OpenAI社の『ChatGPT』が”iPhone”以来と言われるほどの大きな衝撃を世界に与えた2023年、さまざまな生成AI関連サービスが立ち上がっています。そのひとつとしてご紹介したいのが、2023年2月に一般にリリースされたNotionAIです。
筆者も使ってみた結果、その機能には文章作成や翻訳、アイディア出しといった業務の効率を何倍にも高める可能性があると感じました。
本記事では、2023年8月末時点においてNotionAIでできることやChatGPTとの違い、使い方について「Notionって何……?」という方でもわかるようイチから解説いたします。
Nortin AIは、メモ、ドキュメント作成、タスク管理、Wiki作成などのワークスペースが利用可能なアプリ『Notion』のAIアシスタント機能です。
2015年にCEO、Ivan Zhao氏が京都に逗留した際に得たインスピレーションが開発に生かされているという、日本とも関わりの深いこのサービス。日本語ベータ版が2021年10月、日本語正式版が2022年10月に公開され、日本でのユーザー数がさらに広がりつつあるなかで2023年2月に正式リリースされたのが「Notion AI」でした。
Notionは「フリー(無料)」「プラス($96/年、$10/月)」「ビジネス($180/年、$18/月)」「エンタープライズ(要問合せ)」の4つのプランを用意しており、料金が高くなるほど大規模な組織向けとなり、大人数でのコラボレーションや高度な設定・管理が可能となります。
とはいえ、まだ使ったことがないならばまずは「フリー」で利用してみるのがおすすめです。下記画面の通り、筆者はアイディアのメモ帳やタスク管理にNotionを活用しており、豊富なテンプレートの中でも「ToDoリスト」や「カレンダー」をよく使います。
※画面の一部を灰色の四角で隠しています。
ほかにも部署のノウハウを集約したWikiページを作成して共有・編集したり、プロジェクト管理に用いたり、ブログや書籍をNotion上で直接編集したりと、できることはさまざま。
下記のようなデータのじかんの過去記事でも、HPを作成したり、ルールブックを作成したりといった業務にNotionが用いられています。
さて、NotionAIを使う方法は簡単。Notionのページ上で「スペースキー」を押すだけです。無料でも20回までは利用することが可能で、それ以上は「$96/年、$10/月(※年払いが利用できるのは有料プラン加入者のみ)」の課金が必要になります。
※画面の一部を灰色の四角で隠しています。
呼び出されたウィンドウには「AIを使用して文章を作成」「ページから生成」「ページを編集またはレビュー」「AIでドラフトを作成」「AIでブロックを挿入」「最近のアクション」の6つに分類された機能が利用可能です。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
「続きを書く」ボタンを利用して、AIに文章を書かせることができます。
「NotionAIは」という書き出しの続きを書かせた結果は、次の通り。
ご覧のように、「続きを書く」でさらに続きを書かせたり、「長くする」で長文にさせたりする機能もシームレスに提供されます。
「要約する」「アクションアイテムを抽出する」「翻訳する」「説明を付ける」の4つの選択肢が用意されています。
たとえば、筆者が執筆した記事『「オンプレミス回帰」とは? その3つの理由や単なる“脱クラウド”ではない実態について解説!』のリード文をページにはりつけ、それぞれの手法で「ページから生成」した結果は、次の画像の通りです。
要約する→1番目(黄色のマーカー)
アクションアイテムを抽出する→2番目(青色のマーカー)
翻訳する(英語)→3番目(赤色のマーカー)
説明を付ける→4番目(緑色のマーカー)
下記のようにさまざまな手法で、指定した文章を編集・レビューさせられます。
・文章を改善する
・スペルと文法を修正する
・短くする
・長くする
・トーンの変更<「フォーマル」「カジュアル」「率直」「堂々とした」「フレンドリー」>
・シンプルな表現に置き換える
たとえば、先ほど例として使用したリード文をわざと下手に書き換えたうえで、「文章を改善する」機能を使った結果が以下(黄色マーカー部分)です。
