河崎 「どのようにデジタル人材を確保・育成しているか、どのような工夫をされているか」に質問を変えたいと思います。では早稲森さんからお願いします。
施策してはITパートナーに参画してもらい素養のある若手を育てたり、出向いただいたり。大学との共同研究をおこなったり、アメリカ開発チームにプロジェクトをリードさせて、日本のチームも勉強しています。
またモチベーションを高めるために昇級、昇格の基準を変え、マネジメント業務をしなくても良い技術に特化したスタッフを育成しています。ですが、まだまだ必要としている人数に対して足りていない状況です。
河崎 広島も福岡と同じで、地方ですからなかなか人材の確保が難しいですよね。では長谷川さん、お願いします。
比較的順調に育っているのですが、既存のプロセスを変革する人材はなかなか育っていません。特に管理職の思考の切替えに苦労しています。たとえば本来は若者向とシニア向けでそれぞれ異なるインターフェースを作らなくてはいけないはずですが、実装最適を追求してきた彼らはそれを無駄だと捉えている。そこで実装最適だけで考えるチームと顧客最適を突き詰めるチームとで部署を切り分け、APIで連携しつつ組織を運営しています。
しかし既存の業務プロセスを変えるには新しい考え方が必要なので、新たに社員を育てるしかありません。その際には技術よりも「もっと良いものを作っていけるんじゃないか」というイノベーション的なセンスを重視し、そのうえでデジタルスキルを埋め込んでいく形で育成しています。
私はデジタルトランスフォーメーションとは、一人で引き起こすのではなく、会社全体で企業の文化を変えていくものだと思います。会社全体がデータドリブンに変わるためどのようにシフトいくべきか、管理職層とともに組織を変えるようにしている段階です。
一方で、入社4〜5年目良い意味で会社の文化に染まってない若手にデジタルトランスフォームに触れる機会をつくり、経験をさせることにチャレンジしています。具体的にはセミナーへの参加を促したり、社内のファイルサーバーを全てやめてクラウドサービスに移行する作業も、すべて若手にやらせています。他には、社内に在籍する専門性の高い人達を情報企画部と兼務させ、研究や技術開発だけでなくビジネスの現場に適応できる場を提供しています。
「2025年にどんな企業になっていたいか?」を思い描くのは管理職ではなく若手であるべきですし、管理職との境界線を壊さないとデジタル人材を排出することは難しいのではと考えているところです。
デジタル人材の確保に付きましては3つの方法で取り組んでおります。中途採用と社内公募、そして新卒採用で理系の枠を増員しています。悩みとしては、早稲森さんもおっしゃっていたとおり、中途採用はなかなか採れません。給与面で折り合いがつかなかったり、福岡の立地も影響しています。それらを克服するために有期雇用で別の給与体系ができるようにし、少しずつ確保できている状況です。
また、デジタル戦略部設立後に社内公募なども実施しています。
新卒理系採用の増員については、理系だからデジタル人材とは言いきれませんが、素養のある人材を採っていこうということで取り組んでいます。
育成についての工夫としては、若手を10名ほどデジタル企業に手弁当で1年間出向させ、戻ってきたら次の若手をまた出向と繰り返しており、常時10名程度が外部のデジタル企業で勉強しているという環境を作り、早期育成を図っています。
デジタル人材の明確な定義も無く、こんなアプローチしかできていないのは自慢ができるものではありませんが、何かしないといけないとの思いで取り組んでいるのが現状です。
各社デジタル人材の確保について伺いましたが、事業のどの分野のデジタル化を担うかによって人材確保のアプローチ方法も変わってくるはずです。長谷川さんがおっしゃっているような、既存の運用業務のデジタル化という場合は、外から人材を連れてきてもすぐにできないわけで。逆に、銀行のようにいままで100%ウォーターフォール型で作っていた社員がネットやモバイルサービスを作ろうと思ったらやってきたことを別の視点からアプローチしていくような人材が必要です。
各社各様、目的に寄って確保や育成の方法も違うとよく理解できました。
では、最後のテーマ「IT部門リーダーの役割」に移りたいと思います。
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