの分析・共有のために、我々のサービスが利用されています。

オーストラリアでは、オープンデータのリスクとベネフィットのバランスをどのように保っているのでしょう?

 

日本では国が保有しているデータの活用に対しては、懐疑的な意見もあるようですね。我々の顧客も、データを安全な状態で、オープンにすることは、大きなチャレンジだと捉えています。この点は、日本と同じです。オープンデータを取り巻くトレンドは、オーストラリアも世界中の国々も同様で、自分たちが持っているデータの真の価値に気づき始めています。データの持つ潜在的なポテンシャルは巨大で、それはオープンにすることによって引き出されると考えています。つまり、オープンデータは以下のような形で提供されるべきだと考えます。

  • ユーザーが、自身の疑問に答えられるぐらい、可能な限りフレキシブルに
    単なる、統計レポートや集計結果だけではNG

  • 誰でもアクセスできる専門家だけしか利用できないのではNG

  • 個人情報は別で扱う⇒リスクを完全に切り離す

そのために、我々は、「Perturbation」という革新的で洗練されたアルゴリズムを開発しました。この「Perturbation」は、企業や組織に詳細、かつインタラクティブなデータをオープンにしつつ、データセットの中にある個人を特定できる情報の漏えいリスクを回避しています。

業界をリードしてきたリーダーとして、近年のデータにまつわる環境について、どのように感じていますか?

データ事業者の間では、当社の「SuperWEB2」のようなプロダクトのニーズは随分前からありました。しかし、特にここ数年のオープンデータ・ムーブメントの盛り上がりに関して特筆すべき点は、市民が、政府や行政との関係性におけるコンタクトのしやすさをより強く求め始めていることです。

Excelファイルで行政がデータを共有する時代は終わり、ユーザーは、インタラクティブにWebやAPIを通してオープンデータを活用し、SNSで簡単にデータ分析によるインサイト(気づき)を共有できることを期待しています。単に、データを眺めるだけでは、データは付加価値を持ちません、それを分析して、結果をシェアし、活用する、そこまでできて初めて付加価値を持つのです。それをワンストップでできる仕組みが求められています。我々は、専門家だけではなくより多くの人々にとってデータが扱いやすくなるよう、直観的なUIを提供し、オープンデータを可視化させることで、これまで気づくことのできなかったようなインサイトやデータの付加価値を引き出していくために、ユーザー視点からの改善に日夜取り組んでいます。

データとの付き合い方という視点で、日本市場で感じることはありますか?

欧米各国ではオープンデータに関する政策を推進しており、行政や自治体のサービスをより快適にしたり、それを企業や団体が利用し新たなサービスを産み出したりすることが一般化してきています。日本でも、国が保有するデータを無償で利用できる「DATA GO.JP」や今年5月に施行された改正個人情報保護法など、官民問わずデータの利活用を推進する動きが見られ始めていますね。一方で、こういった動きに、安全性や信頼性の面で多くの人々が懸念を抱いているのも事実ではないでしょうか?

だからこそ、日本で、我々のサービスをご紹介できるのを楽しみにしています。我々の提供する、データを集め安全に共有することのできるプラットフォームは、ユーザーが最も懸念するであろう安全性と信頼性において世界中で選ばれている実績を持っています。オープンデータ技術は、日本の行政やユーザーにさらなる価値を提供し、そこから新たな気づきを引き出す大きなポテンシャルを秘めていると信じています。

英語原文 / 日本語訳記事

取材・TEXT・写真:野島光太郎

STRは、データを分析、可視化、オープン化するツールを通して、人々にデータの価値を最大に引き出すことを得意としています。データを通して、その真の気づき、インサイトを得ることは、より確かな決断と効果的な判断の礎になります。言葉を変えれば、あなたがすでに保有しているデータを価値ある資産に替えることもできます。
スペースタイムリサーチ社

 

STRは、データを分析、可視化、オープン化するツールを通して、人々にデータの価値を最大に引き出すことを得意としています。データを通して、その真の気づき、インサイトを得ることは、より確かな決断と効果的な判断の礎になります。言葉を変えれば、あなたがすでに保有しているデータを価値ある資産に替えることもできます。
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