「V-RESAS」は2020年初頭より感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が地域経済に与える影響の把握と感染症収束後の再活性のために、”見える化”した様々なデータを提供する経済分析サイトです。
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内閣府地方創生推進室と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局主導のもと、膨大なデータの塊である“ビックデータ”とその活用に優れたノウハウを所有している民間企業の協力を得て実現しています。
現在提供されているデータは、人流、消費、飲食、宿泊、イベント、興味・関心、雇用、企業財務(全国のみ)の8種類で、地域(都道府県)、時間(週/半月/月)単位で逐次更新しています。
現在V-RESASのサイトに公開されている分析結果とその基となるデータは、それぞれの分野において膨大な情報の入手手段を所有する民間企業が提供しています。
なお、V-RESASで公開しているデータは、個人が特定されることがないよう、提供元では匿名加工した上で使用しています。
公開分析結果 | 滞在人口の動向、都道府県を跨いだ移動 |
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使用データ | スマートフォンが発信するGPSデータ |
データ提供元 | 株式会社Agoop |
公開分析結果 | 決済データから見る消費動向、POSで見る売上高動向 |
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使用データ | クレジットカード決済データ、GMSにおけるPOSレジにより集計された売上データ |
データ提供元 | 株式会社JCB、株式会社ナウキャスト |
公開分析結果 | 飲食店情報の閲覧数 |
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使用データ | 「Retty」(グルメサービス)の各種飲食店情報、閲覧数 |
データ提供元 | Retty株式会社 |
公開分析結果 | 宿泊者数、予約代表者の居住地ごとの宿泊者数、旅行者の宿泊動向 |
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使用データ | 旅行会社店頭、予約サイト、外国語予約サイトなどの宿泊者データ |
データ提供元 | 観光予報プラットフォーム推進協議会(事務局:日本観光振興協会) |
公開分析結果 | 宿泊者数、予約代表者の居住地ごとの宿泊者数、旅行者の宿泊動向 |
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使用データ | 販売実績データ |
データ提供元 | チケットぴあ |
公開分析結果 | キーワードの検索人数 |
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使用データ | 人工知能(AI)技術でカテゴライズして統計化したYahoo!検索の検索ワード |
データ提供元 | ヤフー株式会社 |
公開分析結果 | 求人情報数、各県及び地域ブロックにおける、求人情報数 |
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使用データ | Web上の複数の求人情報サイトから収集した求人情報数 |
データ提供元 | 株式会社ゴーリスト |
公開分析結果 | 企業の財務状況の動向 |
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使用データ | freeeを利用しているユーザーの業種別、月別、勘定科目別に集計した統計データ |
データ提供元 | フリー株式会社 |
「V-RESAS」については以下の記事で紹介していますので、詳しくはこちらをご参照下さい。
[関連記事] コロナ禍の日本経済への影響を可視化するV-RESASの魅力とは?
「V-RESAS」はインターネットができる環境さえあればどなたでも利用することができます。
まずはお手持ちのスマホ、パソコンから以下の公式サイトにアクセスしてみて下さい。
それでは「V-RESAS」の使い方をご紹介させて頂きます。
「V-RESAS」は、見た目は解りやすく、操作も至ったシンプルです。
閲覧は全国民を対象としています。
そのため、インターネットで天気予報が調べられる程度のITスキルさえあれば、どなたでも現在のコロナ禍の影響をリアルタイムに知ることができます。
