したがって、Society 5.0構想にあるような超スマート社会を世界に先駆けて実現するためには、ICTをはじめとした科学技術分野のさらなる発展が必要です。
一方で日本のICT関連の投資額を見てみると、1995年に17億円程度で2015年が16億円程度と、約20年の時間が経過しているにもかかわらず、ほとんど変化がない、むしろ若干減っているという状態です。
また第5期科学技術基本計画の閣議決定後もその数値は伸びることなく、ICT投資は頭打ちになっています。
一方で、総務省が発表した「令和元年版 情報通信白書」によるとICT投資に力を入れるアメリカでは、2018年時点で1995年と比較して投資額は約3倍にまで拡大しています。また、同期間でフランスでも約3倍、イギリスでは約1.5倍と、欧州でも投資額は伸びています。
また、この20年間でアメリカではGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)、中国ではBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)というように巨大なICT事業を展開するデジタル・プラットフォーマーが生まれていますが、日本では同程度の規模のICT企業は出てきていません。
他国がICTに資金を投入する中、20年間ほぼ変わらない水準のままだった日本が「世界に先駆けた」超スマート社会を実現していく道のりは決して簡単ではない、という印象を受けます。
さまざまなモノや人がICTでつながる超スマート社会、という未来図自体はとても素晴らしいものですが、実際に関連したデータを見てみると言葉ばかりが先立ってその計画自体が形骸化しているように感じます。
新たな社会のありようを見つめ直すためにも今後、政治や経済の観点からさまざまな手を入れていく必要があります。
一方で社会のありかたが変容していく中で私たち一人ひとりも新しい技術を柔軟に受け入れ、試していく必要があるのかもしれませんね。
【参考引用サイト】 ・ 総務省|令和元年版 情報通信白書|PDF版 ・ ICT investment - OECD Data ・ 総務省|令和元年版 情報通信白書|ICT投資の状況 ・ モノのインターネット - Wikipedia
(大藤ヨシヲ)
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