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‟FIRE”よりも‟FIRO”の方がオススメ!? “波のようなキャリア”を実現する「FIRO」とは?

         

「経済的自由を手に入れて、早期リタイア!」

そんな夢を掲げて、FIREを目指す人が増えています。不動産会社のAlbaLinkが2023年4月に実施した調査では働く男女500人のうち78.0%が「FIREをしたいと思う」と回答しました。​でもちょっと待ってください。本当に“早期リタイア”が、あなたの理想の生き方でしょうか?実は、最近じわじわと注目されている新しい考え方があります。それは、‟FIRO”

この記事では、FIROとは何か?FIREとの違いは?なぜ今、FIROが注目を集めているのか? ──といったテーマについて解説します。

FIRE(経済的自立と早期退職)の課題と問題点──早期リタイアは本当に幸せか

FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)」の略であり、資産運用などで働かずに生きていける状態を確立し、できるだけ若いうちに仕事からリタイアすることを指します。

【FIREの特徴】

・徹底的な節約と貯蓄(年間収入の50%〜70%を貯金する人も)
・投資による資産形成(株式、インデックスファンドなど)
・目標資産を年間支出の25倍程度に設定する「4%ルール」(※)

※「年間支出の25倍の資産を持っていれば、リタイア後も資産を減らさず生活できる」という考え方。1998年にアメリカの大学教授たちが発表した「トリニティ・スタディ」という研究に由来します。

「仕事から解放されて自由になりたい」「好きなことで暮らしたい」といった理由から憧れる人の多いFIRE。その一方で、「リタイアしても退屈」「生きがいがなくなる」「資産が目減りする不安感はぬぐえない」「4%ルールは絶対ではない」といった指摘も。

そこで注目されているのがハイブリッドとも言える「FIRO」の考え方なのです。

「FIRO」=「経済的自立と“時々リタイア”」 “波のようなキャリア”の特徴とは

FIRO = Financial Independence, Retire Occasionally。

直訳すると「経済的自立と“時々リタイア”」です。

要するに、「完全にリタイアするのではなく、自分の好きなときに働き、好きなときに休む」というライフスタイル。FIREほどストイックに貯金せず、でも“選択肢としての自由”を持って生きていこうという、より柔軟なアプローチです。

【FIROの特徴】

・経済的自立は目指すが、「働かない」ことをゴールにはしない
・プロジェクト単位や短期の仕事、副業など、多様な働き方を前提にする
・仕事と余暇を“交互”に取り入れるスタイル(セミリタイアに近い)
・目的は「働かないこと」ではなく「選べること」
・完全リタイアよりも、社会との接点や自己実現を大切にする

FIREと違い、FIROは「キャリアを一度きりで終わらせない」のがポイントです。

たとえば、数年間働いてまとまった資産をつくったら、数カ月〜1年休暇をとる。そしてまた興味のある仕事やプロジェクトに復帰する。そんな“波のようなキャリア”がFIRO的な生き方です。

なぜFIROがオススメなのか? 4つの理由を紹介

なぜいま、FIRE以上にFIROに注目が集まり、目指すべき生き方と考える人が増えているのでしょうか?

4つのポイントで見ていきましょう。

1.「完全リタイア」じゃなくても満足できる

FIREでは「リタイア=ゴール」という考え方が主流ですが、FIROはもっと柔軟です。あくまで目指すのは、“働く・休むを自分で選べる状態”であって、必ずしも仕事を手放す必要はありません。リタイアしたい時は一時的に離れ、また働きたいと思えば戻る。そんな「選択できる自由」こそが、FIROの本質です。

2.「生きがい」を捨てなくていい

FIRE達成後にありがちなのが「やることがない」問題。働くことにやりがいや充実感を感じていた人にとって、完全なリタイアは逆にストレスになることもあります。FIROなら、仕事も人生の一部として大切にしながら、自分のペースで関わり続けることができます。

3.ストレスが少ない

FIREを目指す過程では、前述の通り、極端な節約やストイックな資産形成を強いられることも多いです。また、資産を積み上げたとしても労働によってこれまで得られていた収入がなくなるストレスや、株価や為替レートの変動に一喜一憂するストレスが生じるかもしれません。FIROはそれよりも「バランス型」。ストレスなく、長く続けられるという意味でも現実的です。

4.社会とのつながりを維持できる

完全リタイア型のFIREでは、仕事をやめた途端に社会との接点が激減し、孤独を感じるケースも少なくありません。一方FIROは、働く・関わる・離れるを自分で選べるため、「人と関わる機会」や「社会とのつながり」を失わずに済みます。

【FIRO的な働き方の実例】

・ITエンジニア:プロジェクトごとに契約し、3カ月働いたら1カ月旅行
・フリーライター:繁忙期だけ忙しく稼働し、閑散期はのんびり暮らす
・会社員:週3日勤務に切り替え、残りは趣味と副業に充てる
・企業退職者:リタイア後に「顧問」や「コンサル」としてスポットで関わる

FIROのポイントは、「経済的自立を目指しながら、自分のペースで仕事を設計できる」こと。働きすぎず、でも関わりを断ち切らず、という“中庸”の発想が、現代のVUCAな社会にマッチしているのです。

こんな人にはFIROが向いている!

最後に、FIROはどんな人に向いているのかをご紹介します。たとえば、以下のような条件に当てはまるならば、あなたは‟FIREよりFIROが向いている人”なのかもしれません。

「働くこと自体は嫌いじゃないけど、自由は欲しい」人

1年だけ休んで留学する、数ヶ月ごとに働き方を変える、リモートで地方に住む――。このように“暮らしを編集する自由”があるのがFIROの魅力です。選択肢を持つことで、人生のコントロール感がグッと高まります。

「いまの仕事をずっとは続けたくないけど、何もせずは退屈」な人

「今の働き方には少し飽きてきたけれど、完全に何もしない生活にも物足りなさを感じる。」FIROは、そんな“ほどよく働きたい”気持ちを叶えてくれる選択肢。キャリアを断ち切らずに、少し距離を置いたり、別の形で関わり続けることができます。

「貯蓄や資産形成に極端な我慢をしたくない」人

FIROは、現在の生活も楽しみながら、将来の自由も少しずつ手に入れる“ゆるやかな自立”です。そのため、節約や貯蓄一辺倒にならず、心地よいペースで資産形成を進めたい人に向いています。

「仕事も遊びも、自分のペースで楽しみたい」人

仕事に打ち込む時間も、趣味や旅に没頭する時間も、どちらも大切にしたいという方は多いでしょう。働く時期と休む時期を自分で調整することで、オンとオフを無理なく切り替えながら、自分のペースで人生を送ることを目指すのがFIROの特性です。

終わりに

FIREが“ゼロイチ”のライフスタイルだとすれば、FIROは“グラデーション”のある生き方です。
働く・休む・遊ぶ……、さまざまな選択肢をバランスよく組み合わせ、自分のペースで生きる自由を確保する。そんなFIRO的な生き方が肌に合うという方は、現代に少なくないのではないでしょうか。

FIREがよい、FIROを目指すべき……、と極端に考えず、自分の人生を前に進めるためのフレームワークとして両者を活用していきましょう。

(宮田文机)

 

参照元

・【FIREに関する意識調査】男女500人アンケート調査┃PRTIMES
・「FIREよりFIRO(いつでも退職)」年収1000万円の27歳データアナリストが、副業でも1000万稼ぐ方法 | BusinessInsider

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