2019年9月11日、「UPDATA! データドリブン経営戦略 ~実践企業が語る、データドリブン経営の手法~」と題したセミナーがウイングアーク本社コラボスペースで開催されました。
セミナーでは、株式会社帝国データバンク、SanSan株式会社、ウイングアーク1st株式会社の社員が登壇し、データドリブン経営を実践する先進企業の取り組みや、意識改革と組織編制について講演しました。
この記事では今回のセミナーで紹介されたデータドリブン経営の事例や取り組みを紹介します。
最初の登壇者は株式会社帝国データバンク 営業推進部 営業開発課 黒澤学氏。
黒澤氏は「市場を俯瞰するデータからターゲティングまで実践するための企業データベース活用とは」というテーマで講演を行いました。
日本を代表する信用調査会社であり、創業117年と長い歴史を持つ帝国データバンク社では、長年蓄積した圧倒的な企業情報と調査データを活用することで、顧客のデータドリブンな環境構築を後押しする取り組みを実践しています。
黒澤氏は、データドリブンとは「データを総合的な分析によって、未来予測と意思決定を行うこと」だと話します。情報をデータ化するときに重要なのは、わかる人にだけ理解できる暗黙知ではなく誰にでも理解できる形式知として落とし込むことです。
データを活用した市場分析は、市場の環境分析から始まり、戦略立案、施策立案という手順で進められます。ベースとなるのは、市場全体のデータからターゲットの選定を行う必要があるのです。
ここを押さえた上で、ターゲットのセグメントへと移行します。
この際のデータベース活用の基本は次の3点にあります。
・基本となる情報のデータの粒度が統一されているか?
アプローチするのは企業なのか個人なのか。部門なのかセクションなのか。
・アカウントは正しく設定されているか?
商材や取引形態によって、ターゲットは変わります。正しいアカウントの設定を。
・取引先のポテンシャルを正しく把握できているか?
現存の取引の強化なのか、信頼度・信用額などの数値データを活用する。
ビジネスにデータ活用を行うにあたっては、基本となる情報の鮮度。より正確なデータを基にすることで、効率的なターゲット選定が行えるのです。
続いて登壇したのは名刺管理サービスで知られるSansan株式会社 Sansan事業部プリンシパルデータソリューションアーキテクト久永航氏。「マーケティングや営業領域のデジタル化により、顧客と接触する前から情報接触が行われている」と久永氏は指摘します。顧客側が常時情報収集していることに対応し、全方位に向けた情報発信体制が求められています。そのためにも、デジタル接触を繰り返し、客の体験値を上げておくことが必要である、と久永氏は言います。
マーケティング手法も、従来の企業情報では不十分であり、顧客を正しく理解するための情報を加味して考えることが不可欠です。
ところが、企業がもつ顧客情報の約40%が利用できる状態になっていないのが現状です。顧客との接触によるせっかく収集したデータのほとんどが部門間での共有がなされていないなどの理由で、必要なデータであるにもかかわらず、ビジネスに活用できない状態にあるのです。
この問題点の原因は、データが企業内で整理・統一されていないことにあります。顧客との接触によって収集可能な名刺データにしても、企業名、拠点、セクション、個人名などが紐付けされていないケースが多く、同時に自社内でもセクションごとに分離しているなど、情報統合の困難さから放置されているのが現状だというのです。
データドリブン経営を行うためには、顧客データの管理がうまく行っていることが前提となります。かつてはこうした顧客データの収集と統合を平行して行うことは困難なことでした。しかし、ICT技術を利用することで、大量のリソースを投入することなく、顧客データの名寄せが可能になっています。法人番号やTDBデータに沿って整理、セクションと個人の情報統合、企業のフロントエンドとバックエンドの情報を連動など、企業の持つ顧客データの質を高め、平準化し活用できる状態にすることでPDCAサイクルの速度を高め、スピード感のあるデータドリブン経営が実現するのです。
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