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【明日話したくなる豆知識】1円の原価はいくら?平成の終わりに知っておくべき1円の話!

         

「で、それって原価いくらなの?」

インターネット上の議論で時折、このような言葉が飛び出すことがあります。実際、生活の中で欲しいものを手にとってみて、これって原価いくらなんだろう、と考えてしまう瞬間がある、なんて人も少なくないんじゃないでしょうか。

そこでふと気になったのが、「お金の原価」です。

「1円玉っていくらで作られているんだろう?」

そんな疑問から、今回は意外と知らない「1円の知識とその原価」をご紹介します。

1円玉の製造枚数が時代を物語る

まず1円玉の基本的な知識からご紹介します。

現在のような、アルミニウム製の1円玉が作られ始めたのは1955年のことです。現行の1円玉が作られる前には、1円黄銅貨1円紙幣がありました。

しかし、1円黄銅貨が1953年に廃止され、その後2年間、1円紙幣のみが新たに流通するようになりました。そして、1954年に1円玉のデザインの公募が行われました。その結果、2,581点の応募があり、表と裏それぞれ一点ずつデザインが採用され、現行の1円玉に至ります。それから60年以上、1円玉の姿は変わっていません。

1円黄銅貨(出典:Wikipedia

そんな1円玉の製造枚数を見てみましょう。造幣局の公式ホームページが発表している、「年銘別貨幣製造枚数」より、過去62年間(1955〜2017年)の製造枚数をグラフにしたものがこちらです。

引用元:造幣局「年銘別貨幣製造枚数」

一円玉の製造枚数の平均は、なんと約6億9千万枚。これまでに製造された1円玉は4400億枚にものぼります。

しかし、1円玉はいつの時代も安定的に製造されていたわけではありません。1円玉の製造枚数は時代に合わせてどんどんと変化しているのです。

例えば、高度成長期真っ只中の1960年代前半(昭和30年代後半)は、高度経済成長や、自動販売機の普及によって、硬貨が慢性的に不足し、国を挙げて1円玉の製造が行われました。その結果、1円玉の数が一気に増加してしまい、昭和40年代前半は、1円玉の製造枚数が一気に減少します。昭和43年には、1円玉の製造枚数が0枚になります。

引用元:造幣局「年銘別貨幣製造枚数」

その後、1973年(昭和48年)から始まる安定経済成長期の影響から、再び1円玉が作られるようになります。

引用元:造幣局「年銘別貨幣製造枚数」

昭和の終わりにかけ、徐々に製造枚数が落ち着いてきましたが、平成元年、元号の変わり目と、消費税3%の導入による需要の増加によって、平成0年代の前半は、年間平均で約20億枚が製造される「大1円玉時代」が到来します。

引用元:造幣局「年銘別貨幣製造枚数」

しかし、1997年(平成9年)に消費税率が5%になったことで、需要は落ち込み2000年代の一円玉の年間平均製造数は7800万枚程度まで減少します。さらに2011年に入ると、電子マネーの普及も影響し、年間製造枚数が100万枚に満たない状態が続きます。

そして2014年に、消費税率が8%に上がったことで、一時的に発行枚数が増加の傾向を見せますが、2016年には再び製造枚数は100万枚を割り込むようになりました。

直近の1円玉の原価はいくら?

調べてみると意外と深い1円玉。ではいよいよその原価を見ていきましょう。

1円玉の原価は、アルミニウムを硬貨の姿に成形した「円形」の調達価格から推察できます。

ちなみに円形の調達価格は、造幣局公式ホームページの落札状況から見ることができますので、気になった方は是非見てみてください。

では、直近の円形の調達価格を見てみましょう。造幣局が最後に円形を調達したのは、消費税が8%に上がった2014年平成26年のことです。この年、造幣局は2度にわたり円形を購入しています。

一度目の調達は、5月に「緊急」と称し、3000万枚の円形を1億300万円で落札しています。つまりこの時の1円玉1枚当たりの価格は、およそ3.4円。1円玉に対して、その価値、実に3倍以上!

しかし、7月に行われた二度目の調達では、6000万枚の円形を4700万円で落札。この時の原価は約0.8円でした。

結果的に、2014年の1年間で調達された9000万枚の円形の1枚当りの平均調達価格は約1.7円ということになります。

ちなみにアルミニウム1gあたりの価格およそ0.2円(2019年現在、アルミニウム価格は1トンあたり1,853.72USドル、一ドル110円で計算)となっています。

今年の1円玉の製造、どうなる?

すでに今年の4月30日に天皇退位が決定し、翌5月1日からは新元号に切り替わることが発表されています。新元号の決定によって、記念硬貨が多数製造されることが予測されますが、一円玉の需要が減っている昨今、わずか4ヶ月間の平成31年の間に1円玉が製造されることはあるのでしょうか?

もしないとするならば、平成31年は、昭和43年以降実に50年ぶりに1円玉が製造されない年となります。

また、元号の切り替えに伴う硬貨製造によって、新たに円形が上達されるとしたらそれは一体いくらいないのでしょうか?

平成最後の1円玉事情、あなたはどんな予想をしますか?

まとめ

さて今回は、意外と知らない「1円の知識とその原価」と称し、1円玉の製造枚数や1円玉の原価について調べてみました。
その結果、

  • 1円玉の製造枚数から高度経済成長や、消費税の増税など日本の現代史の一面が見えてきたこと
  • 昭和43年製の1円玉は存在しないこと
  • 最新の1円玉の原価はおよそ1.7円であること

が分かりました。

社会のキャッシュレス化が進む中、一円の価値しかないにも関わらず製造するのに一円以上のコストがかかる一円玉は本当に必要なのでしょうか?製造コストだけでなく、移動コスト、そして各店舗でお釣りを用意するスタッフの人件費、お釣りを渡す人、受け取る人の人的コスト、このあたりまで含めて考えると、一円玉が存在していることは効率的だと言えるのでしょうか?年間8兆円と言われる現金を維持するためのコストを他の経済活動に回せるとすれば、もしかしたらその方が日本経済にとっては良いことなのかもしれません。

みなさんはどうお考えでしょうか?

さて、今回はデータからわかる一円玉についてのお話をお届けしました。何気ない疑問でもデータを見ると思いもよらなかった興味深い視点が見えてくることがあります。みなさんもぜひ、疑問を感じたり、興味を持ったものに関するデータを調べてみると普段と違った世界が見えてくるかもしれませんよ!

参考引用サイト:
1円玉原価割れも 金属値上がりでおカネづくり一苦労 | 日本経済新聞
造幣局公式HP 
一円硬貨 | Wikipedia
アルミニウム価格の推移 | 世界経済のネタ帳

(大藤ヨシヲ)

 

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