ランチェスター戦略におけるゴールは「強者(圧倒的No.1)」になることと定められています。具体的には市場シェア41.7%が安定的シェアの目安です。
この基準は、ランチェスター戦略を体系化・発展させた田岡信夫氏が社会統計学者の斧田太公望氏と導き出したマーケットシェア理論に基づいています。マーケットシェア理論から導き出されたマーケットシェアの7つの目安値は以下の表の通りです。
シェア(%) | 補足 | |
---|---|---|
ゴールの上限 | 72.9 | これを超える一社独占は安全とはいえない |
地位安定の目標 | 41.7 | 多くの企業が目指すべきゴール |
強者の最低条件 | 26.1 | まだ逆転される可能性は少なくない |
上位グループの仲間入り | 19.3 | 複数企業が拮抗していることが多い |
市場全体に影響するように | 10.9 | 競合他社に存在が認められる |
市場への影響力を失う | 6.8 | 市場撤退の目安値といわれている |
市場参入の第一歩 | 2.8 | まだ存在価値はほとんどない |
最後にご紹介する戦略は、市場シェアを伸ばすにあたって足下の敵(そっかのてき)を標的とすべきだというものです。足下の敵とは、基準とする項目において自社よりも少し下に位置する相手を意味します。
戦闘において勝ちやすいのは自分よりも力の劣る相手です。特に自社よりも少し劣る相手であればその売上を奪うことで、シェアを伸ばしつつ安全圏を広げることができます。
基準とすべき項目は市場規模に限らず、販路、地域、ブランド力、顧客など多岐にわたります。
ランチェスターの原点は第一次世界大戦時、イギリスのエンジニアF.W.ランチェスターが発見したランチェスターの法則です。
ランチェスターの法則は先に紹介した以下の2つ。
ランチェスターの法則の研究は第二次世界大戦時、アメリカ軍によって進められより細かく戦闘力を分類するランチェスター戦略方程式へと発展しました。その理論は戦後ビジネスへの応用も進められ、フォルクスワーゲンのカナダ進出などに貢献することになります。
ランチェスター戦略を体系化し、日本に広めたのが前述のコンサルタント折口信夫氏。彼の伝えたランチェスター戦略は、ソフトバンク、H.I.S、京セラなど多くの日本企業に広まり産業界の発展に貢献し続けています。
ランチェスター戦略の骨子と成り立ちについてご紹介しました。孫子の兵法など過去の軍事戦略が現代のビジネスに応用される例は数知れません。ランチェスター戦略も同様に、現代のビジネスで参考にすべきひとつの方向性を示してくれます。
新しい市場でどう戦っていくのか迷ったとき、このランチェスター戦略を思い出して見てください。
(宮田文机)
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