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次の「ラーニングヒーロー」はあなたかもしれない!第2回「データ界隈100人カイギ」データの先駆者が近視眼ではないリスキリングについて語る

次の「ラーニングヒーロー」はあなたかもしれない!第2回「データ界隈100人カイギ」データの先駆者が近視眼ではないリスキリングについて語る

2025年7月18日、データに関わる多様な人々が集うコミュニティ「データ界隈100人カイギ」の第2回イベントが開催されました。

今回のテーマは「ラーニングヒーロー会」。リスキリングを通じて、新たなキャリアや価値を切り拓いてきた4名の登壇者にご登場いただきました。ITツールベンダー、エンジニア、CDO、コンサルタントなど、多彩な分野の実務家がオンラインとオフラインのハイブリッド形式で集結しました。

2025年7月18日開催|データ界隈100人カイギ#02|データ界隈、せっかくだから繋がろう!ラーニングヒーロー会

2025年7月18日開催|データ界隈100人カイギ#02|データ界隈、せっかくだから繋がろう!ラーニングヒーロー会

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当日は、本カイギのキュレーターを務める臼井琴美さん、マスクド・アナライズさん、よしむらさんも駆けつけ、会場を盛り上げました。

(写真左より)データ横丁 臼井琴美さん/AIコンサルタント マスクド・アナライズさん/データマネジメント よしむらさん

ウイングアーク1st 野島光太郎さん

冒頭では、「データ界隈100人カイギ」発起人であるウイングアーク1stの野島光太郎さんが登壇。

「データ界隈100人カイギ」は、データを軸に働く実践者たちが、立場や業種を超えてつながる“共創”の場。サイロ化された組織や断絶された知見を乗り越え、現場のリアルな声と出会うことで、新たな発見や連携を生み出したいと考えています。

全国各地で展開される100人カイギのフォーマットを活用し、100人の登壇者を迎えたら解散する、期間限定の学びの場。合言葉は「データを捨てよ、街へ出よう」。リアルとオンラインが交差するこの場所から、学び合いの風景を育んでいきたいと説明をしました。

今回のセレンディピティ・トリガーは、さまざまな名言(迷言?)ステッカー、そして実務になると神頼みしたくなることもしばしば…ということで、お守りを皆さんに配布しました。また、本イベントが記載されたブラックサンダーも好評でした。

セレンディピティ・トリガーの名言ステッカーとお守り、ブラックサンダー

「次のラーニングヒーローへ」想いをつなぐ開幕セッション──ダイハツ工業株式会社 太古無限さん

続いて、「ラーニングヒーロー会」を担当したキュレーター、ダイハツ工業株式会社の太古無限さんが登壇。元々エンジンの開発を担当していた太古さんですが、現在は社内のデジタルに関わる部分はもちろん、社外でも大学で教鞭をとったり、コミュニティの参加や立ち上げなど幅広い活躍をされています。今年1月には、Forbes Japan CIO Award 2024-25 チェンジレガシー賞を受賞されました。

ダイハツ工業株式会社 太古 無限さん

今回のテーマである「ラーニングヒーロー」は、株式会社ベネッセコーポレーションが開催している「Benesse Reskilling Award」において、「事業や業務への課題・目的意識をもったラーニングヒーローとして、学びを組織のために活用し、成果を創出している」個人へ贈られる賞です。その「ラーニングヒーロー」を受賞した方々を始め、リスキリング、つまり学び挑戦し、会社や組織、日本へ貢献をしている方々にスピーカーとして来場していただきました。

データ界隈と言っても、扱うデータやツールは人それぞれです。一方で、その挑戦の背景や過程、気づきは、参加者各々が持ち帰られるものでもあります。これまで太古さんが学んだことを社内外問わず横展開し、自他ともに気づきを得て次のステップへと進む。そのような場をこの「データ界隈100人カイギ」でも作りたいとこの会を企画しました。ここに来た人みんなが「次のラーニングヒーロー」にという言葉とともに、セッションはスタートしました。

まずはつながることから——名刺と笑顔が行き交うアイスブレイク

ここで、早速参加者のつながりを持つため、アイスブレイクをしました。会場のテーブルには3〜5人程度の参加者が着席しており、まずは同じ机を囲むメンバーで自己紹介、名刺交換を実施しました。太古さんのお話で、つながりの重要性を再認識した参加者の皆さん。約5分ほどと短い時間ではありましたが、積極的につながりを育むことができました。

