About us データのじかんとは?
「女性の活躍」という言葉を聞いてどんな姿が思い浮かびますか?
バリバリ正社員で仕事をして、家事や育児もバッチリこなし、年老いた親族のサポートも欠かさない、なんでもできるスーパーウーマン?すごいですね。
しかし、実際にそれを自分がやると考えるとどうでしょうか?週に5日、8時間、仕事に追われ、家に帰れば、家事や育児が待っており、たまの休日には両親や義両親など年老いた親族のサポートが要請される……。こんな想像したとき、背負うものが多いこの人生を幸せ、と素直に享受できる人はどのくらいいるのでしょうか? 私は無理です。
しかし、お金があれば問題は解決します!
乾燥機付き洗濯機や食器洗浄機、ロボット掃除機で家事が時短できたり、育児のためにシッターさんを雇ったり、親族のためにヘルパーさんを派遣したり、さらに不労所得なんてあったりしたら、そもそも働かなくても良いかもしれませんね。
つまり、「活躍する女性」としてキラキラ生きるためには資本家になればよいのです!
しかし、労働世代の日本人女性の年収の中央値は272万円、つまり女性の半分以上が年収300万円未満という現状を鑑みるとこれってなんだかおかしくありませんか?一人の女性が輝くために雇われるシッターさんやヘルパーさんといった役割は一体誰が担っているのでしょうか?
余裕を持って仕事や家事をしてライフプランをこなすことは、ごく一部のお金がある、あるいはお金を稼ぐことができる女性だけにあたえられた特権でしかなく、大半の女性は苦労をしてライフプランと仕事の兼ね合いに悩みながら生きていくほかないのでしょうか?
労働者の一人として、仕事やライフプランに思い悩んだことがある、そんな人にぜひ読んでほしいのが、『99%のためのフェミニズム宣言』( シンジア・アルッザ、 ナンシー・フレイザー、 ティティ・バタチャーリャ、訳 惠 愛由)です。
リーン・イン・フェミニズムに対する私たちの返答は、キック・バック・フェミニズムである。飛び散った破片の片づけを圧倒的多数の人々に押しつけてまで、ガラスの天井を打ち破ろうとすることに興味はない。役員室を占拠する女性CEOたちを賞賛することはおろか、私たちはCEOと役員室自体を撤廃したいのである
『99%のためのフェミニズム宣言』( シンジア・アルッザ、 ナンシー・フレイザー、 ティティ・バタチャーリャ、訳 惠 愛由)
今作はタイトルの通り、フェミニズムという切り口から社会を構成する99%の労働者に向けて発信されたマニフェストです。
日本国内でも2015年9月に女性活躍推進法が交付・施行されるなど働く女性への視線が熱くなる中、フェイスブックのCOOであるシェリル・サンドバーグによる『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』が広く読まれるようになり、女性の昇進を妨げる「ガラスの天井」を打ち破り会社の中で昇進を遂げ資本を手にする、というのが目指す未来として掲げられるようになりました。
もちろん男性と同じように働いて同じ給与をもらうというのは「同一労働同一賃金」の視点から見てごく当たり前のことです。
しかし、これまでの歴史を振り返って見て、高い役職で給与は高いが部下も多く、責任も大きい男性、に「育児、介護や家事をこなす余裕」が与えられてきたことなどあるでしょうか?大抵は、専業主婦の配偶者がいたり、シッターさんやヘルパーさん、家事代行など、家事やライフプランは資本で解決されてきました。このなかで、専業主婦の配偶者やシッターさん、ヘルパーさん、家事代行として働く人は、無休、あるいは低賃金で育児、介護、家事といった「社会的再生産」に従事する必要があります。資本家が女性に置き換わったとしても、この構造は変わらないでしょう。
では、一体なにが問題なのでしょうか?
江戸時代の家事、を思い浮かべるとなんだかすごく大変そうですよね。洗濯板で一つ一つ洗濯物をこすり、料理は火をくべるところから。新鮮な食材を保存できるよう加工しなくてはなりません。
今はさまざまな家電があり、洗濯はボタン一つ、コンロで一瞬で火が付き、保存したい食材は冷凍庫へポイと入れるだけ!
では労働は?
一説によると江戸時代の一般市民の代表格である大工職人は一日4時間労働、武士は一勤二休(1日仕事したら2日休み)だったそう。それなのに、江戸時代と比較し、機械や通信技術、流通路が大きく発展した現在、多くの人が週に5日、8時間働かないと「食っていけない」のです。
それでいて昨今は労働の時間を埋めるためだけの無意味な仕事、「ブルシット・ジョブ」が話題になり、自覚的にブルシット・ジョブをしていると感じている人も少なくありません。
その背景には、資本主義が加速する中、人間の時間を含め、ありとあらゆるものが、資本で売買されるようになったことがあげられます。資本で取り扱われる範囲が増えれば増えるほど、社会において「人間がいかに暮らしやすいか」より「いかに資本を増大できるか」という軸で意思決定がなされることが増えていくのです。
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