みなさんは、e-Stat(政府統計の総合窓口)をご存じでしょうか?
国勢調査の結果、人口動態調査から、キャッシュレス決済に関するアンケート調査まで、各府省が公表する統計データがひとつにまとめられているサイトです。e-Statのデータを利用したり、その内容を目にしたことがあるという方も少なくないはず。
では、「jSTAT MAP(地図で見る統計)」についてはいかがでしょうか?
e-Statと同じように誰でも無料でWebから利用でき、各種統計を地図上で表現できるこのサイトはその便利さ・手軽さにもかかわらずまだまだ広く利用されているとはいえません。
本記事では、jSTAT MAPでできることについて、わかりやすく画像とともに解説いたします。
jSTAT MAPは、「地図で見る統計」という別名の通り、統計データを地図で見ることに特化したサイトです。e-Statトップページの「統計データを活用する」からアクセスでき、Web検索で「地図で見る統計」や「jSTAT MAP」と検索しても利用可能です。
Web上で誰でも無料で利用でき、メールアドレスを利用者登録したうえでログインすることで、さらに機能は増強されます。特設サイト上に用意されたユースケースでは「災害対策や高齢者サポートなど政策立案の基礎資料として」「商圏分析に」と2つのユースケースが提示されていますが、政府統計とシームレスに連携可能で、レポートの出力・ダウンロードまで可能なこのツールは、コンテンツ・企画作成やプレゼンテーション、補助金申請のヒントとして用いるなど、さまざまな方面で役立つはずです。
管理者権限を設けたグループ利用(事前申請が必要)や、API機能なども用意されており、企業・団体での利用が前提となっている本ツール。機能が絞られている分、慣れるのにそれほど時間や知識は必要ありません。初めて知ったという方は、まずはぜひ、アクセスして触ってみてください。
引用元:jSTAT MAP ,Map data ©2023 Google
「jSTAT MAP」の使い方(できること)として代表的な統計地図の作成について、具体的に見ていきましょう。
プロットとは、jSTAS MAP上で「点」で登録できる地点情報のことです。属性ごとにプロットを作成し、自社との距離や分布などを地図上で可視化したり、プロットごとに与えたグループ分け(プロットグループ)をもとに徒歩/車での到達圏を分析したりすることを「プロット作成機能」は可能にします。
引用元:jSTAT MAP ,Map data ©2023 Google
プロットが「点」で属性情報を管理するのに対し、エリアは「面」で管理します。その作成方法には「多角形」「円」「バッファ」「到達圏」「エリア合成」の5つが存在し、「徒歩〇〇分圏内の商圏を可視化したい」「エリアを独自の基準で分割して分析したい」といった需要に応えられるように設計されています。
「統計グラフ作成」はe-Statと連携しているjSTAT MAPの強みを生かし、地図上に統計情報をシームレスに反映することができる機能です。たとえば、「2.エリア作成」で作成した新橋駅周辺の「商圏A」に対し「15歳以上人口総数」を『国勢調査(2020年)』から引用し、反映した結果が、以下の画像です。
下記統計を反映するのに、かかった時間は30秒ほどでした。
その名の通り、jSTAT MAPで実施した分析結果をレポート形式に変換し、ダウンロードできるのが「レポート作成」機能です。ログインなしで利用できる「シンプルレポート」とログインが必要な「リッチレポート」があり、それぞれの違いは以下の通りです。
シンプルレポート:作成したグラフの統計情報がHTMLあるいはExcel形式でレポートに変換される
引用元:jSTAT MAP
リッチレポート:表紙、基本分析、周辺地図、かかる小地域、年齢別人口、世帯数、経済センサス、人口・世帯数増減、マップキャプチャ、集計シートの情報が盛り込まれたレポートがExcel形式で作成される
引用元:jSTAT MAP
リッチレポートはログインしたユーザーしか制作することはできません。また、同じくログインしなければできない操作として、ローカルファイルからのデータのインポートや、保存、グループ利用なども挙げられます。
インポートできるデータ形式は、シェープファイル(.shp .shx .dbf)、KMLファイル(.kml .kmz)、GMLファイル(.gml .xsd)、グラフファイル(.gsf)、CSVファイル、住所名リスト(.csv .xlsx)、緯度経度付きリスト(.csv .xlsx)。作成したグラフを保存するためにも、jSTAT MAPの利用においてログインは必須と言えるでしょう。
jSTAT MAPでは、地図の表現方法を操作する機能もさまざまに備わっています。2023年7月現在、利用できる地図のパターンは以下の11形式です。
・Google Map
・Google 航空写真
・Google Map(地形)
・Google Map(白黒)
・地理院地図(標準)
・地理院地図(淡色)
・地理院地図(白地図)
・国土画像情報(1974-78)
・国土画像情報(1979-83)
・国土画像情報(1984-86)
・国土画像情報(1987-90)
引用元:jSTAT MAP
また、都道府県・市区町村・町丁目などの行政界を「都道府県界」「市区町村界」「国勢調査小地域」「人口集中地区」などで変更したり、緯度・経度で地域を細かく区分する「3次メッシュ」を表示したり、指定した日時の市区町村境界を検索・表示させることも可能です。
さらに二画面で「サブ地図」を表示したり、より広域な案内図を呼び出したり、といった機能も存在します。
政府提供の統計地図作成ツール『jSTAT MAP(地図で見る統計)』についてご紹介してまいりました。もちろん、jSTAT MAPもインポートできるファイルの形式や行数、文字形式に制限があるなど、制約は少なからず存在します。以前データのじかんで紹介したQGISなどほかの地図データ分析ソフトウェアも活用しつつ、適材適所で無料で手軽に使えるjSTAT MAPの強みもいかしましょう。
【参考資料】 ・jSTAT MAP ・e-Stat ・メッシュデータについて┃国土数値情報ダウンロードサイト ・Google マップ & Google Earth┃Google ・Google マップ / Google Earth 追加利用規約┃Google
(宮田文机)
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