本シリーズは、漫画を楽しんだ後に残る「で、これは自分の仕事だとどういうこと?」というモヤモヤを、実務の言葉に変換していく解説シリーズです。各話で起きたトラブルや決断を「データ活用・分析の目線」で読み替え、現場で使えるヒントとして持ち帰れる形にしていきます。
まだ本編を読んでいない方は、先にこちらからどうぞ。↓
まずは、第2話の状況を整理してみます。漫画の中の出来事を職場での出来事に置き換えると、今起きていることの本質が見えてきます。
| 漫画での出来事 | 職場での出来事に置き換えると |
| 何が起きた? | 星屑の洞窟に「見えざる魔物」が出現し、データの精霊が封じられた(課題が放置され、データ基盤が機能しなくなっている) |
| 何が問題? | 敵の姿が見えないので攻撃が当たらない(課題が特定・可視化されていない) |
| 過去は? | ゼロも以前挑戦したが、データなしでは太刀打ちできなかった(勘と経験だけでは解決できない問題がある) |
| どう動いた? | イチはPCでデータ分析、ゼロは村を回って聞き込み(定量と定性、2つのアプローチで攻める) |
| 鍵は? | 名産品メタマテリアルの性質を理解し、「見える化」の方法を発見(データで課題の構造を解き明かす) |
第1話では「変わらなきゃいけない」と覚悟を決めるところまでが描かれました。第2話は、いよいよその覚悟を「行動」に変えるフェーズです。
ただし、行動するにも「どこを見ればいいのか」がわからなければ始まりません。第2話が教えてくれるのは、まさにその「見えないものを、どうやって見えるようにするか」というテーマです。

ゼロとイチがたどり着いたアーチ村で、データの精霊の管理者ノイマンが告げたのは「星屑の洞窟に”見えざる魔物”が巣くっている」という事実でした。魔物のせいで精霊の力は封じられ、契約どころではない状況です。
しかも、この魔物には実体がありながら姿が見えない。だから攻撃が当たらない。ゼロも過去に一度この洞窟に挑んでいましたが、データの力を持たないまま突撃し、結局太刀打ちできずに撤退していました。
これ、職場で言い換えるとこういう状況です。
「売上が落ちたのは営業の頑張りが足りないからだ」「クレームが増えたのは現場の対応が悪いからだ」「あの部署がボトルネックになっている気がする」。
問題が起きたとき、データを見る前に原因を決めてしまう。しかもそれが経験や勘に基づいているから、本人には「わかっている」という確信がある。でも実際には、見えていないまま振った剣がたまたま当たっただけなのかもしれない。
ゼロが過去に失敗したのは、力が足りなかったからではありません。「見えないまま力押しで突っ込んだ」からです。これはまさに、データを見ずに原因を決めつけて動いてしまう組織の姿そのものです。
ノイマンが取り出したスキルブック「データのまなざし」。これは、データの存在に気づいたときに光が見えるようになるスキルです。イチがこのスキルを使うと光が見えましたが、ゼロには何も見えませんでした。
ここが第2話の核心です。
同じ場所に立って、同じものを見ているのに、見える人と見えない人がいる。この差は才能ではなく「スキル」、つまり学べば身につくものとして描かれています。
私たちの職場でも同じことが起きています。たとえば、ダッシュボードを開いても「ふーん、数字が並んでるな」で終わる人と、「この数字の動き方、おかしくない?」と気づける人がいる。売上データを見て「先月より下がった」としか読めない人と、「この商品カテゴリだけ落ちていて、しかも特定エリアに集中している」と構造が見える人がいる。
その違いはセンスではなく、データリテラシーというスキルがあるかないかです。
一方、イチの独白も見逃せません。「ウチのギルドがいまだにアナログなのは、トップであるあの人が古いやり方に固執しているせいだ」。これは現場の人間が感じている「構造的な問題」を、データで裏付けようとする姿勢です。
感覚的に「おかしい」と思っていることを、データで言語化する。これが「データのまなざし」の本質なのかもしれません。
翌朝、イチとゼロはそれぞれ別の行動に出ます。
イチはPCでアーチ村のデータを調べ、名産品「メタマテリアル」の性質を発見します。この鉱石から作られた生地は、環境に応じて物質を透明化する機能がある。つまり、洞窟の暗さに適応して魔物が見えなくなっていた。環境を変えれば見える化できる、というカラクリをデータから解き明かしたのです。
