マイナンバー(個人番号)とは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき個人の識別番号として各市区町村が住民に指定する12桁の番号のことです。
日本に住民票がある私たちには、既に以下のような様々な番号が割り振られています。
これらの番号はすでに、個人ごとに割り振られ、個々の行政機関で使用されています。ところが、番号がそれぞれ違うために、行政機関間での情報の連携・共有が困難でした。そのため、ある行政機関で手続きをするために、別の行政機関で取得した書類の添付も求められていました。
複数の行政機関が保有する個人の情報にマイナンバーを付与することで、社会保障、税、災害対策の3分野で効率的に情報が管理できるようになります。
マイナンバーの指定は2015年10月5日から始まり、2016年1月からマイナンバーの行政手続の利用が開始されています。
マイナンバーは、国民(個人)、行政機関、民間事業者(企業)の3者で使用するため、システム上のトラブルや人為的な情報漏洩などを不安視するあまり、制度に対する反対の声も多く上がっていました。
そのため、マイナンバーの「通知カード」は受け取ったものの、身分証明書として使用が可能な「マイナンバーカード」の交付申請者は2020年3月時点で全国民の15%程度に低い水準に留まっています。
昨今では、コロナ禍の経済対策の「特別定額給付金」の申請手続きの際にマイナンバーカードが必要だったため、各市町村の役場の窓口に申請者が殺到したことで話題になりました。
マイナンバー制度は国民(個人)、行政機関、民間事業者(企業)の3者で使用します。それぞれの観点でのメリットを考えてみたいと思います。
・行政業務を効率化し、人や財源を国民サービスに振り向けられるようになります。
・所得をこれまでより正確に把握することで、きめ細やかな社会保障制度を設計し、公平・公正な社会を実現することが出来るようになります。
・身分証明書になる:
マイナンバーカードは免許書や保険証などと同様に、公的な身分証明書として使用することが出来ます。金融機関における口座開設・パスポートの新規発給など、様々な場面で利用できます。
・行政手続きが簡略化する:
役所でのさまざまな手続きや申請が簡略化されます。1つの番号で複数の行政手続きができるようになるので、今まで必要だった添付書類などが不要になり、手続きにかかっていた時間も短縮されます。
・様々な行政サービスがマイナンバーカード1枚で利用できる
市区町村や国などが提供する様々なサービス毎に必要だった保険証、印鑑証明、図書館利用などのカードがマイナンバーカードで一体化できます。
・各種行政手続がオンラインで申請できる
マイナポータルへのログインをはじめ、各種の行政手続のオンライン申請などが利用できます。
マイナポータルでは、自分の特定個人情報の閲覧、国や自治体との間で交わした特定個人情報の記録閲覧、予防接種や年金などのお知らせ情報の表示、引っ越しなどのライフイベントに関する手続きのワンストップサービス、各種電子私書箱、電子決済サービスなどを提供しています。
・コンビニなどで各種証明書が取得できる
コンビニやスーパーなどでいつでも、どこでも、住民票、印鑑登録証明書など、以下の公的な証明書が取得できます。
マイナンバー制度の導入で民間事業者(企業)が得られるメリットは実は殆どありません。企業が雇用している従業員の社会保険や税金関連の手続きでマイナンバーの記載が必要になるため、企業としては業務の負担が強いられることになります。
しかもマイナンバーはとても重要な個人情報の一つなので、法律で定められた適切な管理方法にて対応する必要があります。
マイナンバーは日本に住民票がある人全員に割り振られる番号ですが、マイナンバーカードを利用するには、交付申請をして発行する必要があります。
個人の情報漏洩やプライバシーの侵害を懸念して現状、多くの人が交付申請をしていませんが、マイナンバー制度では万全なセキュリティ対策で財産的被害が生じないよう守られています。
以下にマイナンバーに因んだリスクとそれに対するセキュリティ対策をいくつか紹介します。
・マイナンバーを他人に知られた場合のリスク:
マイナンバーは顔写真付きの身分証明書で本人確認も義務付けられているので、なりすまして使用することはできません。
・ICチップの情報が読み取られた場合のリスク:
ICチップの中には氏名、住所、生年月日、顔写真、個人番号、電子証明書の情報しか記憶されていません。
利用には暗証番号を必要とし、耐タンパー性、ISO/IEC15408認証といったセキュリティ加工が施されています。
・国や企業から監視されるリスク:
マイナンバー法では、情報を1ヶ所に集めて監視することを禁止しています。
銀行の口座開設でマイナンバーを記載したとしても、国は個人の預金残高を知ることはできません。
従業員を雇用している企業などのビジネスにおいても、社会保険や税金関連の手続きの際に従業員のマイナンバーを帳票に記載しなければなりません。