「V-RESAS」のホームページにアクセスするとまずは、地域(都道府県)が未選択の状態で、日本全国を総括した最新の分析結果が表示されます。(下図)
この状態では、最新の日本の人流、消費、飲食、宿泊、イベント、興味・関心、雇用、企業財務を全国平均、地域ブロックで示しており、マクロな視点で日本の状況が確認できます。
都道府県を“未選択”のまま画面を下にスクロールすると各分析結果をサマリーで確認できます。(上図)
サマリーは週次、半月、月毎に更新された前年比で、“日本が1年間に渡って受け続けてきた新型コロナの影響“を一目瞭然に捉えることができます。
例えば、2020年4月7日に新型コロナウイルス対策で“緊急事態宣言”が発令以降、“移動人口の動向”は、急激に減少し、5月の第1週には前年の62%減にまで至っており、政府の呼びかけに多くの企業や国民から理解と協力が得られたことを示しています。
さらに下にスクロールすると「人流」の一週間毎の前年同週比の分析結果を見ることできます。(下図)
左側は日本地図の色分布で、右側は地域ブロックをデータ系列とした過去1年間の人流の推移を示しており、この状態は全ての時間帯の平均値を集計結果として示しています。
この分析結果は、詳細化したデータの表示にも対応しており、下図の左側の赤枠で時間帯が選択でき、右側の赤枠の矢印をクリックすると昇順(右)、降順(左)に時間帯が切替られます。
時間帯を「全ての時間帯」から「6~9時」に変えてみると9月の人流が前年同週比(グラフ〇枠)を上回っていることがわかります。
先ほど見た「全ての時間帯」は前年同週比を下回っており、上図「0~6時」と「6~9時」だけ前年同週比を上回っています。
この時期、多くの企業が自宅待機、テレワークから通常の出社形態に戻しており、通勤によって人流が増加したことが定量的に捉えられます。
「V-RESAS」のデータは、サイトの閲覧だけでなく、ダウンロードにも対応しています。
上図の下の左側と右側の赤枠をクリックすることで、地図とグラフの画像データがダウンロードできます。
次に「消費」の「決済データから見る消費動向」で業種別に消費の推移を見てみましょう。(下図)
この分析結果はすべての業種の消費の平均を地域ブロック単位で表していますが、緊急事態宣言が発令された2020年4月7日以降、北陸・四国・中国・東北を除く5大都市圏の推移はグラフ上、同じ傾向を示しています。
業種の詳細は「移動人口の動向」で紹介したのと同様に、左の赤枠の選択、右の赤枠のクリックで業種を変更できます。
「外食」は2020年4月(上図グラフ〇枠)に緊急事態宣言の影響を大きく受けていることを顕著に示しています。
なお「移動人口の動向」と同様に、上図の下の左と右の赤枠をクリックすることで、地図とグラフの画像データがダウンロードできます。
先ほどはマクロな視点で新型コロナウイルスが経済に与えた影響の捉え方をご紹介しました。
ご存じのように、新型コロナウイルスの感染者の数は地域によって大きく差があります。
そのため、感染防止対策の内容、感染拡大に対する意識は地域格差があり、地域経済への影響を正確に捉えるには、ミクロな視点で捉えなければなりません。
「V-RESAS」は提供する分析結果は、日本全体での視点だけでなく、都道府県とさらに細分化されたデータで地域の経済を把握することができます。
まずは「V-RESAS」のサイト上部の赤枠の「都道府県を選択」をクリックしてみましょう。(下図)
「都道府県を選択」をクリックすると都道府県一覧が表示されますので、感染状況が深刻な「東京」を選択してみましょう。(下図)
「都道府県を選択」で「東京」を選択することで、サイトが更新し、東京の人流、消費、飲食、宿泊、イベント、興味・関心、雇用が示されるようになります。(下図)
各データは下にスクロールすることでそれぞれ確認できますが、上図の赤枠内のデータ種別をクリックすることで見たいデータが掲載されている位置まで自動でスクロールしてくれます。
では、2020年4月以降、最もコロナ禍の影響が懸念される「飲食」をクリックしてみましょう。
上図では「東京都全体」の「飲食」の分析結果を示していますが、さらに細かい地点で集計された分析結果が選択できます。(下図)
赤枠のエリアを選択することで東京都内の地域を選択することができます。
グラフでは、飲食という括りではなく、和食、アジア・エスニックなどのジャンルをデータ系列とし、前年同週比の推移を示しています。(下図)
特定のジャンルだけ見たい場合は、グラフの線上にマウスのポインタを置くこと(スマホの場合はタップ)でそのデータ系列をハイライトし、その時期のデータの値も付箋で示してくれます。
