みなさんは「基本情報技術者試験」という国家試験をご存じでしょうか?
2023年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の経営戦略として一層重要となる中、基本情報技術者試験の重要性も増しています。この試験はIPAが実施している情報処理技術者試験のうち、「ITを利活用する者」を対象とする「ITパスポート試験」に対し、「情報処理技術者」を対象とする基本的知識・技能の習得が目的の試験です。
近年、AIやIoTの普及に伴い、情報技術の知識が求められる職種が増えてきました。就職を控えた理系の学生、現職のS/W、H/W系のエンジニア、マネージャーが合格しておいて損のない国家試験であることから、毎回5万人以上が応募しています。特に、DXを推進する企業の中で、この資格を持つ者は大きなアドバンテージを持つと言われています。
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基本情報技術者試験とは、情報処理の促進に関する法律第29条第1項に基づき経済産業大臣が行う国家試験の情報処理技術者試験の一区分で、合格者は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けた者」として認定されます。
デジタル化が進む昨今において、パソコンや情報技術の知識や技能を効率よく習得できることから、多くの企業では、採用時の選考、社内教育、昇格の要件などに基本情報技術者試験を活用しています。理系の専門学校・大学の学生、H/W・S/W・ITを開発・使用する企業に従事する従業員は合格しておくことで、就職・転職・昇格・人選等でアドバンテージを得ることができます。
筆者が身を置いていたエンジニアリングの業界では、昇給や一時金の支給といった恩恵やスキルアップの向上にもつながることから特に若手を中心に、本試験の合格に向けた学習に多くのエンジニアが取り組んでいます。
ITパスポート試験とは、ITに関する基礎的な知識を証明できる国家試験です。情報処理技術者試験としては初級レベルとなっており、基本的なIT知識やスキル所持の証明が大きな目的となっています。
ITパスポート試験を含む情報処理技術者試験は、12の試験区分があります。ITパスポート試験は、その中でも最も難易度の低いレベル1にあたるため、ITスキル取得の第一歩として受験できるでしょう。
社会の中でIT技術等が当たり前になっているこの現代で、必要最低限のITに関する知識を持っていなければ、取り残されてしまいます。ITパスポート試験に合格すれば、専門性の高いIT業界での活躍が期待できますが、今や様々な場面でIT技術に触れる機会があります。その中で知っていて当然なITの基礎を身に着ければ、ITサービスを活用でき、幅広い分野で活躍できるでしょう。
出典(IPAのWebサイト):情報処理技術者試験の試験区分一覧
情報処理技術者試験は、全部で12種類あり、難易度は、レベル1のITパスポート試験に対し、基本情報技術者試験は上位のレベル2に位置します。また、ITパスポート試験は「ITを利活用する全ての社会人」が対象なのに対し、基本情報技術者試験は「情報処理技術者の基本的な知識・技能の習得者」を対象としています。
ここで、「情報処理」とは、「電子計算機を使用して、情報につき計算、検索その他これらに類する処理を行なうこと」を指すため、これらの作業を行う人が「情報処理技術者」か?というと、一概に断言することはできないと筆者は認識しています。
ITパスポート試験は、パソコンやITを使う上で必要な知識、基本情報技術者試験は、電子系のH/W、S/W、IT関連のエンジニアの基礎的な知識・技能が得られる試験と捉えればよいと思います。
なお、情報処理技術者試験を運営するIPA(情報処理推進機構)では、ITパスポート試験と基本情報技術者試験の対象者像を以下のように定義しています。
ITパスポート | 基本情報技術者試験 |
職業人及びこれから職業人となる者が備えておくべき、ITに関する共通的な基礎知識をもち、ITに携わる業務に就くか、担当業務に対してITを活用していこうとする者 | ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者 |
なお、ITパスポートの出題範囲は、基本情報技術者試験の午前の出題範囲と重複するので、通年で開催されているITパスポートと並行して合格を目指すことをおすすめします。
それでは、両者の細かな違いについて下記にて解説します。
順に簡単に解説しますが、ITパスポート試験について下記記事にて詳しく解説していますので、現時点でITパスポート試験を受験しようと検討している方は下記記事を参考にしてみてください。
ITパスポート試験と比較した基本情報技術者試験の難易度を以下に示します。
年度 | ITパスポート | 基本情報技術者試験 |
平成29年度 | 50.4% | 22.1% |
平成30年度 | 51.7% | 25.6% |
令和元年度 | 54.3% | 25.7% |
令和2年度 | 58.8% | 48.1% |
