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ちょびっとラビット耳よりラピッドニュース #033:「知らないことの力」を知らないなんてMOTTAINAI

         

まいどどうも、みなさん、こんにちは。

わたくし世界が誇るハイスペックウサギであり、かのメソポ田宮商事の日本支社長、ウサギ社長であります。あまりにも寒い日が続くので、こんなことならいっそ冬眠してしまえばよかったと思うこともあるのですが、2月も後半に入り、寒い中にも日中の日の光に少しずつ春の兆しが感じられるような気がしております。トランプ大統領が就任して以来、問題発言とも思えるような言葉の羅列がニュースのヘッドラインを飾ることも多いですが、とりあえず戦争はやめよう、という強い姿勢と紙ストローは使用するに耐えない、と多くの人が言いにくい本質をスパッと言い切ってしまうところにはなんだかんだ言いつつ共感を覚える部分もあったりします。石橋を叩いて渡るどころか、石橋を叩くことに対する国民の意見をヒアリングしようとするばかりの石破氏に見習ってもらいたい部分もあるのではないかと、わたくしはウサギながらに感じております。

さて、先週先々週とAIの話題を取り上げてきたので、AIの話ばかりではなく、そろそろニンゲンというかヒューマニティー、もっと言うと生きとし生けるものに共通するようなお話を取り上げてみようかと思います。やはり、人がやるからこそ意味があるものに「スピーチ」というものがあります。何を言っているのか、というのも重要ですが、誰がどういう文脈でそれを言っているのか、というのも同じくらい重要であり、そのタイミングがうまく噛み合った時にそのスピーチは感慨深いものとなり、人やウサギの胸を打つわけです。

有名なものではキング牧師のI Have a Dreamのスピーチや、スティーブ・ジョブス氏がスタンフォード大学で行った「ハングリーであれ。愚か者であれ。(Stay Hungry. Stay Foolish)」のスピーチがあります。そして、最近わたくしがいつものように目を皿のようにして記事ネタをリサーチしておりましたところ、昨年度のハーバード大学の卒業生が行ったスピーチがまことにもって素晴らしい、という噂を聞きつけました。さっそくYouTubeで検索して拝聴してみたところ、これが噂に違わぬ心打つものであったので、これを一人でも多くの人に聞いてもらいたいと思い、ここで紹介してみることに致しました。

これは、ハーバード大学の首席卒業生であるシュルティ・クマールさんがハーバード大学の卒業式で行った「知らないことの力(The Power of Not Knowing)」と題されたスピーチで、彼女たちはまだまだCovidが猛威を振るっていた2020年に入学し、ウクライナでの戦争、そしてガザでの戦争などが立て続けに起こる不安定な世界情勢の中でのキャンパスライフを過ごし、この4年間、さまざまな恐怖と向き合ってきたわけです。その彼女の力強い言葉と堂々としたその立ち振る舞いは見事としか言いようがなく、自分が記事ネタ探しの最中であるということをうっかり忘れてしまうほどわたくしは感動してしまったわけです。内容についてダラダラと説明することもできるのですが、それだとせっかくの素晴らしいものを台無しにしてしまう気しかしないので、とりあえず下の動画を見ていただきたいと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、ハーバード大学というのはマサチューセッツ州ケンブリッジにある世界最高峰の大学であり、たとえば、フェイスブック(現在META)の創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏の母校でもあります。ハーバード大学を卒業した、というと世界のどこに行っても一目置かれるほどの超ハイレベルのインテリ学校でありますが、その知性の象徴とも言える大学の卒業生が「知らないこと」という一見、知性の反義語のような言葉を使っているところがとても印象的で、それを終盤にかけて綺麗に伏線回収していく術は見事としか言いようがありません。そして、現在の世界を象徴するような言葉ちらほらと散見されているのも見逃せないポイントです。例えば、ドキシング(Doxing/Doxxing)という単語がスピーチの中で使われますが、これは特定の人物に関する情報をインターネット上に晒す、というサイバー犯罪を意味する言葉で、10年前にはまだ存在していなかった言葉ではないかと思います。わたくしが現役の大学生ウサギだった頃には確実にまだなかった言葉であり、それがスピーチの中に平然と登場したことがわたくしのウサギ耳にはとても新鮮にかつ印象的に響きました。

