About us データのじかんとは?
オープンデータ推進で大きな障壁となるのが「官民のデータ連携」である。先に登壇した平本氏も「いまだデータをどのように活用したいか、そのストーリーができておらず、大きなビジネスにまで直結した事例は少ない」と指摘した。
その解決策ともなる官民共同の「データポータルサイト」のテーマで登壇したのは、京都市 総合企画局情報化推進室統計解析担当の井上 景介氏、そしてANNAI株式会社 代表取締役の紀野 恵氏の2人だ。
「京都市では,2011~2020年の10年間,「はばたけ未来へ!京プラン」(京都市基本計画)を推進中です。同プランの後半5年間に取り組む具体的な事業などを示した「実施計画第2ステージ」の中でも,オープンデータに関する事項が記されており,2016年9月にはガイドラインを策定。同年11月に京都市オープンデータポータルサイト「KYOTO OPEN DATA」を開設しました」(井上氏)
2017年8月22日現在、同サイトにおけるデータセット数は237、データリソース数は8,000を超える。サイト内では「観光・産業」「文化・芸術」「安心安全・防災」「子育て・教育」「環境・まちづくり」「市政情報」の6領域ごとに、京都市に関係するオープンデータが公開されている。
「KYOTO OPEN DATA」には「検索のしやすさ」「プレビュー機能の充実」といった特徴があるが、中でも注目すべきは「データのAPI化」だ。その詳細について、Webシステム開発会社として、エンタープライズ向けCMSのDrupalをベースにつくられたオープンデータ公開支援ソリューション「DKAN」を使い「KYOTO OPEN DATA」の開発を手がけたANNAI株式会社 紀野氏が解説する。
「プログラマーがデータを使うときには、PDFやCSVといった形式のままでは使えず、API化しなければいけません。さらにいえば、そのデータをビジネスにまで発展させられる、はたまたソーシャルにもつながる状態にするということが最重要課題です」(紀野氏)
紀野氏が指摘するとおり、自治体の各部局が保有する多くの“データ”の形式は、PDFやXLSが一般的。これは「オープンデータの5つ星スキーム」における1つ星、2つ星に当たる。オープンデータとして利活用させていくには不十分であり、CSV形式(3つ星)あるいはRDF形式(4つ星)への変換、さらには最高位(5つ星)である「LOD(Linked Open Data)」(ほかのデータとの連係しやすい状態)の構築が求められてくる。これに対しKYOTO OPEN DATAでは「1ページ=1つのLODデータ」という考え方により、データ公開ページの情報(データセットのメタデータ)が、RDFやJSONなどの形式でもデータを出力・提供が可能となっている。
こうしてポータルサイトとしての利便性を高めることにより、
KYOTO OPEN DATAからは、現在地や主要駅周辺から公共施設(保育所・学校・福祉施設など)を検索できる「findfacility」(アプリ提供元: 福野 泰介氏)、京都に点在する石碑・道しるべを巡る「いしぶみアプリ」(アプリ提供元:京なかGOZAN)など、京都という土地の“強み”を生かした数々のアプリが開発・リリースされた。さらには京都大学 工学部情報学科の授業の一環として、KYOTO OPEN DATAを用いたオープンデータ分析「データ分析結果発表会」が行われているといい、今後もさらなる展開が期待されている。
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