令和3年度 | 52.7% | 40.7% |
ITパスポート試験の合格率は、概ね50%に対し、基本情報技術者試験の合格率は、令和元年度までは、20~25%で推移してきましたが、令和2年以降、40%以上に上昇しています。これは令和2年度から基本情報処理試験の受験形式が以下のように変更され、特に丸一日に及んでいた試験の分割受験や、午後試験の易化が合格率向上に繋がったのではないか?と思われます。
基本情報技術者試験は午前、午後共に60%以上の得点を得ることが合格の条件なのですが、午前の80問の小問多肢選択式(四肢択一)は合格基準を突破するものの、多くの人が2時間30分にも及ぶ、午後の長文読解問題に阻まれてきました。
令和5年度からは、年2回から通年化、午前の出題数の削減、午後問題のコンパクト化などにより、さらに易化が進む見込みです。
ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、それぞれ異なる目的と受験対象者を対象としています。まず、ITパスポート試験は、ITリテラシーを向上させたり、IT技術を活用したいと考える人に向けて行われます。試験では、情報技術や情報処理の基礎的な知識が問われます。この試験は、情報処理分野でIT技術を活用する社会人としての知識を証明するための資格でもあります。
一方、基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしての技術が求められる資格です。この試験では、システムの設計や開発、運用など、さまざまな活動においての能力が評価されます。この試験は、社内のIT技術の向上やIT関連の問題解決に取り組みたいと考える人にとって適した資格と言えます。
ITパスポート試験と基本情報技術者試験は受験方法が違います。それぞれの受験方法を記載しますので、参考にしてください。
ITパスポート試験を受けるためには、まずITパスポート試験の公式サイトで申し込みます。
申し込み時には試験会場と受験日を選び、手続きが完了したら受験料7,500円(税込)を支払います。支払い方法はクレジットカードやコンビニでの支払い、またはバウチャーでの支払いが選べます。
試験当日には試験会場に行き、受験のために必要な確認書類や本人確認書類を持参してください。なお、申し込み方法などは都度変更されることがありますので、正確な情報はIPA公式サイトで確認してください。
基本情報技術者試験では、試験日の3ヶ月前から1ヶ月前くらいまでに、プロメトリック社の申し込みサイトにアクセスして申し込みをします。受験手数料は7,500円(税込)で、コンビニ払い、Pay-easy払い、クレジットカード払いのいずれかの方法で振り込みます。試験当日は、指定された会場を訪れて試験を受けます。
ITパスポート試験と基本情報技術者試験の出題範囲も異なりますので、それぞれ紹介します。試験形式についても紹介します。
ITパスポート試験は、基本情報技術者試験のA試験(旧午前試験)と同じように、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の問題が出題されます。ストラテジ系では、情報化と企業活動に関する分析に必要な基礎的な用語や概念、高校の情報科目の知識が問われます。
マネジメント系では、システム開発やプロジェクトマネジメントのプロセスに関連する基礎的な用語や概念が問われます。テクノロジ系では、基礎的な用語や概念、そして論理的な思考力に関する問題が出題されますが、専門的な知識は問われません。
基本情報技術者試験は令和5年度より、要綱が大きく変わります。
特に午後の試験は、大問11問の中から5問を選択して解答する形式から小問20問を解答する形式に変更となるため、今まで学習されていた方は、対策を改める必要があります。科目A、B共に試験時間、出題数が減っており、令和2年度からの科目A、科目Bの別日受験にも対応しているので、ハードルは大きく下がったと言えます。
令和5年4月以降の試験形式を、令和4年度までと比較して紹介します。
項目 | 令和4年度まで | 令和5年4月以降 | ||
試験時間 | 午前 | 150分 | 科目A | 90分 |
午後 | 150分 | 科目B | 100分 | |
出題形式 | 午前 | 多肢選択式(四肢択一) | 科目A | 多肢選択式(四肢択一) |
午後 | 多肢選択式 | 科目B | 多肢選択式 | |
出題数 | 午前 | 80問 | 科目A | 60問 |
午後 | 11問 | 科目B | 20問 | |
解答数 | 午前 | 80問 | 科目A | 60問 |
午後 | 5問 | 科目B | 20問 | |
試験実施日 | 上期、下期の年2回 | 通年 |
科目A(午前)は問題数が減り、試験時間は科目A(午前)、科目B(午後)共に短くなり、試験当日の負担は軽減します。
科目B(午後)は、出題数は増えているものの、長文の読解問題からコンパクトな単問に変更するので、学習のハードルは大幅に軽減すると思います。
続いて基本情報技術者試験の科目Aの出題範囲をITパスポート試験との比較で以下に示します。
