About us データのじかんとは?
ホームページや紙媒体に名画を使用したい。でも正確な比率やアングルの素材を見つけるのは難しい。見つかっても、写真自体に著作権があって使用できないかも…。
デザイン系の仕事をしている人なら、結構ありがちな悩みかもしれませんね。そんな方に朗報です!愛知県美術館のホームページで、同館所蔵の作品画像をダウンロードし、営利・非営利に関わらず自由に使用できるようになりました。
同館は11月19日にウェブサイトをリニューアルし、現在では1200点以上の画像が公開されています。「パブリック・ドメイン」と表記されている画像は申請なしで直接ダウンロードできます。
作品の所蔵元から提供される画像のためクオリティが高く、さまざまな用途に使用できるのが嬉しいところです。
そもそもパブリック・ドメイン(Public Domain)とは一体なに? と思われる方もいるかもしれません。パブリック・ドメインの定義は、「著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態または消滅した状態のこと」。
愛知県美術館の場合は所有者が知的財産権を行使しないで名画の画像を公開していることが、これに当たります。ちなみに、QRコードも開発元の意向でパブリック・ドメインなんですよ。
それでは、愛知県美術館ウェブサイトで実際にどのような作品がダウンロードできるのか見てみましょう。
まずは同館の目玉作品、クリムトの「人生は戦いなり(黄金の騎士)」。この作品が制作されて1903年当時、クリムトはウィーン大学大講堂の天井画を巡るスキャンダルに巻き込まれていたそうで、それを踏まえると意味深なタイトルです。1908年に完成した傑作「接吻」の世界観にも繋がる楽園のイメージが、ここで早くも見られます。
「人生は戦いなり(黄金の騎士)」(1903、愛知県美術館蔵)
「叫び」で有名なムンクの初期作品のコレクションも、パブリック・ドメインとしてダウンロード可能。
同館は実はピカソの作品を42点も所蔵しているのですが、残念ながらピカソ作品でパブリック・ドメインのものはありません。
同館はダウンロードした画像を利用する際の注意事項として、「所蔵者名の表記」「トリミング・改変の表記(画像をトリミングして利用する場合)」「第三者の権利の許諾(第三者が著作権やその他の権利を有している場合)」の3点を呼びかけています。
パブリック・ドメインのトレンドの口火を切ったのは、ニューヨークのメトロポリタン美術館でした。同館は2017年、37万点以上の所蔵作品をパブリック・ドメインとしてダウンロード可能にしました。ダウンロード可能な画像には絵画作品だけでなく、膨大な磁器や彫刻のコレクションも含まれます。
これに続き、2018年にはシカゴ美術館が4万点以上の所蔵作品画像をパブリック・ドメインとして開放しました。
こうした各施設の動きには、パブリック・ドメインの開放によりウェブサイトへのアクセスを促し、来館者や会員数の増加に繋げると共に、開かれた芸術施設というブランディング目的もあるようです。
これから何かクリエイティブな活動に取り組むとき、美術品の画像が必要になったら − 迷わずこうした施設のウェブサイトへGo!ですね。
参照リンク: ・愛知県美術館がウェブサイトをリニューアル。クリムトやボナールなど1200点以上のコレクション画像が 自由ダウンロード可に ・ゴッホにモネ、フェルメールも! メトロポリタン美術館所蔵の 作品画像37万点が自由利用可へ
(佐藤ちひろ)
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