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作曲家兼プログラマー 早川大地がAIによる作曲について語る:「人工知能で作曲、ここまで来てた!!」

         

そしてそこから生成させたものが以下になります。それぞれ10パターンほど生成させて、一番良さそうなのをピックアップしました。(リズムがわかりづらいので、少しだけドラムを入れてあります)

https://data.wingarc.com/wp-content/uploads/2018/10/KagomeKagomeGen.mp3?_=1


どうでしょうか?

メロディだけなので正直Amper MusicやJuck Deckの作る音楽に比べて少しピンとこないかもしれません。しかしこちらにもしっかりと調性があり、終止形、展開等のモチーフを読み取ることができます。モチーフを変奏して行くことでバリエーションを作って行く、という本来の人間のメロディ作成過程に極めて近い印象を受けます。

これは学習データを増やす・精度をあげる、などするとより強化されていくと思われます。ちなみに最初に学習に少し時間がかかるのですが、それを終えてしまえば、10パターンでも1000パターンでもほとんど時間がかからずに作ることができます(現実問題としてそんなにたくさんは聞けないというのはありますが)。

実際、どういう使い方ができそう??

最初にとりあげた、AmperMusicやJuckDeckはあくまでも自動伴奏アプリ、コード提案アプリの延長線上という感じではありますが、ビデオ編集のBGMなどでの利用はすぐにでもできるでしょう。今後はCM音楽なども視野に入ってくると思います。

クオリティについてはまだ人間と同等とはいかなくても、イメージを具体的に伝えられるし、リテイクが何度でも素早く可能というメリットもあるわけです。そうなると早くも「作曲家の仕事を奪う」状況になるでしょう。実際にAmper Musicで製作されたサウンドに手を加えたものがリリースされています。(下記の動画:Break Free – Song Composed with AI | Taryn Southernがそれです。)

そして、magentaのようなメロディ作成アプローチの方向は、そのまま楽曲を自動で生成させるまでは少し時間がかかりそうですが、早い段階で作曲家の補助ツールとして威力を発揮しそうです。

一瞬にして何十、何百といったメロディを生成してくれるわけですから、あとは作曲家はそれを取捨選択してつなぎ合わせるだけ、のようなことが可能になります。Aメロ・Cメロは作ったけど、BメロはAIに任せよう、といったような利用法も考えられます。さらに自動伴奏などの技術はある程度枯れてきていますし、Amper Music的な技術を組み合わせれば、かなり様々な音楽の生成ができそうです。

論理的作業だけでなく、音楽や絵画など正解が一つじゃない、従来コンピューターが苦手とされていた感性的世界にまで踏み込んできたAI達。この分野においてもひょっとして人間はもうすぐ勝てなくなるかもしれません。

しかし、冒頭の「OK Google、プレゼント用のオリジナル曲を作って」で、作成した楽曲を誰かにプレゼントした場合、その楽曲は果たして喜んでもらえるでしょうか????

アーティストも「アーティストが作ってるから心がこもってる!」なんてファンに言われてしまう時がくるかもしれませんね。

この部分だけはかろうじて人間にまだ軍配が上がりそうです。

ライター:早川大地

アプリ・音楽・メディア制作を行う株式会社バイラルワークス代表。

東京大学大学院学際情報学府修士課程。自身も音楽プロデューサー、作曲家としての顔を持つ。アーティスト活動に加え、ドラマ主題歌、ゲームなどヒット作多数。現在は仕事をしながら1〜2カ月ごとに国を移り、十数カ国を渡り歩く「移住生活」を行っている。

 

ライター:早川大地

アプリ・音楽・メディア制作を行う株式会社バイラルワークス代表。

東京大学大学院学際情報学府修士課程。自身も音楽プロデューサー、作曲家としての顔を持つ。アーティスト活動に加え、ドラマ主題歌、ゲームなどヒット作多数。現在は仕事をしながら1〜2カ月ごとに国を移り、十数カ国を渡り歩く「移住生活」を行っている。


tensorflowによるメロディ生成を試してみた

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