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今こそ、おさらいしたい!日本のビジネスを加速させる10個のドリブン

         

各種メディアで「日本のビジネスは米国に○年遅れている」という言葉を見聞きしたことはないでしょうか。実際にグローバル戦略や投資、IT分野でも情報活用やセキュリティなど、業界を問わずこうした傾向は強いように感じます。もちろん、日本には世界に誇れる優れた技術力があるのですが、“ビジネス”としての側面ではその価値を十分に引き出せていない感が否めません。

たとえばグローバルビジネスを考えた場合、“阿吽の呼吸”や“行間を読む”といった感覚が理解できない海外では“曖昧なコミュニケーション”と捉えられがちですし、慎重になりすぎて意思決定が遅いのも日本人の悪い癖です。また押しの弱さから、技術だけを安値で買い叩かれる、優れた製品・サービスでも売り込み方で負けてしまう、といった事態に陥るケースも数多くあります。これが国内市場限定ならまだしも、国内市場の飽和に加えて少子高齢化による労働人口の減少が叫ばれる昨今、従来の殻を破らなければ日本のビジネスに明るい将来は見えてこないでしょう。

それでは、日本が持つ商材の価値を十分に引き出し、“ビジネス”として成功を収めるカギはどこにあるのでしょうか。そこで本記事では、米国でビジネスを加速させる原動力となったドリブンを、10個に絞ってご紹介したいと思います。

経営戦略を策定・理解する

日本のビジネスが抱えている課題の1つに「戦略性の欠如」が挙げられます。中でも既得権益の高いビジネスに関しては、成功体験に囚われた施策への依存度が高く、その前提となるべき戦略の欠如に気付きながらも、惰性で目先の施策を継続してしまいがちです。

しかし、企業経営の主目的がビジネスである以上、そこには必ず経営戦略が存在するべきです。もし明確な経営戦略がない場合、まずは簡易的なドラフトの中長期計画を立てた上で、必要性がある項目の追加、逆に不要な項目の削除を実施し、ブラッシュアップ後に組織内での共有を行いましょう。

一方で経営戦略がある企業も、それを組織全体として本当の意味で理解し、常に継続されているか再確認してみてください。組織内で経営戦略の意図が共有できているか、戦略自体が現在のビジネス環境にマッチしているかだけでなく、場合によっては製品・サービスの成り立ちやコンセプトなどまで見直すことも重要です。

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顧客を知る

BtoC/BtoBに限らず、顧客がいなければビジネスは成り立ちません。現在どのような顧客と取引があるかだけでなく、その顧客がなにを求めているのか、自社にとって理想的な顧客とはどのような存在なのかを、しっかりと理解することは企業にとって大きなプラスとなります。 幸いなことに、皆さんの企業内にはこれまでのビジネスで蓄積された、顧客や取引内容に関する情報があるはずです。これらを分析することで、顧客が求める真のニーズを明確化でき、そのニーズに対する的確な対応が可能となります。また、分析の切り口を変えると、新たな“気付き”やビジネスチャンスにつながる発見が生まれる可能性もあるのです。

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財務を理解する

経営者の中には「財務(Finance)」に対して「どうしても拒否反応が出てしまう」もしくは「経理部門に任せているのでよく分からない」といった方もいると思います。しかし、企業経営おいて財務は投資の意思決定および、そこで必要となる資本調達の決定を行う上で、極めて重要な役割を担うものです。また、「会計(Accounting)」が過去から現在における利益を対象とするのに対し、財務では将来を見越したキャッシュフローベースでの考え方が必要になるなど、その特性も大きく異なっています。つまり、企業にとって財務は事業戦略と両翼を成す重要性を持つものなのです。

本来であれば、経営者が財務に関する十分な知識と理解を有しているのがベストですが、実際にはそこまでの余裕が見い出せないケースも多いと思います。そんな時は、多少のコストをかけてでも専門知識を有するアドバイザーに依頼するのが賢明です。財務と事業戦略の乖離を防ぐことで、将来的な企業の成長速度が大きく変わってくるでしょう。

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マーケティングを理解する

マーケティングとは、市場の把握と分析から顧客ニーズにマッチした製品・サービスを創出し、その情報を顧客へ届けることで必要性の“気付き”を生み、購買へとつなげるための活動です。製品・サービスを購入してもらう以上、顧客にとって価格相応もしくはそれ以上の価値がなければいけません。また、適切なセグメント分けやターゲティングに加えて、競合他社との差別化および強みとなる部分のアピールも必要不可欠になるでしょう。単純に製品・サービスを販売するのではなく、“提供する価値に見合った対価をもらう”という効率をいかに最大化できるかがマーケティングの真髄といえるでしょう。

