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まだまだ世界的には低い存在感:世界に挑戦する日本の医療機器の未来を考える

         

前回に続いて今回も日本の医療機器の現状と未来についてご紹介したいと思います。

医療機器市場の世界ランキングでは、20位にテルモ社が入るという状況で日本企業の存在感はまだ低いという現状をお話しました。しかし、日本は年間約2兆円以上の医療機器売上高の実績があり、世界の医療機器市場20兆円の約9%のシェアを占めています(2009年)。これは、米国(シェア40%)に次いで大きくNo.2のポジションです。ドイツが日本に次いで8%シェアです。さらには米国、日本、そしてドイツで世界シェアの過半数(約6割)を占めています。

成長を続ける世界の医療機器市場

世界の医療機器市場は毎年8%以上成長しています。JETRO(日本貿易振興機構)の推測では2015年の市場規模は約3,100億ドル(約37兆円)、2017年では約4,300億ドル(約52兆円)へと急成長すると言われています。また、医療機器を利用している市場の国別シェアでは、米国16%、中国10%、日本10%、ドイツ9%、韓国5%、ロシア5%、フランス4%、インド4%、イタリア4%、英国3%となっています。

注目すべきは、中国や韓国、ロシア、インドなどアジアなどの新興国での需要が急成長していることです。

ちなみに、中国の医療用機器の売上は2013年で2,000億元(約3兆7,700億円)に達し、米国に次ぐ、世界で2番目に大きい市場です。中国では、漢方薬なども含めて医薬品を優先する傾向があり、医療機器費用は医薬品費用のわずか14%ほどですが、経済的に豊かになったことと急速な高齢化が進んでいることから、医療機器需要の伸び率は5年で2倍以上に成長しています。

近年では、日本は画像診断や内視鏡、血液などの検査機器やこれらの技術をアジアなど新興国へ積極的に輸出しています。いずれの領域も、日本ブランドの高性能、高品質、優れた耐久性が高く評価されていています。ユーザーの日本ブランドに対するイメージは、“高機能”、“使いやすい”、“壊れにくい”といった好意的なものが多く、日本ブランドが高く評価されています。

日本の医療機器産業の現状

日本の医療機器産業の現状については、MEDIC(日本医療研究開発機構委託 医工連携事業化推進事業)の情報ポータルホームページなどで紹介されています。基礎研究や応用研究・開発などは欧米に遅れをとっています。しかし、産業化においてはCTなど画像診断機器、内視鏡、血液など検査機器に圧倒的な強みを持っています。

また、治療機器分野では内視鏡関連技術、補助人工心臓、医療用ロボットなど積極的な活動を行っています。大手企業のみならず、ベンチャー企業も医療機器開発に幅広く参画しています。競争は厳しい市場ですが、市場成長力も高いことから、ビジネスチャンスが最も大きい市場で日本が成長する可能性が高いと思います。近い将来、日本がハイテク医療機器のトップとなる日が来るのも夢ではありません。


表:日本の医療機器産業の競争力

 

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