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プレスリリースの配信サービスを運営するPR TIMESが2021年末に発表した“企業の流行語大賞”で、「コロナ」を凌駕し、1位を獲得したのが「DX」でした。2019年からの3年間でその順位は「577位→16位→1位」と爆発的な勢いで上昇しており、もはや「DXについて知らない」では済まされない状況です。
そこで本記事にて取り上げるのは、DXについての理解につながる資格「DXアドバイザー検定」。試験範囲や受験料、実施機関などの基礎情報だけでなく、試験の位置づけやDXリテラシーを高める方法についてもご紹介します。
DXアドバイザー検定は、2018年7月に創設された「DXを推進できる人材になるための(※)」検定です。テストセンターでパソコンを使って受験するCBT方式の試験で、「ITリテラシー」「DXリテラシー」「ビジネスアナリシス」「情報マネジメント(個人情報保護等)」の4ジャンルから合計80問の四択式問題が出題され、DX人材としての能力が測られます。
知識レベルの「スペシャリスト」、実務レベルの「エキスパート」、実践レベルの「プロフェッショナル」の3段階の検定が用意されており、2022年11月末現在受験可能なのは最も基礎的なレベルの「スペシャリスト」のみ。そこで問われるのはDXの第一歩ともいうべき「デジタイゼーション」の知識です(デジタイゼーションとは何かについて詳しくはコチラ)。
DXアドバイザー検定を運営する一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会は、DX推進事業者を認定するDXマーク認証制度を運営しており、DXアドバイザー検定合格者がいることで、その認定要件のひとつをクリアすることが可能になります。
どんな試験問題が出題されるか気になる方は、公式サイトのサンプル問題を確認するか、公式のWeb問題集を参照するとよいでしょう。
※…DXアドバイザー検定公式サイトより引用
実施期間 |
通年実施(年末年始を除く。受験希望日の3日前まで申込可) |
受験料(税込) |
10,000円 |
申し込み方法 |
CBT-Solutions(CBT試験受験者専用サイト)からテストセンターに予約 |
試験時間 |
90分 |
合格基準 |
問題の正答率70%以上 |
合否発表 |
試験終了後、その場で合否のわかるスコアレポートが配布される |
合格証書 |
試験の翌日CBT-Solutionsマイページにて発行 |
対応学習教材 |
DXアドバイザー検定は「スペシャリスト」レベルに限っていえば難易度は高くなく、「DXって何?」「データって何の役に立つの?」といった基礎的な疑問を持つ方が広くDXを取り巻く状況や個人情報保護など注意すべきポイントを押さえるための試験といえます。
DXアドバイザー検定が創設された2018年といえば、“2025年の崖”というフレーズが初めて使用されたこと有名な経済産業省のDXレポートが公開された年です。「2025年の崖回避のためにDXが必要→DX人材を育てなければならない」という流れから、そのための入門試験としてDXアドバイザーが創設されたと考えると、その意義や位置づけが理解しやすいでしょう。
すべてのビジネスパーソンがDXに参画するうえで重要となるマインドやスタンス、知識・スキルを示すという目的で経済産業省が2022年3月に公開した「DXリテラシー標準」とDXアドバイザーの試験内容は、大きく重なります。
令和4年版情報通信白書にて、「デジタル・トランスフォーメーションを推進する上での課題」として「人材不足」を挙げた日本企業は67.6%で、米国(26.9%)やドイツ(50.8%)、中国(56.1%)と比べて顕著に多いことが指摘されています。
※出典:総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
また、「デジタル技術の知識・リテラシー不足」「アナログな文化・価値観が定着している」「明確な目的・目標が定まっていない」なども日本は高い割合で回答される傾向にありました。
反対に「資金不足」「検討時間の不足」「規制・制度による障壁」は回答に上ってはいるものの、米国・ドイツ・中国と比べて高い割合ではありません。
ここから読み取れるのが、日本企業は仕組みや資金レベルではDXで他国に見劣りしないものの、現場のリテラシーや文化レベルで水をあけられていると感じる傾向にあるということです。
DXアドバイザー検定により知識レベルのDXリテラシーを広めることがこの解決手段として推奨されるのは、確かに筋が通っていますね。
DXアドバイザー検定以外にもDXリテラシーを高めるための手段はもちろん多数存在します。
経済産業省はIT人材育成施策の一環としてポータルサイト「マナビDX」を創設し、DX学習に役立つ有償/無償のコンテンツをまとめて検索・絞り込み可能にしています。このなかでも多数の講座が登録されているため選ぶのに迷ってしまいそうになりますが、DXアドバイザー検定と共通するDX入門系の講座は無償で受けられるものも多いため、初学者にとって大きな助けになるはずです。
引用元:マナビDXトップページ
2022年には、実際に手を動かすデジタル推進人材育成プログラム「マナビDX Quest」が開催され、「マナビDX」を通して応募できるようになっていました。2022年分はすでに募集は終了しているものの、2023年以降も開催が期待されます。
同プログラムの選考では志望動機などとともに、データ処理スキルアセスメントの提出が求められました。Excelなどの表計算ソフトでできる簡単なデータ処理能力を問うものですが、そこに不安があるという方は募集の開始に備えて勉強を開始してもよいでしょう。
仮に来年度は開催されなかったとしても、具体的な次のステップをイメージすることで学習はぐんとはかどるはずです。あまり「DX人材になろう!」と気負いすぎず、「目標に向けて好きなことを学んでいたらいつの間にかDXリテラシーが身についていた」という状態を目指して、「できる」ことから学習をはじめましょう。
DXアドバイザー検定もそのような最初の一歩として、手を伸ばしやすい目標のひとつです。
近年、企業の注目度が高まっているDXを学ぶ手段として「DXアドバイザー検定」をご紹介しました。
それほど難しい試験ではないため、気負いすぎず気軽に受験を検討してみることをおすすめします。むしろDXアドバイザー検定で問われる知識を身につけてからがDX人材としての第一歩であり、合格したときには自分がどのようなDXスキルを磨きキャリアを築くべきか改めて考える機会が訪れるでしょう。
(宮田文机)
・2021年企業動向を23万件の企業発表から振り返る PR TIMESプレスリリースキーワードランキングを発表!┃PRTIMES
・DXリテラシー標準┃経済産業省 ・情報通信白書令和4年版┃総務省
・DXアドバイザー検定公式サイト ・マナビDX
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