報酬や契約金の「支払調書」や、給与所得の「源泉徴収票」など、行政機関への申請書・法定調書にはマイナンバーが必要です。
上記手続きは、従業員個人ではなく、企業の「事務取扱担当者」が行わなければなりません。マイナンバーは重要な個人情報でもあるので、それを預かる企業側には「基本方針の策定」、「取扱規程等の策定」という2つのルールづくりと「組織的安全管理措置」、「人的安全措置」、「物理的な安全管理措置」、「技術的安全管理措置」の4種類の対策を備えることがマイナンバー法のガイドラインで定められています。
また、金融機関、証券会社、保険会社などでは、顧客のマイナンバーを取り扱うことになりますが、この場合、総務省及び地方公共団体情報システム機構に対して、サービス利用希望内容の話し合いを行い、申請(守秘義務誓約書及、技術仕様開示申請書様式)を行った上で運用しています。
民間企業でマイナンバーが必要な帳票は100種類以上あり、今後も増え続けると言われています。民間企業で取り扱うマイナンバーを必要とする代表的な帳票は以下になります。
○法定調書(給料所得等)
○給料支払報告書関係
○扶養控除申告書関係
○雇用保険関係
○健康保険・厚生年金関係
【引用元】マイナンバー対策準備室 https://acube-ac.com/my_number/taisaku/taisaku05.html
帳票管理システムとは、帳票の作成、出力、管理などをアシストするシステムで以下の機能を備えています。
・帳票管理:
電子帳票システムの中心になる機能です。作成した帳票の自動的分類、作成・閲覧・編集などのアクセス履歴の自動取得、廃棄までのライフサイクルの自動的管理など、電子帳票の管理の自動化を実現してくれます。
・帳票作成:
予め用意されているフォーマットへの必要事項の入力にて帳票が作成できる機能です。入力チェック機能なども備えているため、ヒューマンエラーのない帳票の作成を実現してくれます。
・帳票編集:
電子データとして管理している帳票の訂正、追記、修正などの機能です。データサーバー上で一元管理された帳票への編集のため、内容の異なる帳票の複数の存在などによるトラブルを予防してくれます。
・帳票検索:
簡易検索、レイアウト検索、フィールド検索などで特定の帳票を検索する機能です。書棚からファイルを取り出して一枚一枚書類に目を通すことなく、短い時間で必要な帳票を捜すことができます。
・アクセス管理:
設定したグループやユーザーごとにアクセス権限や機能制限を設定する機能です。アクセス権限(参照・出力・編集)や削除権限などをキャビネット・フォルダ・帳票類ごとに付与することで、情報漏洩や不正利用を予防します。
ユーザーIDやパスワード登録を軽減する機能も備えています。
マイナンバーは個人情報のため、厳重な管理が法律上で定められているため、いかなる理由であっても情報漏洩は決して許されません。
またマイナンバー法では従業員が退職した際には対象者のマイナンバーを記載済みの帳票から全て削除することが義務づけられています。
マイナンバーに対応した帳票管理システムでは、
などの機能を備えています。
【関連記事】「マイナンバー 社会保障・税番号制度」とは https://www.wingarc.com/welcome/svf/mn/index.html
マイナンバー制度導入により、企業は従業員のマイナンバーの管理と帳票への記載が必要になります。これらの帳票を全て紙媒体で取り扱うと、様々な問題が発生する可能性があります。
取扱うマイナンバーの数やその関連帳票が多い企業では、何らかのシステムや専門サービスを利用することで帳票業務の負担を減らし、安全性の高い運用を実現することができます。
○複雑なマイナンバー管理の負担を大幅に削減
帳票には法定で定められた保存期間があり、保存期間経過後、または従業員が退職した場合、全ての帳票から対象者のマイナンバーの消去が義務付けられています。
マイナンバーに対応した帳票管理システムでは予め設定されたライフサイクルにて保存期間を終えた帳票は自動削除し、退職した場合は一括してマイナンバーのみ消去する機能を備えているので、担当者の作業の大幅な削減を実現してくれます。
○安全管理措置に則った運用管理の実現
従来の人事・会計システムや帳票システムにマイナンバー項目を追加して運用するだけでは様々な問題が発生します。
マイナンバー情報を従来の帳票システムに含めると、そのデータベースを参照できるすべての人が「事務取扱担当者」となる可能性があり、安全管理措置に則った運用管理が非常に難しくなります。
マイナンバーに対応した帳票管理システムでは、マイナンバーの記入欄に対しアクセス権限を付与し、アクセス者毎に表示/非表示を指定することが出来ます。
マイナンバー制度のしくみと企業にかかる負担についてご紹介させて頂きましたが、マイナンバー制度に対応した帳票管理システムの有用性をご理解して頂けたでしょうか?
最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。
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