分野 | 大分類 | 中分類 | ITパスポート試験 | 基本情報技術者試験 |
テクノロジ系 | 基礎理論 | 基礎理論 | 〇 | 〇 |
アルゴリズムとプログラミング | 〇 | 〇 | ||
コンピュータシステム | コンピュータ構成要素 | 〇 | 〇 | |
システム構成要素 | 〇 | 〇 | ||
ソフトウェア | 〇 | 〇 | ||
ハードウェア | 〇 | 〇 | ||
技術要素 | ヒューマンインターフェース | 〇※1 | 〇 | |
マルチメディア | 〇※2 | 〇 | ||
データベース | 〇 | 〇 | ||
ネットワーク | 〇 | 〇 | ||
セキュリティ | 〇 | 〇 | ||
開発技術 | システム開発技術 | 〇※3 | 〇 | |
ソフトウェア開発管理技術 | 〇※3 | 〇 | ||
マネジメント系 | プロジェクトマネジメント | プロジェクトマネジメント | 〇 | 〇 |
サービスマネジメント | サービスマネジメント | 〇 | 〇 | |
システム監査 | 〇 | 〇 | ||
ストテラジ系 | システム戦略 | システム戦略 | 〇 | 〇 |
システム企画 | 〇 | 〇 | ||
経営戦略 | 経営戦略マネジメント | 〇 | 〇 | |
技術戦略マネジメント | 〇 | 〇 | ||
ビジネスインダストリ | 〇 | 〇 | ||
企業と法務 | 企業活動 | 〇 | 〇 | |
法務 | 〇 | 〇 |
※1:ITパスポート試験では中分類 情報デザイン に分類
※2:ITパスポート試験では中分類 情報メディア に分類
※3:ITパスポート試験では分野 マネジメント系 に分類
ITパスポート試験の方は、問題数が100問と基本情報技術者試験に比べて多いのですが、難易度は低めに設定されており、基本情報技術者試験の科目A対策で十分に対応が可能です。
逆に、基本情報技術者試験への備えとしてITパスポート試験の学習に注力するのもアリですが、その場合、難易度の高い問題に対応できるようにならなければならないので、筆者としては二度手間?になると感じています。
令和4年度までは、いくつかの小問で構成された大問5問を11分野(情報セキュリティ、ソフトウェア・ハードウェア、データベース、ネットワーク、ソフトウェア設計、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム戦略、経営戦略・企業と法務、データ構造及びアルゴリズム、ソフトウェア開発)中から選んで解答する形式でした。
11分野のうち、情報セキュリティとデータ構造及びアルゴリズムは必須なので、残りの3問を9分野から選択しなければならないのですが、出題対象の分野が固定しているわけではないため、複数の分野を学習しておく必要があります。
試験当日は自身が得意としている問題を3つ選定するというのがこれまでの流れで、実はこれがかなりの負担でした。令和5年4月以降の試験では、単問20問、選択なしの形式になるので、試験開始直後、全ての問題に目を通す、といったことをする必要がなくなります。
なお、新要綱では、これまで必須解答としていた「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二つの分野を中心にした構成に変更され、また、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題は、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語による出題に統一されます。
以下に、令和5年4月以降の基本情報技術者試験の科目Bの出題範囲を示します。
プログラミング全般に関すること | 実装するプログラムの要求仕様(入出力、処理、データ構造、アルゴリズムほか)の把握、使用するプログラム言語の仕様に基づくプログラムの実装、既存のプログラムの解読及び変更、処理の流れや変数の変化の想定、プログラムのテスト、処理の誤りの特定(デバッグ)及び修正方法の検討 など |
プログラムの処理の基本要素に関すること | 型、変数、配列、代入、算術演算、比較演算、論理演算、選択処理、繰返し処理、手続・関数の呼出し など |
データ構造及びアルゴリズムに関すること | 再帰、スタック、キュー、木構造、グラフ、連結リスト、整列、文字列処理 など |
プログラミングの諸分野への適用に関すること | 数理・データサイエンス・AI などの分野を題材としたプログラム など |
情報セキュリティの確保に関すること | 情報セキュリティ要求事項の提示(物理的及び環境的セキュリティ、技術的及び運用のセキュリティ)、マルウェアからの保護、バックアップ、ログ取得及び監視、情報の転送における情報セキュリティの維持、脆弱性管理、利用者アクセスの管理、運用状況の点検 など |
出展::情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱
5つ目のITパスポート試験と基本情報技術者試験の違いは、勉強方法と勉強時間です。それぞれの勉強時間・勉強方法を紹介します。