指定したテーマについて、AIがドラフト(たたき台)を作成してくれる機能です。ドラフトの選択肢は下記の通り豊富に用意されています。
・アイデアのブレインストーミング
・ブログ投稿
・アウトライン
・SNSの投稿
・プレスリリース
・創作ストーリー
・エッセイ
・詩
・ToDoリスト
・会議のアジェンダ
・長所・短所のリスト
・職務記述書
・営業メール
・求人募集メール
たとえば、「アイス店の冬における集客方法」というテーマについて「アイデアのブレインストーミング」を依頼したところ、以下の選択肢が列挙されました。
Notionにおけるブロックとは、ページを構成する要素の単位であり、文章、画像、表、コードといったブロックを組み合わせることでコンテンツが完成するイメージが提示されています。
「AIでブロックを挿入」では、「要約」「アクションアイテム」「カスタムAIブロック」の3つの選択肢が用意されており、1~4で提示したような作業を行うためのブロックが生成されます。
これまでに行った操作の履歴を参照し、クリックすることで再度操作を行うことができます。
ChatGPTは、OpenAI社によって2022年11月に発表された対話型生成AIサービスであり、自由に文章を入力して指示を行うことで文章やプログラミングコードを書かせることができます。
さて、「ChatGPTとNotionAIどちらが便利か?」という巷にあふれる疑問の答えは、凡庸な答えで恐縮なのですが「使い方と目的による」というものになります。
そもそもNotionは、ChatGPTに使用されているGPT-3.5やGPT-4の旧バージョンであるGPT-3というLLMを基盤にしており、まったく別のサービスというよりは「ChatGPTのNotionに特化したバージョン」と捉えた方が正確に実態を表しています。
そのうえで、重要な違いとしては下記3ポイントが挙げられるでしょう。
2023年8月末時点で、ChatGPTの有料版「ChatGPT Plus」の利用料金は「$20/月」であり、「NotionAI」より$10~$12/月程度高額です。ただし、プラン内容の違いや無料体験の範囲(ChatGPTは一定の文章の長さや質問回数制限内であれば無償で使いつづけられる)が異なるため、一概に「NotionAI」のほうがお得とはいえません。
ChatGPTの有料プランに加入すれば、GPT-3やGPT-3.5の上位モデルであるGPT-4を利用できるようになります。GPT-4はパラメーター数や最大トークン数など性能が大幅に高まっており、より自然な文章の生成が可能です。NotionAIにGPT-4は使われていません。ただし、今後のアップデートで導入される可能性はあります。
先に述べた通り、NotionAIはブログ作成やタスク管理、ブレインストーミングなどNotionユーザの目的を達成することに特化して開発されています。そのため、当然ながらNotion外では使えません。ChatGPTはより「なんでも屋」として利用可能な生成AIであり、「ChatGPT for Google」のようにChatGPTのアプリ外で使えるプラグインも提供されています。
NotionAIについて実際の利用画面なども使ってご紹介いたしました。
ChatGPT、NotionAIいずれの有料版も使ってみた筆者の個人的な感想は、「用途が限定されている分、NotionAIの方が使い勝手が良い」というものです。ただし、これはライターという職業柄にも大きく影響されているでしょう。まだ無料枠を使い切っていないという方は、まずは体感してください。あなたの仕事の効率を大幅に高めてくれるかもしれません。
(宮田文机)
・Notion、「Notion AI」を正式リリース┃PRTimes
・料金┃Notion公式
・Notion AIを使って可能性を広げる┃Notion公式 ・メールインタビュー『Notion』CEO Ivan Zhao氏に聞いた、開発に明け暮れた日々で京都が教えてくれたもの┃kyo-working ・Ivan Zhao『Notion AIを正式リリースしました!』┃Notion公式 ・Notion AI┃GPT-3 Demo| AI use cases
・ChatGPT
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