また、「Civil disobedience」という言葉もスピーチ内に出てくるのですが、これは「市民的不服従」という日本語では聞きなれない言葉になります。これは「国家や政府の行為が不正であると自分の良心が認めた場合に、法律を破ってでも抵抗する思想や行動」などを意味しており、誰がなんと言おうとよくないものはよくない、と言い切り、かつそれをなんらかの行動で意思表示すること、つまりこれは言論の自由そのものであり、ある意味アメリカを象徴するような言葉であるとも言えます。日本では熱として感じにくい国際問題の数々、そしてアメリカ国内の問題の数々に自ら行動を起こしてきた生徒たちからの熱い言葉がこのスピーチには刻まれており、あまりの感動に3回ほどリピート再生してしまったほどでした。アメリカにいるとどこの国の問題であろうと、その国にルーツを持つ人が割と身近にいたりするわけなので、ガザの問題しかり、ウクライナの戦争しかり、かなり自分ごととして向き合ってきた感もこのスピーチにリアルさをもたらしている一因であるように思います。

そして、このスピーチの首題である、「知らないことの力」というのは、わたくしたちがいかに多くのことを学ぼうと努力し、知識の剣で問題と向き合ったところで、知らないことがなくなるわけではない、という前提に立ち、未知との向き合い方を知ることこそが本当の知識なのではないか、という、なんだか私は私が何も知らないということを知っているので、何も知らないといいつつ何も知らないというわけではない、ということを同時に証明している、というソクラテス的な話でもあり、ただのレトリックではない現代の社会の地面を踏みしめて一歩ずつ進もうとする一人の女性の言葉でもあり、久しぶりにスピーチの力というものをダイレクトに感じ、周りから見るとウサギが寒さで震えているようにしか見えなかったかもしれませんが、心地よい感動に打ち震えたので、今回はこちらを取り上げてみました。年甲斐もなく、言葉の力の素晴らしさを再認識させてもらいました。アメリカの社会情勢的な背景がわからないと難しい表現や内容もあるかとは思いますが、そこらへんの説明はこちらのnoteの記事に結構詳しく書かれていたのでこちらも合わせて読んでみてくださいませ。

そんなわけで、今週は「知らないことの力」という2024年のハーバード大学の卒業式で届けられたスピーチをピックアップしてみました。VUCA時代を生き抜くヒントがふんだんに詰まった内容なのではないかと思います。原文を読みたい方はこちらからどうぞ。スピーチの最後でシュルティ・クマールさんはエミリー・ディキンソンの「Not knowing when the Dawn will come, I open every Door.(夜明けがいつかはわからないけれど、私は全ての扉を開く) 」という言葉を引用しておりましたが、せっかく扉があっても開けてみなければそれは壁と変わりないわけです。そこに扉がある時はとりあえず少しの好奇心を持って開けてみる、という気持ちをいつまでも忘れずにいたいものです。知らんけど(笑)。(←これぞ関西風、知らないことの力。)

そんなわけで、また来週お会いしましょう。ちょびっとラビットのまとめ読みはこちらからどうぞ!それでは、アデュー、エブリワン。

(ウサギ社長)

 

参照元

・Shruthi Kumar ’24, Senior English Address: “The Power of Not Knowing” | Harvard Magazine ・Harvard grad who went off script to address Gaza protests said she quietly revised her speech last minute | NBC News ・【世界情勢理解】2024年ハーバード大学首席の卒業式スピーチ『知らないことの力』【英語スピーチ】 リスニング 日本語字幕 世界情勢理解 | YouTube ・the Power of not knowing!!~ハーバード大学 卒業生スピーチ~ | wish

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