ITパスポート試験の勉強には、平均して約150時間ほどの時間が必要と言われています。これは、1日に約1.5時間ほどの学習を約3ヵ月続けた場合の時間に相当します。
ただし、ITの知識の有無によって必要な勉強時間は異なるため、注意が必要です。ITの知識がない場合は約180時間、基礎知識がある場合は約100時間が目安とされています。
基本情報技術者試験の勉強方法は、学校、書籍、アプリ、Webサイトの4つが挙げられます。筆者の場合、既にエンジニアとしてある程度経験を積んでからのチャレンジでしたので、「学校」は選択しませんでした。
科目Aの小問対策は、アプリ、Webサイトの活用がおすすめです。解説も充実しているので、解説を読み解きながら反復練習を重ねる・・で十分対策がとれると思います。
科目Bに関しては、令和2年のCBT形式への変更以降、過去問題が公開されていない・・に加え、令和5年4月以降の試験要綱の変更により、この記事を執筆している令和5年1月時点では、科目B対策の出題実績が少ない・・といった事情により、書籍の「予想問題集」の使用をおすすめします。
科目B学習のための教本は、科目Aの学習を通じて必要な知識・技能はある程度、得られるので、筆者としては不要?と考えています。
それでは筆者が活用した、おすすめの教材を紹介します。
国家資格「基本情報技術者」の科目Aに対応した問題集で、収録された約380問には、すべてに詳細な解説がつけられています。また、テーマごとに適切に分類された目次には、回答履歴も表示され、学習の進み具合がわかるので、達成感を持って学習を続けることができます。筆者はこのアプリをひたすらやり続けました。
公式サイト:全問解説付 基本情報技術者 科目A 一問一答問題集
基本情報技術者試験合格を目指している方への情報提供や、合格へのサポートを目的としたサイトです。実際にWeb上で過去問が取り組める機能を備えたサイトで、正解だけでなく、丁寧な解説も添えられています。
公式サイト:基本情報技術者試験ドットコム (fe-siken.com)
令和5年1月時点では、令和5年4月からの要項に対応した科目Bの問題集はまだ少ないのですが、筆者が調べた限り、前提知識+解き方+試験問題で効率よく学習できる本書がおすすめです。
公式サイト:情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者[科目B]第3版(橋本 祐史)|翔泳社の本 (shoeisha.co.jp)
ITパスポート試験に合格するメリットは様々ですが、本章では下記2つを紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ITパスポート試験は、ITの仕組みやシステムなどを幅広くカバーしており、合格することで幅広い知識を習得したことが証明されます。ITの知識は、IT業界以外でも需要が高まっているため、貴重な人材として重宝されます。
また、ITパスポートを取得することで、リスクを理解し、トラブルを防ぐことができます。さらに、SWOT分析やBSC、財務諸表、損益分岐点分析など、ITに関連する知識も習得できるため、大きなメリットとなります。
ITパスポート試験は、ITの知識だけでなく、ビジネスの知識も身につけることができる試験です。
最近では、企業がITを経営ツールとしてどのように活用できるかが課題となっています。IoTやAI、ビッグデータの活用により、ビジネスのチャンスを広げる取り組みが進んでいますが、ただ流行に乗っかって導入するだけでは成功しません。
したがって、ITを経営にうまく関与させる方法が重要です。ITパスポート試験では経営の知識の習得も可能なので、両方の知識を上手く活かせる人材を目指すことができます。
筆者の場合、基本情報技術者試験に合格したのが、30代後半だったので、残念ながら転職等に、合格者のメリットは活用できませんでした。それでも試験に向けて取り組んだ学習で得た知識や技能は、仕事で役に立ったり、基礎の大切さを気付かされたり、といった自己啓発的な成長に繋がる?と感じています。
基本情報技術者試験の出題範囲は、幅広いため、必要な知識・技能を体系的に身に着けることができます。
例えば、専門がH/Wのエンジニアが、H/W、S/Wが協調して動作する製品やソリューションの開発に参加した場合、S/Wの基礎は知っておいた方が全体像の理解が得やすくなります。製品やサービスの開発の進め方やマネジメントなども学習範囲に含まれるので、筆者としては、エンジニアという職種を目指す場合、なるべく早い時期に、学習に着手した方が良い、と思っています。
基本情報技術者試験は合格者の基準が厳正に定められた国家試験です。そのため、合格者は一定の知識・技能を有しているもの、と普遍的に見なすことができます。
職務経歴や履歴書のスキルや経験等は詐称できたとしても、合格者であることは詐称できないので、基本情報技術者試験合格者程度の知識や技能を必要とする企業が採用する場合、人選のミスマッチのリスク回避が期待できます。
また経験が伴わない学生、若手の場合、スキルの補強や学習意欲のある人物像のアピールとして採用側は配慮するので、とても高い効果が期待できます。