下図の例では、ファミレス・ファストフードの2020年7月第3週にポインタを置いたときの様子で、他のジャンルに比べ、飲食情報の閲覧数が減少していないことが見受けられます。
ここまで「V-RESAS」の基本的な使い方について紹介しましたが、ここからは「分析結果」と「世の中の動向」とを関連付けた活用方法を紹介したいと思います。
それでは新型コロナウイルスの第1波が到来した2020年4月~5月の「人流」を詳しく見てみましょう。
「人流」は「滞在人口の動向」を分析結果として示しており、その時期(週次)の人の移動の割合を市区町以内・都道府県内・都道府県外の3つのデータ系列で示しています。
2020年5月第1週の市区町内の移動は、前年同週に対し31%増加しており、生活必需品の購入といった活動が居住地周辺で行われている様子が伺えます。(下図)
都道府県外の移動に至っては前年同週に対し、79%まで減少しており、多くの企業が休業やテレワークに対応した様子が伺えます。(下図)
都道府県内・外の移動は2020年12月でも前年同週を下回っており、3密を避けた生活様式への意識が継続している様子が伺えます。
消費の動向は、コロナ禍によって減少したものと増加したものがあり、移動が伴い3密に該当する「外食」は大きく減少しています。(下図)
その一方、電気・ガス・熱供給・水道といった生活インフラの消費は増加しており、この増加は休校、休業、テレワークなどの自粛生活によるものと推測されます。(下図)
「飲食」に至っては、コロナ対策が始まって以来、ほぼ全ジャンルで減少傾向を辿っているものの、地域によっては「テイクアウトに対応したファストフード」は増加傾向を示しています。
3密を避けた生活様式の推奨により、会話の伴う飲食は「東京都全体」でみてみると全般的に減少しています。(下図)
ファミレス・ファストフードの減少は他の飲食のジャンルに比べて小さいものの、3密だけでなく、人流の減少も影響を及ぼしていると考えられています。
東京の都心郊外の「北多摩北部」で見てみると、市区町内の移動の増加により、テイクアウトに対応したファミレス・ファストフードは増加傾向を示しています。(下図)
イベントに関しては緊急事態宣言が発令された2020年4月7日以前の3月より前年同月より100%減少しており、早急に対応していたことが示されています。
多くのビジネスマンのランチは外食、コンビニ、福利厚生が整っている企業であれば社員食堂で済ませています。
ただ、このランチの出費、会社からの補助でリーズナブルな価格で提供している社員食堂でも500円を超え、多くの方が出費に頭を悩ませているのが実情です。
休校、休業、テレワークで自粛している人の多くにとって、リーズナブルで手っ取り早く済ませたいランチにうってつけだったのが「即席袋入りめん」でした。
インスタントラーメンと言えば、お湯を注ぐだけで食べられる即席カップラーメンの方にお手軽感を感じる方も多いでしょうが、
といった理由で、コロナ禍の影響で外出自粛やテレワークが増えた地域では即席袋めんの売り上げが激増したことが話題になりました。
それでは、2020年4月7日に発令された緊急事態宣言の対象地域である東京都と2020年7月まで感染者数0を維持し続けていた岩手県の「即席袋めん」の売り上げを見比べてみましょう。
東京は緊急事態宣言の4月になんと前年同週に対し、262%にまで急増しました。(下図)
その一方で2020年7月10日まで感染者数が0だった岩手県では、7月になってから急増(下図)
このように「V-RESAS」は、コロナ禍の地域による行動の違い、そして自粛が強いられた時の消費者のニーズも示してくれます。
2020年のコロナ禍の出来事と「V-RESAS」で示された分析結果を照らし合わすことで、地域経済だけでなく、人の行動、暮らしが読み取れたことをご理解いただけたでしょうか?
「V-RESAS」は2020年6月末から運用を開始しておりますが、今後、経済、地域、暮らし、行動などがより正確に読み取れるよう、以下のようなバージョンアップを繰り返しながら進化し続けることが期待されています。
また「V-RESAS」はその時の世界情勢(歴史)と経済をプロットし続けています。
そのため運用期間の経過に伴いエビデンスが蓄積され、データに基づいた意思決定手段への活用が期待されています。
2020年1月16日に国内初感染者が公表されてから、医療従事者をはじめ、全世界で苦境を強いられる状況が続いています。
これから先の未来で同様の危機に見舞われた時、私たちにベストな選択肢と採るべき未来が掲示できる「データ活用」を「V-RESAS」は目指しています。
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