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なぜ、今注目される?IoT・AI・ビッグデータを活用するための課題と世界の潮流

         

ビッグデータがもたらすイノベーションとエコシステムへの流れ方

「良質で大規模なビッグデータによって様々なイノベーションがもたらされています。その背景にあるのが機械学習の技術にともなって、驚くほどのスピードで進化するAIの存在です。

例えば東京大学の中山英樹氏の論文「深層畳み込みニューラルネットワークによる画像特徴抽出と転移学習」によれば2015年のGoogleの画像認識のエラー率は4.82%となっています。これは人間の画像認識のエラー率5.1%を超える数値で、AIが人間よりも高い精度で画像を認識する結果となっているのです。また音声や文字画像のテキスト化も従来は人間が手間をかけて入力しなければなりませんでしたが、AI技術が進化したことにより驚異的なスピードでテキスト化できるようになりました。

Amazonでは「Amazon Mechanical Turk」として、クラウドソーシングで労働力を提供しています。例えば「製品を見せるのに最高の画像を一連の画像から選択」する画像処理、「電話帳のディレクトリリストの重複排除」するデータ検証、「ウェブサイトのレビュー、説明、およびブログ投稿を書き込み」する情報収集などの業務をオンデマンドで利用することが可能です。Amazon Mechanical Turkの特徴はコンピュータプログラムだけでは難しいタスクを人間の力と組み合わせて短時間、低コストで行えることにあります。このようにかつては人間にしかできなかったタスクをAI技術またはAI技術+人間の力で行なうことで短時間でしかも高い精度で行なうことができるようになりました。

しかしこのような技術革新は1つの企業の研究や開発だけで行なうのは難しいでしょう。そこで注目されているのが、複数の企業がパートナーシップを組んでお互いのデータや技術を活かしながら共に成長する「エコシステム」です。今後は業界の枠を超えたエコシステムでイノベーションが加速することが予想されます。

【引用元】
 ・東京大学中山英樹氏
  深層畳み込みニューラルネットワークによる画像特徴抽出と転移学習(PDFファイル)Amazon Mechanical Turk

スケーラブルなデータ分析に対応するための世界の潮流

ビッグデータを的確に分析してビジネスに活かすためにはスケーラブルなデータ分析体制が欠かせません。そのためにはデータサイエンティストを確保することが必要になります。しかしデータサイエンティストへのニーズが高まる中、日本では25万人が不足する見通しです。求人募集を行なっても応募はあまり期待できないでしょうし、応募者のデータ分析スキルを判断することも簡単ではないでしょう。

そこで注目されているのが「Kaggle」のように企業とデータサイエンティストをつなぐプラットフォームです。Kaggleでは企業が分析してほしい課題をコンペ方式で提示し、それに対して多くのデータサイエンティストが分析を行なうということが可能です。企業にはたくさんの分析モデルの中から最適なものを選択できるというメリットがあり、AmazonやFacebookなどの企業もKaggleを利用しています。Googleは2017年3月にこのKaggleの買収を発表しました。その際の基調講演で「Google CloudはAIを民主化する」と語り、「計算能力の民主化」「アルゴリズムの民主化」「データの民主化」「才能の民主化」の4つで誰もがAIを使える未来を目指すと発表しました。本格的なIoT・AI・ビッグデータの活用はまだ始まったばかりといえます。ライバルに先がけて取り組むことで、市場で大きな優位性を獲得することも期待できるでしょう。

【引用元】
 ・日本経済新聞 
   http://www.nikkei.com/article/DGXNZO57421630X10C13A7EA1000/
 ・日経ビジネスオンライン 
   http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/030900184/

お話をお伺いしたDataLover:
齊藤 秀(さいとう・しげる)さん

株式会社SIGNATE/シグネイト
代表取締役社長CEO/CDO
十数年にわたりバイオ・ヘルスケア領域を中心に幅広い業種のデータ分析・共同研究・コンサルテーション業務に従事。 2013年2月 日本初のデータ分析コンペティションサービスを設立。 2013年12月 株式会社オプトにてAI/ビッグデータ研究開発組織、データサイエンスラボ設立。2018年4月 株式会社SIGNATE/シグネイトを設立。代表取締役社長CEO/CDOに就任。
SIGNATE(旧DeepAnalyitics)(https://signate.jp)にて、多数の企業・行政のデータ活用コンペティションを実施。 様々なデータサイエンス・AIプロジェクトにおいて、企画・データ取得・分析・モデリング・運用まで幅広く支援、AI人材育成・採用サービスを展開。
【政府のデータ活用やAI人材育成等の委員活動】
経済産業省 政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備に関する検討会 委員 未来投資会議 第4次産業革命 人材育成推進会議 第1回講師 自民党教育再生実行本部 第2回成長戦略のための人材教育部会講師 【AI関連の研究・教育活動】 筑波大学人工知能科学センター 客員教授 理化学研究所 革新知能統合研究センター 客員研究員 国立がん研究センター研究所 客員研究員


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