無性に炊き立てのご飯が食べたいときってありますよね。コンビニ弁当のご飯ではなく、電子レンジで手軽にチンできるパックご飯でもなく、自分で炊いたほかほかご飯が。
とはいえ、仕事で帰りが遅くなった日に、「今からお米研いで炊くか」という気にはならないのが現実ではないでしょうか。疲れてお腹が空いているのに、お米研ぎって何の罰ゲーム? と思うのが人情というもの。
そんなときの強い味方が「無洗米」。文字通り洗わずに炊けるお米です。興味はあるけど実態が分からなくて、何となく試す気にならない。そんな方のために、この記事では便利な無洗米にまつわるあれこれを余すところなく紹介します。
そもそも無洗米はなぜ研がずに炊けるのでしょうか?
お米を研ぐと水が白く濁りますよね。この濁りはお米に付着した「肌ヌカ」が原因で、きちんと取り除かずに炊くと雑味の原因になります。この肌ヌカを精米過程であらかじめ取り除いたお米が、無洗米です。
現在最も普及している無洗米の製法はBG精米製法。BGとは「ブラン(Bran)=ヌカ、グラインド(Grind)=削る」の頭文字で、特殊な機械でお米からヌカを削り取る手法です。
その他にも
– 米に少量の水を加え、タピオカに付着させて取り除く「NTWP(タピオカ式)」
– 水で洗い落とし短時間で乾燥させる「水洗い式」
などの製法がありますが、無洗米市場ではBG精米製法が70%以上のシェアを占めています。
無洗米の一番の魅力はもちろんお米を炊く時間を短縮できること。しかしその他にも意外なメリットがあるんです。
無洗米って人工的で美味しくなさそう……というイメージがありませんか? 実際、一昔前に筆者が食べた無洗米はリピートなしを即決するほどの微妙さでしたが、農学部出身でお米関係の仕事をしている友人によると、「精米技術が劇的に進化してるから普通に美味しい」とのこと。
それどころか、手で研ぐと肌ヌカが残留しがちだったり、お米のうまみ層を壊しがちなところ、無洗米はその心配がないため普通のお米より美味しい、という声も。鮮やかな形勢逆転ですね!
お米3合を研ぐには、平均約4.5リットルの水が必要だそう。毎日お米を炊くとすると、1年で1600リットル以上の水を捨てる計算です。各家庭がこの水を節約できたら、地球にとても優しいですよね。
無洗米市場で主流のBG精米製法は、工場でもとぎ汁の工業廃水を出しません。水質汚染の心配がないばかりか、下水処理に必要な資源や、CO2排出量も節約できるわけです。
天災時に断水が起こり節水を迫られる場面でも、研がずに炊ける無洗米が活躍します。また、アウトドアの際にも手間と水が省けて嬉しい限り。
余談ですが、無洗米は戦前の陸軍でも「不洗米」として試用されたことがあるそう。確かに戦場は無洗米が大活躍しそうな状況ではありますが、普及には至りませんでした。コスト面や味に問題があったのでしょうか。
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