「見える化」という言葉は、企業経営や情報システムで良く使う言葉です。
この「見える化」という言葉の意味は、企業のなかにある「ヒト、モノ、カネ」の状態を正確に把握することです。経営者が意思決定をしなければならない場合や、事業部門の管理者が計画作成や実行指示をする場合に、必要な情報がいつでも入手できるようにすることです。
「見える化」することにはたくさんのメリットがあります。
「見える化」することで、これまでは担当者ごとに持っている情報やデータの精度、鮮度がバラバラでしたが、“必要なときに、必要な情報を簡単に入手”できるようになります。BIツールを導入して、社内外のデータを一括管理して全社で共有する手段で実現できます。
こうした「見える化」のBIツールは、経営層や管理者層から現場担当者層へ着実に広がっています。経営者向けや管理者向けのBIは既に普及していて、ひと段落した感がありますが、それはオフィス内だけです。工場や製造ラインなど製造業の生産現場や、アフターサービスなどのフィールドサポート拠点では、ほぼ全ての情報がExcelや紙で管理されているのが現実です。
その理由は、工場やフィールドサポートの現場で必要な情報が最近のデータだけではなく、5年前10年前の過去データに多いからです。特に製品の品質管理データや、日々の実績報告、仕入先ごとロットごとの実績データなどはExcelで作成してこれを毎週、毎月まとめるという作業が一般的です。つまり、現場には日々新しいデータが蓄積されていますが、これを情報として利用するまでにタイムラグが生じます。せっかく精度と鮮度が高いデータがExcelや紙となって死蔵されてしまっているのです。
また、新しいシステムを作っても、このシステムには古いデータが入っていなければユーザーにとってなんのメリットもありません。しかし、必要になるかもわからない膨大な過去データに対して、わざわざ費用を掛けて新しいシステムに全て移行する手間やコストを掛けることができないという理由で、結果としてExcelを使い続けるということになります。
製造業の「見える化」は、オフィスでは普及していますが工場やフィールドサポートではほとんど普及していない理由がここにあります。 工場の「見える化」を実現することができれば、不測の事態やトラブル時にお客様へ迅速な対応が可能です。日々の作業報告や実績データを、タイムリーかつ効率的に共有することができます。
また、膨大に蓄積されたデータを、最新のBIツールや人工知能で分析すれば新しい知見や発見を得られるでしょう。例えば、不良品の発生原因が特定の製造設備と材料の組み合わせで頻発することや、製造設備の稼働ムラがライン担当者の習熟度に左右されるなどがひと目で分かるような「見える化」が可能となるのです。
ヤマハ株式会社では、工場の生産性向上と速やかな情報共有という問題に対して、その弊害を解消するためにBIツール「MotionBoard」を導入しました。これによって、『生産性』『品質』『非生産時間』の3つの観点で、生産実績情報を日次ベースで参照できるようになりました。Excelで月次報告書を作ることに要していた月間約50時間の間接工数がゼロとなり、時間と手間を大きく削減することに成功しています。
このように、製造業の「見える化」のテーマが、オフィスから工場へ移ってきていることを示しています。工場など現場の情報を共有するメリットは、次の通りです。
後編ではこうした工場の「見える化」が製造業のメインテーマになる理由と、その具体的な管理手段についてご紹介いたします。
後半の記事はこちらからどうぞ!
[著]Wingarc1st Official The BLOG編集部
本記事はウイングアーク1st株式会社の運営するThe BLOGに掲載された記事を許可を得て掲載しています。
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