ITコンサルタントとは、ITによって企業の課題を解決する専門家です。ITコンサルタントは、企業の経営戦略に沿ったIT戦略の立案、ITシステムの提案、ITシステムの開発・導入までの支援などを行います。ITシステム開発の上流工程を担う職種であり、年収も高いイメージがあることから、ITコンサルタントになるにはどうしたらよいのか知りたい、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ITコンサルタントの仕事内容や年収、関連資格、ITコンサルタントが「やめとけ」と言われる理由、ITコンサルタントに向いている人の特徴などについて解説していきます。
ITコンサルタントの仕事内容・年収、求められる資格などについて解説します。
ITコンサルタントの役割は、企業の経営課題をITによって解決することです。ITコンサルタントの具体的な仕事内容は、企業戦略に基づいた経営課題のヒアリング・分析、課題を解決するためのITシステムの提案、提案内容に基づいたシステム開発プロジェクトの統括などになります。
そのため、ITの知識に加えて企業経営に関する知識、ロジカルシンキングやコミュニケーションスキルなど、コンサルタントとして必要な素養も備えている必要があります。
なお、仕事内容を聞くと、ITコンサルタントはプログラミングができない人でもなれるのか、と疑問に思うかもしれません。結論を言うと、ITコンサルタントにプログラミングスキルは必須ではありません。ただし、プログラミングスキルがあるほうが、業務の幅は広がります。
ITコンサルタントの平均年収は、2017年の経済産業省の調査によると928.5万円となっています。これは他のIT関連職種と比較しても高い給与水準となります。ITコンサルタントの年収が高い理由としては、求められるスキルレベルが高いこと、コンサルティングファームは実力主義であるため、年齢に関わらず高年収となり得ることなどが挙げられます。
また、ITコンサルタントはフリーランスとして活躍することも可能です。経験やスキルにも左右されますが、フリーランスとして年収1000万円を超える報酬を得られることも珍しくありません。ITコンサルタントは、会社員・フリーランス共に高い年収が期待できる職種といえるでしょう。
引用:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017)
ITコンサルタントとして求められる能力は多岐にわたるため、関連する資格も多数存在します。ここでは特に関連性の高い、代表的な資格を4つ紹介していきます。
資格名 |
資格種別 |
資格概要 |
ITストラテジスト |
国家資格 |
企業の経営戦略に基づいて事業の改革、高度化、最適化を実現するための基本戦略の策定・推進ができる人材であることを認定する資格。 |
プロジェクトマネージャ試験 |
国家資格 |
IT戦略を実現するためのシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクト計画を策定し、プロジェクトを主導的に推進できる人材であることを認定する試験。 |
中小企業診断士 |
国家資格 |
企業経営のコンサルティングを行う能力を認定する試験。IT分野の資格ではないが、ITコンサルタントとして企業経営に関する知識は欠かせないため、関連性が高い。 |
ITコーディネータ |
民間資格 |
ITと企業経営、双方の知識を持ち、IT戦略の構想立案からシステム導入・評価改善までを一貫して推進・支援し、IT経営とDXを実現するプロフェッショナルであることを認定する資格。 |
ITコンサルタントはIT系における代表的なキャリアパスですが、しばしば「やめとけ」と言われることもあります。そこでITコンサルタントの注意点などについても解説します。
ITコンサルタントが「やめとけ」と言われる理由の1つ目は、1人あたりの業務範囲が広く、多忙なイメージがあるからです。
ITコンサルタントの担務はクライアントとのコミュニケーション、企業の情報収集・分析、提案書の作成、プレゼンテーションの準備など多岐にわたります。また、社内でプロジェクトを組んで業務にあたることになるため、メンバー同士でのコミュニケーションやフォローも欠かせません。
それらの業務が重なると仕事量が一時的に増えるため、実際に多忙になりやすい職種であるといえます。
ITコンサルタントが「やめとけ」と言われる理由の2つ目は、クライアントの要求レベルが高く、要望に応えていくのが大変だからです。
ITコンサルタントに仕事を依頼する企業は、一般的に高額の費用を支払っているため、質の高いアウトプットが求められます。また、経営層を相手にコミュニケーションを取る場面も多く、常に高い目線で仕事をしなければなりません。
アウトプットが要求レベルに達していないと、クライアントに納得してもらえない場合もあるため、プレッシャーにさらされながら仕事をすることになります。
ITコンサルタントが「やめとけ」と言われる理由の3つ目は、常に勉強し、新しい知識を身につけなければいけないからです。
これまでも述べたように、ITコンサルタントとして求められる知識は多岐に渡ります。さらに、常に最新の市場動向を把握し、最先端のIT技術を駆使しながら企業の課題解決にあたることが求められるため、日々の勉強が欠かせません。
勤務時間内だけでなく、プライベートの時間も割いて新しい知識を吸収するモチベーションが必要となります。
ITコンサルタントのは「やめとけ」と言われる一方、非常に魅力的な職種であり、キャリアの目標に定める人も珍しくありません。ITコンサルタントの仕事の魅力と適性のある人について再確認しましょう。
ITコンサルタントの魅力・メリットの1つ目は、仕事のやりがいが大きいことです。
ITコンサルタントは企業の経営課題に関わる仕事であるため、課題を解決に導けたときは大きな達成感を得ることができます。
また、そのようなプロジェクトは社内外への影響力が大きいことが多く、自身の携わった案件が企業の業績を左右したり、社外から注目を集めたりすることもあり、他の職種では得られないやりがいを感じることができるでしょう。
ITコンサルタントの魅力・メリットの2つ目は、世の中の最新のテーマに関する仕事に携われることです。
例えば、最近であればSDGsやDX、データの高度活用などのテーマについて、AI、XR、IoTなどの技術を活用しながら企業の課題解決を図るなど、ITコンサルタントには時代の最先端をいく提案が求められます。
常に最新の情報をインプットしておくのは大変ですが、身につけた知識をすぐに実践で活かせることも、ITコンサルタントの魅力のひとつといえるでしょう。
ITコンサルタントの魅力・メリットの3つ目は、将来のキャリアの選択肢が豊富なことです。例えば、以下のようなネクストキャリアが考えられます。
近年はIT人材が不足しており、なかでも企業経営とITの知識を併せ持つITコンサルタントはニーズの高い職種です。そのため、将来的にどのようなキャリアを選択しても、市場で求められる人材になれるでしょう。
ITコンサルタントに向いている人の特徴は、課題解決にやりがいを感じ、知的好奇心が旺盛な人です。
他にも、コンサルタントに必須のスキルであるロジカルシンキング、コミュニケーション力、プレゼンテーション力に加えて、粘り強さ、プロ意識、成長志向などを持つ人はITコンサルタントに向いているといえます。
ITコンサルタントは、多忙なイメージや仕事へのプレッシャーの高さから「やめとけ」などと言われることもありますが、実際はやりがいやメリットも多く、魅力的な職業です。
もし将来的にITコンサルタントになりたいと考えているのであれば、今から必要な知識やスキルを蓄え、ITコンサルタントを目指すための準備を進めていきましょう。
著者:羽守ゆき
慶應義塾大学を卒業後、大手IT企業に就職。システム開発、営業を経て、企業のデータ活用を支援するITコンサルタントとして10年超のキャリアを積む。官公庁、金融、メディア、メーカー、小売など携わったプロジェクトは多岐にわたる。現在もITコンサルタントに従事するかたわら、ライターとして活動中。
(TEXT:羽守ゆき 編集:藤冨啓之)
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