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プラスチック製品、本当に環境に悪いの? 多角的な視点で環境への影響を探る

         

整形しやすく、軽くて丈夫。密閉性の高いプラスチックは、様々な場面で活用できる利便性の高い素材です。一方でプラスチックによる海洋汚染やマイクロプラスチックをはじめ、プラスチックに起因する様々な環境問題が議論されています。

そうした中で、2020年7月から政府主導で始まったのが、プラスチック製買物袋の有料化です。さらに2022年4月には、プラスチック新法が成立し、事業者に、様々なプラスチック製カトラリーの提供の合理化の取り組みが推奨されるように。

こうした取り組みを通じ「プラスチックと環境」について意識する機会が増えた人も多いのではないでしょうか?

そこで参考になるのが、マッキンゼー・アンド・カンパニーが2022年7月に公開したレポート「プラスチックが気候変動に与える影響」です。プラスチックと環境、その関係の実態を今回は紹介します。

政府が主導するプラスチック削減の取り組みとは?

政府が主導するプラスチック削減の取り組みとして、私たちの生活に大きく影響があったのが、2020年7月のプラスチック製買物袋の有料化と2022年4月のプラスチック新法ではないでしょうか?

プラスチック製買物袋の有料化の取り組みは、プラスチック製買物袋を有料化することで、その必要性を再考する、というものです。この取り組みにより、「購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋」が有料化しました。

一方で、以下のような買物袋はこの取り組みの対象外となっています。

・紙袋
・布の袋
・持ち手のない袋

また、プラスチック新法では、ストローやスプーンなどのカトラリー類をはじめ、様々なプラスチック製製品の削減のため、以下のような提供方法の工夫が推奨されるようになりました。

・消費者にその提供する特定プラスチック使用製品を有償で提供すること
・消費者が商品を購入し又は役務の提供を受ける際にその提供する特定プラスチック使用製品を使用しないように誘引するための手段として景品等を提供(ポイント還元等)すること
・提供する特定プラスチック使用製品について消費者の意思を確認すること
・提供する特定プラスチック使用製品について繰り返し使用を促すこと

これに伴い、紙など代替素材を活用する小売店、企業が増加しました。

プラスチックの温室効果ガス排出の実態とは? プラスチック利用の持続可能性を探る

プラスチック製の製品の様々な規制や変化を通じ、なんとなく、「プラスチックは環境に良くない」という印象を持っている人も少なくないと思います。

しかし、マッキンゼー・アンド・カンパニーが2022年7月に公開したレポート「プラスチックが気候変動に与える影響」では、その直感を裏切るような結果が出ています。

このレポートで、プラスチックと代替素材のGHG排出量をライフサイクルアプローチで包括的に評価した結果、プラスチックの温室効果ガス(GHG)の総排出量は多くの場合、代替素材よりも少ないというのです。もちろん、海洋汚染などの問題は無視できませんが、実は食品の腐敗防止やGHG排出量の削減などで重要な役割を果たしていることがわかりつつあります。

この分析では、2020年の米国の現状に基づき、プラスチックの消費量が最も多い、包装、建築・建設、自動車、繊維、耐久消費財の5つのセクターを調査したそうです。調査の結果では、紙由来など様々な素材の代替品の活用と比較し、プラスチックの活用の方が、GHG排出量が少ないことが示されています。この分析では、プラスチック活用によって、GHG削減率は10~90%に達すると指摘されています。

プラスチック、本当によくないの? プラスチック利用の持続可能性を探る

プラスチックに対する議論では、海洋汚染やリサイクルの問題が主に取り上げられがちですが、実は気候変動への影響も重要な観点で、欠かすことができません。

環境に配慮した素材選びには、製品のライフサイクル全体や製品の使用時の影響を含め、複数の環境要因を考慮することが大切です。気候変動という観点では、プラスチックの使用は短期的には特に食品の腐敗防止やエネルギー効率の面において最適な選択肢であることが示唆され、プラスチック製品の利点の大きさを改めて感じるレポートでしたが、もちろんプラスチックによる海洋汚染の影響も決して、無視できません。

持続可能な社会を作るため、常に情報アップデートしながら最適な情報や手法を取捨選択していきましょう!

以下の記事では、プラスチックの歴史についても詳しく解説しています。プラスチック大量生産の時代までの経緯、そして現在での捉え方についても紹介しているので、ぜひご覧ください。

(大藤ヨシヲ)

 

参照元

プラスチック製買物袋有料化 2020年7月1日スタート | METI/経済産業省 ・特定プラスチック使用製品の使用の合理化 | プラスチック資源循環 ・プラスチックが 気候変動に 与える影響 | McKinsey & Company

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