「月100時間の学び」で道を切り拓いた挑戦者──トヨタ自動車株式会社 奥田 賢さん

トヨタ自動車株式会社 奥田 賢さん

本日のスピーカー、トップバッターとして登壇されたのは、トヨタ自動車株式会社の奥田 賢さん。もともとは、自動車の振動・騒音に関する業務に従事し、アナログな分析方法で行っていました。しかし、社内外を問わず活躍できる人材になりたいという思いから、自宅に研究所を作り、夜な夜なデジタル技術について学習をスタートさせました。奥田さんは、「楽しい」と感じる気持ちを原動力に積み上げた、月100時間の学習を通して、車の物理モデルなどを製作。業務への還元が評価され、約1年後にはデジタルクロスファンクションチームというところに招集されました。

新たな職場では、DXのプロフェッショナルが集まり、言葉が通じないこともあったそうです。しかし、その場でも一念発起し、毎日学習を重ねる中で再び楽しさに気づきました。現在は、データサイエンスを社内外に広める活動にも積極的で、800名以上が参加する「データサイエンス実践道場」の運営、地域の子どもたちへの教育活動なども行っています。家庭では、子どもと一緒にAIや魚のさばき方を学ぶなど、学びの喜びを日常に取り込む姿勢が印象的です。

最後は「ネットワーキングに全力で臨みます!」という宣言で締めくくられ、会場の雰囲気を一層和らげ、笑顔を誘いました。

既知の5%の積み重ねの先に、リスキリングは成る──株式会社コモレビ 松本 健太郎さん

株式会社コモレビ 松本 健太郎さん

続いてのスピーカーは株式会社コモレビの松本健太郎さん。株式会社コモレビでは、食品業界に特化して商品の戦略設計を支援する伴走型パートナーを務めています。もともとは文系出身で営業職としてキャリアをスタートした松本さんですが、その後データやマーケティング、人工知能の分野へと大きく舵を切り、これまでに国内18冊・海外6冊も書籍を執筆しています。今回は、そんな松本さんがどのように学び、キャリアを切り拓いてきたのかを語りました。

自身のリスキリング体験を振り返りながら、「学ぶとはどういうことか」という本質的な問いに対して、認知心理学の視点を交えて紐解いていきました。「人が“わかった”と感じるのは、新しい知識がすでに持っている知識と結びついたときだ」と語り、未経験領域に対する効果的なアプローチとして「すでに5%くらい知っているところから入る」ことを提案しました。

また、「わかるということは、“知識が増える”ことではなく、“知識がつながる”こと」という印象的な言葉も。自身の学習体験に基づき、論理的に展開される「学び」のプロセスは、学び方に悩む参加者にとっては、強く背中を押される内容となりました。

「あと一歩を諦めない」挫折の先で出会えた新たな自分──タキヒヨー株式会社 山口 比奈子さん

タキヒヨー株式会社 山口 比奈子さん

最後のスピーカーは、タキヒヨー株式会社の山口比奈子さん。EC販売とマーケティングの両チームを兼任する山口さんですが、実は、16年半体操に打ち込み、国体優勝経験もあるアスリートでした。

非エンジニア出身の山口さんは、2020年にECサイト運営に携わったことをきっかけに、翌年にはLP制作に挑戦しました。しかし、HTMLやCSSを独学するも一度は挫折。それでも「楽しい」と感じた瞬間が体操経験と重なり、再挑戦を決意しました。2023年にプログラミングスクールを修了後、AWS資格を取得したことがキーポイントになり、チーム初のデータエンジニアと新規事業開発を兼任。

SQL設計では生成AIを活用し、設計内容や修正過程をAIに記録させながら設計書を仕上げるスタイルを実践することで、非エンジニアでもコツコツと理解を深めながら学習を進めました。

リスキリング成功の背景には、実務で挑戦させてもらえた環境と、必要なスキルを学べるよう整備された学習環境がありました。一方で、環境だけではなく「固定観念を捨てる」「努力の方向性を間違えない」「あと一歩を諦めない」という強いマインドセットが支えとなっていたことも印象的でした。「責任と自由はイコール」という考えを軸に、できる範囲で最大限の挑戦をし続ける。その結果、「自分も知らなかった自分」に出会うことができたと語る山口さんの姿に、私たちも大いに奮い立たされました。

学びの背景にある“火種”を語り合うパネルディスカッション

パネルディスカッションの様子

イベント後半、太古さんの進行のもと、登壇者3名によるパネルディスカッションが行われました。ディスカッションは、各自の発表を受けて「他の登壇者の話で印象に残った点」を共有するところからスタート。

山口さんは、松本さんの「スキルを30%ずつ拾っていく」というリスキリングの考え方に共感。自身の学びの進め方に確信を持てたと語りました。

松本さんは、奥田さんが話していた「月100時間の学習で何を学ぶのか?」という点を取り上げ、奥田さん自身の視点を引き出しました。奥田さんは、業務に役立つデジタル知識だけでなく、上司に新たな技術を取り入れてもらうための説得の仕方も学んでいたと説明。周囲への働きかけの重要性を強調しました。

