生まれたときから身近にインターネットがある、Z世代やα世代の子どもたち。彼らにとってインターネットを使うのはごく「自然」で「当たり前」のこと。
気軽にインターネットを利用して様々な情報を活用できることは子どもたちの可能性を広げます。一方で、SNSでのトラブルやインターネットを通じた犯罪、いじめなどさまざまなリスクも伴います。
そうした中で親は子どもにどのように「インターネットの使い方」を教えればよいのでしょうか?
そこで、今回は子どもたちのインターネット利用の実態をデータで観察し、リスクを軽減しながらも子どもたちの可能性をひろげるインターネット利用について考えていきます。
今回は内閣府が発表する「青少年のインターネット利用環境実態調査」より、子どもたちのインターネット利用の実態についてのデータを活用していきます。
2020年の調査によると、小学生から高校生の子どもたちのインターネット利用率は前年比2.6%増の95.8%でした。
ここ数年、93%程度で頭打ちを見せていた子どもたちのインターネット利用率ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、学校教育の現場でもオンライン化が進む中、一気に利用率が増加しています。
学校種別にインターネットの利用率や機器の利用率を見ていくと、小学生では前年比で4%以上増加し、統計史上はじめて90%を超えています。利用している機器を見てみると他の学校種と比較して、タブレットやゲーム機器の利用率が高いことがわかります。
こうした背景にはコロナ禍により、家で過ごす時間が増えたことでタブレットやゲーム機の需要増大があるのではないかと考えられます。
中学生も前年比微増の97.4%、高校生は、前年比から0.1%減の98.9%となりました。高校生についてはここ数年99%前後の数値が続いており、ほとんど頭打ちになっているため微減となったと考えられます。
スマートフォンの利用は、小学生では全体の半分以下に当たる40.2%、中学生では全体の2/3以上に当たる67%、そして高校生では94.2%と学校手が変わるごとに30%程度利用率が上がっていくことがわかります。
また、どの属性でもタブレットやパソコンの利用率が大きく伸びており、教育のオンライン化が進む中で需要の高まりを見せています。
この調査において青少年に対し、トラブルやトラブルにつながりうるインターネットでの経験について実際に当てはまるものがあるかを聞いた設問では、全体の42%が当てはまるものがあると回答しました。
実際の経験別に見ていくと、特に回答が多かったのが「インターネットにのめり込んで勉強に集中できなかったり、睡眠不足になったことがある(18.8%)」という回答です。
インターネットについついのめり込んでしまうというのは大人でも経験する人は多いのではないでしょうか? そうした中でいかにインターネットを使いすぎないかというのは現代を生きる多くの人にとって課題といえます。
経験 |
% |
悪口や嫌がらせのメッセージやメールを送られたり、書き込みをされたことがある |
4.3 |
悪口や嫌がらせのメッセージやメールを送ったり、書き込みをしたことがある |
1 |
他人が見ることのできる SNS などで、自分の情報を書き込んだことがある |
7.2 |
他人が見ることのできる SNS などで、他人の情報を書き込んだことがある |
3.2 |
親に話しにくいサイトを見たことがある |
3.6 |
ゲームアプリでお金を使いすぎたことがある |
4.1 |
自分が知らない人や、お店などからメッセージやメールが来たことがある |
14.7 |
迷惑メッセージやメールが送られてきたことがある |
17.6 |
インターネットで知り合った人とメッセージやメールなどのやり取りをしたことがある |
14.5 |
インターネットで知り合った同性と会ったことがある |
2.5 |
インターネットで知り合った異性と会ったことがある |
1.2 |
インターネットで知り合った人との人間関係で悩んだことがある |
1.6 |
インターネットにのめり込んで勉強に集中できなかったり、睡眠不足になったことがある |
18.8 |
その後他に困ったことがある |
0.5 |
出典:「青少年のインターネット利用環境実態調査」
次いで回答が多かったのが「迷惑メッセージやメールが送られてきたことがある」の17.6%です。さらに「自分が知らない人や、お店などからメッセージやメールが来たことがある(14.7%)」「インターネットで知り合った人とメッセージやメールなどのやり取りをしたことがある(14.5%)」なども回答を集めています。
インターネットで共感できる友達や目標を共にできる仲間ができることは非常に有益なことですが、顔が見えないコミュニケーションにおいては思いもかけないトラブルに巻き込まれることも。
そうした中で全体の15%程度の子どもたちが、顔の見えない相手とやり取りをしていると考えると、トラブルに巻き込まれる可能性は決して低くありません。そこで、家庭内でのどのようにインターネット利用について話し合うかが重要になってきます。
インターネット利用について親子間でルールを定めている、というご家庭も多いのではないでしょうか?
小学生から高校生の子供達に家庭でのインターネット利用のルールの有無について回答を募った設問では、全体で、およそ64.8%が「ルールを決めている」と回答しました。
学校種別性別で、見てみると、小学生では「ルールを決めている」という回答が男女ともに80%以上と非常に高くなってます。その後年齢が上がるにつれて「ルールを決めている」という回答の割合は減少し、高校生では半分以下になります。
一方で性別で見てみるとどの年代においても男子よりも女子の方が「ルールを決めている」という回答をした割合が多く、年代が上がるにつれてその差は大きくなっていきました。
こうした背景には、女性の方がインターネットを通じた犯罪やトラブルに被害者として巻き込まれやすいイメージがある、ということがあるのではないかと考えられます。
しかし、法務省が発表する、犯罪白書を見てみると、刑法犯の被害発生率も、刑法犯における性別比も男性の方が女性より遥かに高く、男子の方がより加害者にも被害者にもなりやすいということがわかります。
そうした中で、固定概念にとらわれすぎず、きちんとデータを見たうえでどのようにルールを定めるか、を各ご家庭できちんと考えておく事は非常に重要なのではないかと考えられます。
では実際に各家庭ではどのようなルールが採用されているのでしょうか? ルールの内容について問うアンケートの回答をグラフにしたものが以下になります。
最も多かったのが「利用する時間」で2020年には71.7%がこのルールを採用していると回答しました。しかし全体で見てみると、直近の3年間で、唯一減少したのも「利用する時間」でした。
こうした背景には、新型コロナ感染症に伴う在宅時間の増加や学校や塾などの学習がオンライン化して、結果的にインターネットに接続する時間が増えてしまった、という経緯があるのではないかと推察できます。
一方で、「困った時にはすぐ保護者に相談する」や「ゲームやアプリの利用料金の上限や課金の利用方法」「利用する場所」など利用方法や利用場所については大幅に増加しており、さまざまな場面でオンライン化が進む中、各家庭で工夫しながらルールを整備してる様子が伺えます。
一口にルールと言っても、その家庭の事情や状況、そして子どもの個性によって大きく変わるものです。
ぜひ親子で話し合いながらインターネット利用について考えていってみてはどうでしょう?
【参考引用サイト】 ・ 令和2年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(PDF版) ・ 平成29年版 犯罪白書 第6編/第1章/第1節 ・ 平成27年版 犯罪白書 第2編/第4章/第1節/3
(大藤ヨシヲ)
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