企業によっては賃金体系に資格手当を設定している場合があります。
基本情報技術者試験の資格手当の相場は5,000円〜10,000円と言われています。多くの企業は、試験費用の負担、合格報奨金(一時金)の支給といった制度を設けており、合格報奨金の相場は20,000円〜50,000円程度です。また、企業によっては昇格に基本情報技術者試験の合格を要件としている場合があります。
基本情報技術者試験の試験当日に筆者が心がけたことをみなさんにお伝えしたいと思います。ITパスポート試験でも役立てられるかと思いますので、ぜひ参考にしてください。
では紹介します。
基本情報技術者試験の試験時間は科目Aが 90分で、科目Bは100分です。問題1問あたりの費やすことができる時間は科目Aが1分30秒、科目Bが5分と実はかなり短いです。
日頃から早く解く、を心がけた学習はもちろんですが、特に科目Bで5分以上かかりそうなら、迷わず後回しにしましょう。
基本情報技術者試験は、多肢選択式なので、さらに上位の応用情報技術者試験の記述式と違い、予め用意された解答を選択して答えることになります。
試験時間が残り5分を切ったら、当てずっぽうでも構わないので、未回答の問題に解答する作業を行うようにしてください。特に科目Aは4択、すなわち1/4の確立で正解が得られる可能性があります。実際、筆者も当てずっぽうで答えた解答で結構、正解を得ています。
基本情報技術者試験はこれまで4月と10月に行われていました。その中でも4月は花粉症の時期ということもあり、人が鼻をかんだり、すすったりと割と雑音に悩まされる可能性が高いです。筆者は割と雑音に神経質な体質なため、春期の試験では、かなり悩まされた記憶があります。これといった対策は講じることはできませんが試験の際は、周囲の音状況を確認しておくとよいと思います。
ちなみに試験では耳栓等は使用できないので、持ち込まないようにしてください。なお、令和5年4月からは基本情報技術者試験は通年で実施されますので、花粉症の時期の受験は避ける、といった対策が可能になります。(うらやましい)この試験に関するさらなる情報や、関連するトピックについては、公式サイトを参照してください。
最後にITパスポート試験と基本情報技術者試験に関するよくある質問にお答えします。
順にお答えしますので、同じような疑問をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
ITパスポートを取らずに基本情報技術者をとっても問題ありません。
ITパスポートの資格を有していなくても、技術者として勉強していたり、実務経験があったりする場合は、ITパスポート試験からではなく、基本情報技術者試験を受験するのが良いでしょう。
ITパスポートと基本情報技術者の資格を両方取得するメリットは、下記の3つが挙げられます。
上記のようなメリットがありますので、取得出来る時間や知識がある場合は両方取得してみてはいかがでしょうか。
ITパスポート試験に関しては免除制度はありません。しかし、基本情報技術者試験には免除制度があります。
基本情報技術者試験の免除制度を受けるには、IPAに認定されている講座を受講し、修了試験の合格(修了認定の基準を上回ること)が必要です。合格することで、基本情報技術者試験の午前試験が免除されます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が全世界を席巻する中、情報技術の知識とスキルは今や必須となっています。このDXの時代において、「基本情報技術者試験」は、ITのプロフェッショナルたちにとっての重要なステップとなっています。
基本情報技術者試験は、情報技術の基本的な知識を問う試験として、多くのエンジニアや技術者が受験しています。しかし、DXの進展に伴い、この試験だけでなく、実際のビジネスシーンでの応用能力も求められるようになってきました。DXは単に技術の導入ではなく、ビジネスモデルの変革や新しい価値の創出を目指すもの。そのため、基本的な技術知識を持つだけでなく、それを活用してイノベーションを起こす能力が必要とされています。
この背景から、基本情報技術者試験を取得することは、DXの時代における第一歩とも言えるでしょう。試験を通じて得られる知識は、今後の技術革新をリードする上での土台となります。そして、その知識を活かして、DXの真の意味での変革を推進する力が、今後のIT業界での成功の鍵となるでしょう。
1974年生まれ、神奈川県在住。大学在学中にはじまったバブル崩壊を被った就職氷河期世代。大学は卒業したものの、家庭や就職難等の事情により、2年間出遅れ、25歳からH/W系の開発エンジニアとしての道を歩み始める。閉塞感を抱きながらも「失われた30年」で、ただひたすら技術力の向上を目指し続け、30代以降は、現在のデジタル社会の基盤を形成するストレージ、画像、ネットワーク、IoT関連のコア技術開発に従事。得意とする技術分野は論理設計で、現在15の技術系の国家資格・試験合格を所有。
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