奥田さんは山口さんの「一度プログラミングで挫折した話」に強く惹かれたと話し、原体験と再挑戦の姿勢が共感を呼んだとコメント。山口さんはその背景として、体操競技での挫折経験が「負けたくない」という学習意欲につながっていると明かし、技術の習得と向き合う内面的な変化を語りました。

その後、「何を学ぶべきか?」という問いに対して、松本さんは「心に素直になること」がリスキリングの起点だと回答。奥田さんは「自分ではなく誰かの課題を出発点にすること」の重要性を伝えました。山口さんは「直面した課題から逆算して学ぶべきスキルを見出す」プロセスを共有し、実践的な視点を補足しました。

ディスカッションの終盤では、登壇者の原体験やモチベーションの源が語られ、それぞれ異なる立場であっても「誰かのため」「楽しさ」「過去の経験」が、学びの火種となっていることが浮き彫りになりました。会場からも笑いや共感が漏れる和やかな雰囲気の中で、イベントの締めくくりとしてふさわしい、等身大の学びの姿が共有されました。

データ界隈100人カイギを支える、運営メンバーの想い

イベントの最後には、運営メンバーの紹介とともに、コミュニティマネージャーの佐々木さんからご挨拶がありました。佐々木さんをはじめ、井上さん、堀部さん、八巻さん、そして野島さんが、この「データ界隈100人カイギ」の立ち上げと運営を支えています。

「参加者同士がつながりを育み、刺激を持ち帰れる場を、これからも共につくっていきたい」。そんな想いが語られ、最後は“この場をより良いものにしていきましょう”という前向きなメッセージで締めくくられました。

ネットワーキングを通じた感化の連続で新たな学びへ「データ界隈懇親会」

講演後にはネットワーキングの時間が設けられ、参加者・登壇者・キュレーターが一体となって交流を深めました。業界や立場を越えて交わる言葉には、現場の想いやリアルな課題感が詰まっており、会場には共感と熱気が満ちていました。

会場のあちこちで「こんな視点があったのか」「自分の現場にも活かせそう」といった前向きな会話が飛び交い、それぞれの実践が垣間見える濃密な時間となりました。

つながりが芽吹きはじめた、学びの文化の現在地

「データ界隈100人カイギ」は、ITツールベンダー、コンサルタント、CDO、データサイエンティスト、エンジニア、ビジネストランスレーターなど、多様な立場の実践者たちが一堂に会する“つながりの場”。

#02では、登壇者の等身大のリスキリングストーリーと、それを受け取った参加者同士の対話を通して、これからの学びの種があちこちで蒔かれました。

毎回異なるテーマと顔ぶれが集まり続けることで、ただの刺激や一過性の熱気ではなく、やがて継続的な行動や文化の萌芽につながっていく。そんな「学びとつながりの連鎖」を、これからも後押ししていきたいと感じさせる一夜でした。


【次回11/21開催のテーマは「面白-オモシロ-データ会」

次回の開催は、少し期間が空いて11月21日(金)に開催いたします。次回は株式会社データパレード代表取締役、石井亮介さんをキュレーターに、TFHD digital株式会社 福村 英之さん、日本Tableauユーザー会/Data noodle 永瀬 宗彦さん、自治体職員/げん@データ可視化 矢部 弦也さんをお迎えします。

石井亮介さんの中華料理店のオーダーシステムから始まり、趣味と実益半々でデータに触れることが多い石井さんの周囲には、データを面白く活用している方がたくさんいます。そんなデータのオモシロさに夢中な方々をゲストに、データの活用方法やデータとともにある遊び心を紐解きます。データの活用の仕方を知りたい方、生活の中にあるデータに関心のある方、必見の会です。

 

データ界隈100人カイギ運営事務局 主催
データ界隈100人カイギ #03
面白-オモシロ-データ会

イベント名データ界隈100人カイギ#03「面白-オモシロ-データ会」
開催日時2025年11月21日(金) 18:30~21:00
会場ウイングアーク1st株式会社コラボスペース
〒106-0032 東京都港区六本木三丁目2番1号 六本木グランドタワー36階
主催データ界隈100人カイギ運営事務局
対象者データに携わる全ての方
・ITツールベンダー
・コンサルタント
・Chief Data Officer(CDO)
・データサイエンティスト
・エンジニア
・ビジネストランスレーター など
参加費・定員・現地参加:1,000円(定員:40名)
・学生の方:現地無料(定員:10名 ※各5名)
URL2025年11月21日開催|データ界隈100人カイギ#03|面白-オモシロ-データ会

 

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