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製品・サービスを理解する

自社で提供している製品・サービスについてどれだけ理解しているか。これはビジネスを加速する上で非常に重要なポイントです。競合他社に対する優位性や強みの把握は、マーケティングおよびセールスの展開を有利にするでしょう。逆に弱点・仕組み・システムなどを熟知することでバージョンアップや次期製品へのフィードバックができるほか、サポートの対応能力や処理スピードがアップし、顧客満足度の向上にもつながるのです。また、こうしたつながりを実現する上では、製品・サービスに関する円滑な情報共有も欠かせません。

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明確な価格戦略を持つ

製品・サービスの理解と共に重要なのは、それが顧客にとってどれほどの価値を有しているか正しく見極め、ベストプライスを設定することです。もちろん薄利多売や多利薄売といったビジネスモデルは、製品・サービスの特性/生産の容易さ/生産量/ターゲット層/ニーズなどによって大きく変わってきます。場合によってはあえて高価格帯で提供し、ブランド価値を高めるような戦略も有効でしょう。こうした明確な価格戦略が、市場における製品・サービスのポジションを決定づける要素となるのです。

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人財の理解と確保を行う

商材の開発・製造はもちろん、保守・メンテナンスの実施やアイデア創出に至るまで、あらゆる業務に必要不可欠なのが人材です。特に労働者人口の減少が大きな課題となっている昨今では、この人材が企業にとって重要な財産であることを十分に理解し、“人財”としての適切な対応が求められます。

企業がまず行うべきなのは、社内にどのような能力を持つ人財がいるか把握することです。これにより適材適所の配置が可能となるほか、不足しているポジションの補充もピンポイントに行えます。また、社内で人財の能力を高めるための教育体系やキャリアパスの整備、貴重な人財の流出を抑える福利厚生や業務環境の拡充、業績に対する正当な評価と報酬といった面でも、十分な配慮が求められるのです。

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パフォーマンスを最大化する

いくら優秀な人財がそろっていても、業務自体のワークフローやシステムが非効率なものであれば、当然ながらそれ以上の成果は望めません。企業を取り巻く環境が刻々と変化を続けている中、現代のビジネスシーンにそぐわない旧体制のワークフローやシステムを使い続けているならば、それは思い切って社内改革に着手するチャンスでもあります。
たとえ一時的にコストが増加しても、たとえば改革によって営業担当者の顧客訪問件数が増えた、余分な会議体が減り意思決定までの時間が短縮された、ルートや担当者の最適化でフィールドスタッフの到着時間が短縮されたなど、中長期的な側面では企業にとって大きなメリットをもたらしてくれるのです。

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セールスを理解する

マーケティングとセールスは似て非なるものです。マーケティングの場合、製品・サービスの情報を顧客へ届けることで必要性の“気付き”を生み、購買へとつなげる“仕組みづくり”がメインといえます。これに対してセールスでは、製品・サービスへの購買意欲を実際の購買行動へと結び付ける“商材の販売”が主眼。いずれも商材を顧客に買ってもらうための取り組みですが、担当する領域やアプローチ方法が異なるのです。

これまでセールスといえば“足で稼ぐ”ような「フィールドセールス」が主体でしたが、近年では内勤型の「インサイドセールス」も普及してきました。もちろんこれらには「どちらが正しい」といった正解はないので、マーケティングと補完関係を築きながら、自社の製品・サービスに適した手法を選んでみてください。

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テクノロジーの恩恵を最大化する

自社で生み出すテクノロジーの質を向上させるという意味合いもありますが、一方でテクノロジーの導入により得られるメリットも極めて重要です。現代社会において、企業とテクノロジーには決して切り離せない密接な関係性があります。たとえば連絡手段は手紙から電話、電子メールやチャットへと進化し、手書きの帳票はPCでの管理、そしてクラウドサービスを利用した他システムとの連携にまで発展。さらに近年では、モバイルデバイスを用いた業務最適化、モノに対するデータ連携の幅が劇的に変わるIoT活用、ビッグデータやAI(人工知能)による確度の高い将来予測に至るまで、テクノロジーの進歩はビジネスを大きく加速させています。

こうした各種テクノロジを活用することで、企業の業務効率や将来的な成長度合いは大幅に変わってきます。もちろん一時的なコスト増となるケースもありますが、競合他社への優位性を生むという観点からも、新たなテクノロジーの導入は企業にとって強力な原動力となるでしょう。

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身近になりつつある「IoT」でデータ活用が加速!

本記事では、日本企業が“ビジネス”として成功を収める上で極めて重要となるであろう、米国で実践されてきたドリブンを10項目に絞ってご紹介しました。もちろんこれらすべてを一気に取り組むのは難しいかもしれませんが、まずはできる部分から着手し、“強い日本企業”を目指してみてください。

(企画・構成・デザイン:野島光太郎)

 

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