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M-1グランプリ2024をデータで読み解く。ハイレベル化しすぎて差がつけづらい?

         

年末恒例の漫才頂上決戦「M-1グランプリ」。エントリー数は年々増加し、2024年大会は過去最多となる10,330組の芸人コンビがエントリーしました。令和ロマンが史上初の二連覇をした歴史的な大会となりました。

この記事では、データをもとに2024年の「M-1グランプリ」を振り返ります。

決勝進出10組の得点一覧

今回の審査員は9名。各審査員が1~100点で採点し、合計900点満点・平均100点換算で評価されました。その結果が以下のとおりです(合計点が高い順に記載)。

コンビ名

石田明

海原ともこ

柴田英嗣

笑い飯・哲夫

博多大吉

塙宣之

山内健司

中川礼二

若林正恭

平均点

合計点

バッテリィズ

97

97

96

95

95

93

96

97

95

95.67

861

令和ロマン

96

97

95

90

96

93

96

93

94

94.44

850

真空ジェシカ

95

95

94

90

97

94

97

94

93

94.33

849

エバース

96

94

93

93

94

94

94

96

94

94.22

848

ヤーレンズ

92

94

91

91

92

92

91

90

92

91.67

825

トム・ブラウン

88

94

87

92

95

95

90

89

93

91.44

823

ダイタク

90

94

88

89

90

93

92

92

92

91.11

820

マユリカ

91

96

89

88

93

91

90

91

91

91.11

820

ジョックロック

89

95

88

91

89

91

93

93

90

91.00

819

ママタルト

90

92

89

89

88

89

93

93

89

90.22

812

「M-1グランプリの最低点、最高点、平均点(2001~2024)」のグラフを見ると、最高点は90点台後半をほぼ維持しています(95~99点付近)。優勝争いを繰り広げる上位コンビには、初期のころから高い評価が集まるのは変わりません。

より興味深いのは最低点の推移です。2001年は50点台というケースもありましたが、2024年には80点台後半(グラフ上では87点)まで上昇。これは決勝の全コンビが高評価を受けるほどの完成度を見せており、そもそものレベルが各段に上がっていることを示唆しています。

戦いを制し、決勝には「バッテリィズ」「令和ロマン」「真空ジェシカ」が進出しました。特に「バッテリィズ」は石田明・海原ともこ・中川礼二が97点をつけるなど、高評価が目立ちました。

2位の令和ロマンは、決勝ネタで一気に抜け出した印象があります。

M-1グランプリの“接戦度”と“倍率”が示す決勝戦の盛り上がり

まず注目すべきは、決勝でのスコアがどれほど接近しているかを示す「接近度」の推移です。ここでの接近度は、分散(得点のばらつき具合)の逆数をとることで求めています。2001年当時は0.09前後だったこの指標が、2024年には0.38前後にまで上昇していることが、グラフから読み取れます。

これはつまり、決勝進出コンビ同士の点差が極めて僅差になってきているということ。初期のM-1では「優勝コンビが他の追随を許さない高得点を叩き出し、下位は大きく点数が離れる」という構図が多かったのに対し、近年はトップから最下位までの差が縮まっているのです。近年のM1では出場者の点数が高得点化する傾向が続いており、これ以上縮められない、という程度まで接近度が高まっています。つまり、ハイレベル化しすぎて差がつけづらいほどになっています。

上昇する接近度と強い相関関係を示しているのが「倍率」です。2024年は倍率1,033を記録するなど、まさに年末の漫才頂上決戦にふさわしい盛り上がりを見せています。グラフの散布図では、倍率が高くなるほど接近度も上昇する傾向が顕著です。2001年当時のエントリー数はまだ数百組程度でしたが、2024年には1万組超が出場を希望。

裾野が広がることで、ネタの多様性も高まり、決勝進出コンビの実力が拮抗する状態が生まれやすくなっていますがこれ以上大会のレベルが上がってしまったら差をつけづらく、新たな評価手法が求められるようになるかもしれませんね。

2024年大会のポイント

(1) 過去最多の応募数

2021年大会(6,017組)からわずか3年で、2024年大会は10,330組ものエントリーが集まりました。これは史上初の1万組超えであり、M-1がますます大きな大会へと発展していることが伺えます。

(2) 新時代の審査傾向

2024年大会では漫才の構成力が特に重視されました。

特に、二連覇となった令和ロマンは一回戦と決勝で全く毛色の違うネタを披露し、審査員にも伝わりやすい「ギャップ」として高い評価を得ました。

(3) 上位争いの接戦

2位の令和ロマンと3位の真空ジェシカはわずか1点差。さらに4位エバースとの間も1点差と、2位以下は僅差の大混戦でした。

決勝ステージでは、特に新しい笑いの形を提示するコンビ(真空ジェシカ、令和ロマンなど)が注目を集め、破天荒キャラ vs 正統派しゃべくり漫才という図式で大会を盛り上げました。

おわりに

2024年M-1グランプリは、応募総数10,330組という驚異的な規模で行われ、決勝も高得点が並ぶハイレベルな戦いでした。その中で見事優勝、しかも二連覇を果たした令和ロマンは、実力・構成力・勢いのすべてを兼ね備え、満場一致に近い形で頂点に立ったと言えるでしょう。

M-1は苦労人の下克上から若手の台頭まで、毎年多彩なドラマを生んできました。2024年大会も例外ではなく、新旧入り混じった漫才スタイルが大いに注目を集めた結果となりました。

「漫才日本一」の称号を目指す芸人たちの熱い戦いは、今後もよりスケールアップしていくことは間違いありません。エントリー数や大会の盛り上がりがこれほどまでに上昇し続けるM-1グランプリから、来年以降も目が離せません。過去のM-1を分析した記事はこちらからどうぞ。

(大藤ヨシヲ)

 

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