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ワークショップでよく使われる5つのフレームワークをその特徴や具体的な手順とともに紹介!

         

対話を含む体験を通じて、参加者や組織の考えを発散・相互理解を醸成し、新たなアイディアの創出やチームの活性化といった成果を期待できるワークショップ。その適切な使い方や限界については、データのじかんの下記記事でも取り上げられています。

本記事では、今度ファシリテーター(進行役)を初めて務めることになった、という方やワークショップを何度か主催したもののなかなか思ったような成果が得られないという方に向けて、代表的な5つのフレームワークをそのまま使えるよう、必要なもの、手順とともにまとめてご紹介します!

アイディアを可視化し、関係性を図として整理できる「KJ法」

ワークショップで重要なアイディアの発散と収斂を実現するための手法としてポピュラーなのがKJ法です。文化人類学者の川喜田二郎氏によって考案されたこの手法では(そのイニシャルからK(KAWAKITA)J(JIRO)法と名づけられたのですね)、発散と収斂のフェーズをはっきりと分割し、さらにその要素をカードや図によってわかりやすく可視化することで自由なアイディアの創出とその体系化を容易にします。

【必要なもの】

・ペン

・カード(ふせんなど)

・ボード(ホワイトボード、黒板など)

【手順】

1.参加者にテーマを伝える

2.テーマに沿ってブレインストーミングを行う(10~20分程度)

3.あらかじめ配られたカードにアイディアを書き出す

4.カードを同じグループごとにまとめる

5.グループが数個にまとまったら、それぞれの関係を図示し、整理する

6.図解した結果を文章化してまとめる

What・Why・Howでテーマを深堀りする「ロジックツリー」

あるテーマに対しアイディアを拡散させるブレインストーミングに適したKJ法に対し、ロジックツリーはあるテーマを深堀することに適した手法です。その名の通り一つのテーマを幹として、そこから枝分かれする形で要素分解(What)・原因追及(Why)・問題解決(How)のいずれかを行います。それぞれの違いは以下の通り。

・要素分解(What):

あるものや事象の要素を細かく追求し、なるべく具体的な要素にまで落とし込む

・原因追及(Why):

あるものや事象の原因をWhy(なぜ)を繰り返すことで深堀りし、網羅的に洗い出す

・問題解決(How):

ある問題の解決方法をそのために何をすべきかを基準に深めていき、具体的な解決方法の網羅を目指す

ロジックツリーの作成で重要なのがMECE(漏れ・重複がない)を目指すということ。参加者各々が作成したロジックツリーを比較することで、よりMECEな状態を達成するのも一つの手です。

【必要なもの】

・ペン

・ボード(ホワイトボード、黒板など)

【手順】

1.テーマを設定する

2.そのテーマを掘り下げる手法をWhat・Why・Howの3つから選ぶ

3.ツリーをMECEに掘り下げる

4.ロジックツリーから得られる洞察や次の打ち手を文章化する

無理やり発想の枠を外す「マトリクス法(強制連想法)」

寿司とベルトコンベアをかけ合わせた回転ずしのように、新しいアイディアは2つの異なる要素の組み合わせによって生まれるとよく言われます。そこでたとえば「経理」×「キャンプブーム」のように全く異なる要素を強制的にかけあわせて無理やりにでもアイディアをひねり出すことで発想の枠を外すのが「マトリクス法」のポイントとなります。「こんなアイディアは使えない」と自己検閲することなく、自由に発想を伝え合える雰囲気をファシリテーターが作り出せるかどうかが成功のカギとなるでしょう。

【必要なもの】

・ペン

・ボード(ホワイトボード、黒板など)

【手順】

1.テーマを設定する

2.そのテーマに対し2つの変数を設定する

3.強制的に変数同士を組み合わせたアイディアを提案する

4.アイディアを具体的な打ち手に落とし込む

短期間でアイディアをプレゼンへとプロトタイピングする「エレベーターピッチ」

多忙な経営者に対し、エレベーターで移動するつかの間の時間でプレゼンを行う手法にヒントを得てフレームワーク化されたエレベーターピッチ。設定したテーマに対し15~30秒のごく短時間でプレゼンを行い、その結果を評価するところまで高速で行うことでコミュニケーションを強制的に活発化させながらアイディアの本質や真価をつかむことを促します。アイディアを短期間でプロトタイプ(試作品)にまで落とし込むラピッドプロトタイピングの一種とも考えられる手法でしょう。

【必要なもの】

・特になし

【手順】

1.テーマを設定する

2.テーマに対しアイディアを練りこむ

3.15~30秒程度でプレゼンを行う

4.プレゼンに対し質疑応答やフィードバックを行う

抽象・具体の両方でテーマの全体像を広げる「バリューグラフ」

テーマとなる対象に対し、より抽象度の高い上位の目的(なぜ?)とより具体度が高く、並列・あるいは下位に当たる手法(どうやって?)の2つのレベルで深掘りしていくフレームワークです。スタンフォード大学で工学分野の教授を務めた石井浩介氏らによって開発された手法であり、あるテーマに対し抽象・具体の2方向で発想を広げることで、中心をぶらすことなく全体像を広げることが可能になります。

【必要なもの】

・ペン

・2種類のカード(2色のふせんなど)

・ボード(ホワイトボード、黒板など)

【手順】

1.テーマを設定する

2.1種類目のカードで上位の目的(なぜ?)を深堀りする

3.2種類目のカードで下位の手法(どうやって?)を深掘りする

4.出来上がったバリューグラフを検討し、分析に落とし込む

終わりに

ワークショップの実現において代表的かつそれぞれに違った特性を持つ手法を5つご紹介しました。記事では紙やペンといったアナログなツールを用いることを想定していますが、オンラインホワイトボード「miro」など、オンライン・オフラインどちらのワークショップでも活用できるデジタルツールも存在します。
フレームワークという思考を助けるツールも活用しつつ、ワークショップを成功へ導きましょう!

(宮田文机)

 

参照元

・ワークショップで用いる基本手法解説書┃文部科学省

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