一方のゼロは「俺の場合、やっぱり情報は足で稼ぐのが性に合っている」と村を回り、住民から直接話を聞きにいきます。
この2つの動き方が、第2話の一番おいしいところです。
数値やファクトをもとに、課題の構造を論理的に解明する方法です。ダッシュボードを分析し、レポートから傾向を読み取り、仮説を立てる。いわゆる「データドリブン」のど真ん中。
現場の声を直接聞き、数字には現れない空気感やニュアンスを拾う方法です。お客さんの表情を見る。チームメンバーと雑談する。取引先に「最近どうですか」と聞いてみる。
どちらが正しいかという話ではありません。両方あって初めて「見える化」が完成するのです。
数字だけ見ていても、現場で何が起きているかは見えない。現場の声だけ聞いていても、全体像は掴めない。定量と定性、分析とヒアリング。この2つをセットで回すことが、見えない課題を「見える」に変える鍵になります。
そしてもうひとつ。ゼロが「データは自分には見えないけど、自分にできることをやる」と判断したこと自体が重要です。全員がデータアナリストになる必要はありません。自分の得意な方法で情報を集め、データが読める人と組み合わせる。それもまた立派なデータ活用の形です。
第2話で描かれたのは、「課題が見えない」という状態は、実は最も危険な状態だということです。
見えない敵に剣を振り回しても当たらない。同じように、可視化されていない課題にリソースを投入しても成果は出ません。ゼロが過去に失敗したのは、まさにこのパターンでした。
でも、第2話のイチとゼロは違うアプローチを選びました。イチはデータから構造を解き明かし、ゼロは現場から生の声を拾う。「見えないなら、見えるようにすればいい」。この発想の転換こそが、データ活用の本質です。
皆さんの職場にも、きっと「見えざる魔物」が潜んでいます。数字を眺めるだけでも、現場の声を聞くだけでもなく、両方を組み合わせて「見える化」してみる。
その最初の一歩は、意外とシンプルです。「この数字、なんでこうなってるんだろう?」と、一つだけ問いを立ててみること。そこから皆さんの「見える化クエスト」が始まるのかもしれません。
イチがデータで見えざる魔物のカラクリを解き明かす一方で、ゼロは村を歩き回り、住民たちの声に耳を傾けます。道具屋、宿屋、村長。そこで得た情報が、ゼロ自身にも思わぬ変化をもたらします。
データを読む力だけが「データ活用」ではない。第3話では、現場で拾った声がどうやってデータとつながるのか、そのプロセスが描かれます。お楽しみに!
最新話は、毎月25日に公式SNSで公開します。
データのじかんでは、各話を連載ページとして掲載していくので、SNSで見逃しても後からまとめて読めます。
かつて仲間と共に魔王を倒し、冒険者ギルドを設立した男。
いまは魔神ブーカとの戦いに苦戦し、これまでのやり方に限界を感じはじめている。
冒険者ギルドの現体制に限界を感じ、再建のために奮闘する勇者課のリーダー。
「データ活用」という新しい力を、ゼロに提案する。
可愛い見た目に秘められた力は、まだ誰も知らない。
物語が進むにつれて、その“正体”と役割が少しずつ見えてきます。
現役会社員と漫画家のパラレルワーク歴12年。マンガでわかる系漫画家として、主に電子書籍を出版しています。著書にAmazon年間ベストセラー3位受賞の『マンガでわかる!幼稚園児でもできた!!タスク管理超入門』『やる気クエスト』など多数。漫画制作サービス「純コミックス スタジオ」も。2児の父。
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広告代理店にてデザイナーとして高級宝飾ブランド/腕時計メーカー/カルチャー雑誌などのデザイン・アートディレクション・マーケティングを担当。その後、一部上場企業/外資系IT企業での事業開発を経て現職。静岡県浜松市生まれ、名古屋大学経済学部卒業。座右の銘は「球を投げ続けたところが的になる」。
国内外の上場企業からスタートアップまで、企業のマーケティングをテクノロジーとクリエイティブで整えています。2020年にLastResort合同会社を設立。なお社名は当初「ハードコアマーケティング株式会社」の予定だったが、それを聞いた妻が無言でスッと辞書を引きはじめて今の形に。会社形態まで変わったのは想定外。
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