第17話|ビジネス用語が難しい by AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編 | データで越境者に寄り添うメディア データのじかん
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第17話|ビジネス用語が難しい by AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編

第17話|ビジネス用語が難しい by AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編

「AI事務員宮西さん」とは?

AI事務員なだけにAI生成画像を使って作っていて、AIデータについて書いた漫画です。保険会社で事務員として働く宮西さん。勤めている保険会社もこれからはAIの時代だとデータ部門の新設を行うことになりました。なぜか事務員の宮西さんが配属されることになり、データ組織を立ち上げるまでの話です。同じようにデータ組織を立ち上げる事を考えている人に入門書として書いてます。それでは本編をご覧ください。

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登場人物

宮西 京華(みやにし けいか)
保険会社で事務職をやっているデータマネジメント担当。歌い手動画を見るのが好き。



作者|西宮さんより解説

データマネジメント解説、連載の第17回が始まりました。
データマネジメントの推進計画を作るためにデータマネジメント成熟度アセスメントを行うことにした宮西さん。
前回はシステム面について調査を行いましたが、今回はデータを生み出して活用している業務部門を調査することにしました。
いざ取り掛かってみると、こちらは業種特有の専門用語の多さに辟易してしまいます。

・・・・・

システムの調査がやっと終わり、次はデータを生み出して活用している業務部門の調査を行うことにした。

「システムの構造はだいたい分かったけど、正直、データがどう生まれているのかはわかりませんでした」

私は松田先輩に正直な感想を伝えた。

「そうね、システムの設計図を見ても、実際に業務でどうデータが作られているかは分からないものね。今見ているデータは業務部門の入力によって生まれたものよ」

松田先輩はおっとりとした口調で頷く。

「ってことは、データがどのように生まれたのか知るためには業務の現場を知るしかないってことですよね?」

「その通り。まずは業務手順書を見て、どの業務でどんなデータが生まれているのかを整理してみるといいわよ」

「なるほど……分かりました。やってみます」

こうして、データの発生と活用を理解するため、松田先輩に紹介いただいた業務部門に問い合わせることにした。

「お忙しいところ恐れ入ります。DX推進の一環でデータの調査をしておりまして、業務手順書を共有していただけないでしょうか?」

「業務手順書は社内ポータルにあります。関係ありそうなものを送りますね」

「なるほど、では、参考までにいくつかのサンプルを拝見できれば助かります」

こうして、業務手順書を共有してもらうことになった。業務手順書を見れば、どのような業務でどのようにデータが生まれているのかが分かるはず。

データがどうやって生まれ、どう活用されているのかを知るため、業務手順書を共有してもらった。これを読めば、データがどのように生成されているのかが分かるはず……そんな淡い期待を抱いていた。

だが、開いた瞬間、その希望は粉々に砕け散った。

そこに書かれていたのは、まるで暗号のような文章だった。日本語で書かれているはずなのに、意味がまったく分からない。「正味収入保険料の算定基準を適用」「ソルベンシー・マージン比率を考慮した保険料試算」「保有契約高に基づくリスク評価」……え? 何これ? 日常生活では絶対に聞かない言葉がズラリと並んでいる。こんなの、本当に人間が書いたものなのか?

ページをめくるごとに、私の心は折れていった。結局、一時間ほど格闘したものの、理解できたのは「業務手順書は基本的に専門用語で埋め尽くされている」という事実だけだった。

「……松田先輩、これ、本当に読めるものなんですか?」

思わずそう尋ねると、松田先輩は「まあ、慣れればね」と笑った。その笑顔が、遠い世界の住人のように思えて仕方がない。

とりあえず、分からない単語を一つずつ調べるしかない。だが、その前に、深いため息をつきながらコーヒーを一杯飲むことにした。

・・・・・

データマネジメントを進めるうえで、ビジネスのドメイン知識が不可欠であることは言うまでもありません。
宮西さんの苦戦が示すように、業務手順書には業界特有の専門用語が多用されています。
データを適切に管理し、活用するには、そのデータが何を意味し、どのような文脈で使われるのかを理解しなければなりません。

例えば、「正味収入保険料」と聞いて、それが単に保険契約の売上ではなく、再保険による調整後の純粋な収益であることを知っていなければ、誤った分析をする可能性があります。
同様に、「ソルベンシー・マージン比率」が保険会社の支払能力を示す指標であり、一定基準を下回ると金融庁の指導対象になることを理解していなければ、リスク管理の視点が欠けたデータ分析になってしまいます。

データマネジメントは、単なるデータの整理ではありません。それをどう活かし、どのようなビジネス判断につなげるのかが重要です。
そのためには、データの背景にある業務プロセスや、事業の仕組みを理解することが求められます。
つまり、データを扱う者は、単なる技術者ではなく、ビジネスを理解する必要があります。

宮西さんの戸惑いは、データマネジメントの本質的な課題を象徴しています。
取り扱うデータがどのように生まれ、何のために使われるのかを知ることが、データ活用の第一歩なのです。

よしむら@データマネジメント担当
IT業界、金融業界、エンタメ業界でデータマネジメントを担当した経験を持ち、現在もデータマネジメント担当している。データマネジメント業界を盛り上げるために、経験を通して得た知識の発信活動を行っている。


本記事は「よしむら@データマネジメント担当」さんのデータマネジメントを学べることをコンセプトの4コマ漫画「AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編」のコンテンツを許可を得て掲載しています。

 

特集|AI事務員宮西さん(データ組織立ち上げ編)

保険会社で事務員として働く宮西さんは、会社がAI時代に対応するために新設したデータ部門に突然配属されました。事務員からデータマネジメントのリーダーへと成長していく宮西さんの奮闘記を描いた物語。

本シリーズ「データ組織立ち上げ編」では、宮西さんがデータ利活用組織を立ち上げるまでの挑戦を描きます。IT業界、金融業界、エンタメ業界でデータマネジメントを担当した経験を持つ著者「よしむら@データマネジメント担当」さんが豊富な経験を基に執筆しています。データ組織の一員の皆様には、ぜひご一読ください。

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