About us データのじかんとは?
「白衣の天使」と称され、現代もなお理想的な看護師の象徴として真っ先にイメージされるフローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)。イギリス・インドで多くの命を救うとともに医療衛生改革に乗り出し、近代看護の道を切り開いた彼女。その大きな武器となったのが「統計学」であることを皆さんはご存じでしょうか?
今回はデータのじかんを19世紀にタイムスリップさせ、データ活用という視点から現代人にとっても学びの大きい彼女の功績をリポートします!
ナイチンゲールの功績としてよく知られるのがクリミア戦争(1854-1856)に従軍看護婦として38名の看護婦を引き連れて参加し、傷病兵の看護にあたったということです。
戦地スクタリ(トルコ)の陸軍病院で働き始めたナイチンゲールは、大きなショックを受けることになりました。それは、“病院の衛生統計があまりにもずさんだったから”。
兵士埋葬記録簿、軍医の報告書、看護兵室で作成された報告書の3種類の記録は死者数すら不明確で、同種の数字が相互に統一されていないというありさま。また、死亡率も統計学的に誤った方法で導き出され、現実より過度に低く導き出される状態となっていました。
帰国したナイチンゲールは独自に陸軍の医療統計の研究を開始し、1,000ページに及ぶ論文『英国陸軍の保健、能率及び病院管理に関する諸問題についての覚え書』を作成。その論文中で軍人と一般人の死亡率の比較や死因別の死亡率の比較を行い、「戦場における伝染病を原因とした死亡率が顕著に高いこと」「野営陣地の過密度が顕著であり、健康に大きな被害を与えていること」などを指摘しました。
科学的視点からの指摘に女王をはじめとする有力者もナイチンゲールの仕事ぶりを高く評価。彼女はすでに、戦場で衛生環境の改善に乗り出し、「1955年2月時点で46.7%に達していた処置患者数に対する年間死亡率を1955年6月には2.2%にまで引き下げていました」が、その医療衛生についての考え方に一層のお墨付きが与えられました。
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