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一般社団法人沖縄観光DX推進機構(OTDO)は、2023年6月30日に沖縄県うるま市の「IT 津梁 パーク」に開設された「観光DX実証実験施設Tap Hospitality Lab Okinawa(THL)」を拠点にした観光DX、宿泊DX(ホテルDX)などの実現を目指す団体です。リゾテックエキスポ2023では、THLを開設し、運営を手掛ける株式会社タップ(東京都)が中心となり、次世代技術の総合戦略拠点としてのテーマや実証実験内容といったTHLの認知拡大と利用の促進などをPRしていました。
「去年までは東京都に拠点を置く『宿泊施設関連協会』として、同協会の取り組みの周知・認知拡大を目的として参加していました。沖縄観光DX推進機構はTHLの開設と併せて『実証実験に地元沖縄の方々に参加していただきたい』という目的もあり、今年の7月に発足。そのため今回は沖縄観光DX推進機構として展示させていただきました」
日々進化するテクノロジーをサービス業界に導入するには、前例のない施策や評価の定まらない新技術を利活用する試みが多く、迅速に導入できる段階ではありません。莫大な資金を投入したにも関わらず、利益が得られないといったリスクを回避するための産学官の連携による実証実験の場としても期待されています。
THLは客室(38室)、レストラン、ホール、セミナールーム(2室)、 コワーキングスペース(2施設)のほか、ホスピタリティサービス工学研究所を設けて協会の会員となっている様々なメーカーや琉球大学などと共同研究を、建物のDX、メカのDX、ソフトのDXのテーマに3区分して実証実験を行っています。例えば、ロボットを宿泊施設で活用するためには、エレベーターやドアなどの連携を考慮しなければなりませんし、産業用ロボットからサービス用ロボットの動作も転換する必要があります。さらに複数のロボットが同時に施設内を動くのであれば、お客様やロボット同士の衝突を回避するためのルールづくりも欠かせません。また、ロボットだけでなく廊下の幅や材質、照明の確保など建物側の調整も求められます。このような多くの課題を解決するための実証実験の場がTHLなのです。
「THLがある『沖縄IT津梁パーク』は日本とアジアを結ぶ架け橋(リゾート&IT戦略拠点)を目指して開設されました。私たちも日本で生み出したソリューションをアジアのホテルや観光事業者に展開したいという想いがあり、地理的にも合致しているポイントがたくさんあったので沖縄県で実証実験施設を開設することになったのです。また、沖縄県はリゾート目的で来られる方も多いですが、海外の方々などに遊びや仕事の延長線上として宿泊してもらいたいという狙いもありますね」
開設してまだ半年のこともあり、リゾテックエキスポ2023に出展した目的は「THLの存在と活動の周知」と目的意識を持った地域の方とのつながりをつくることだといいます。
「ブースを訪れた方からは、『ホテルのシステム会社がそこまでやるんですか!?』と驚かれることが多いですね。ただ、宿泊産業は人材不足にも関わらず賃金を上げにくいといった課題に直面しており、経営層も認識していながら解決策を見いだせずにいます。その課題を解決するためのソリューションを可視化し、体験してもらうことで新たな一手を打ってもらいやすくなる。そのための役割を私たちが担っていると思います」
OTDOはリゾテックエキスポ2023ではTHLを第2のResorTech EXPO会場として開放。開催日にはTHLテックツアーを開催し、ブース出展と並行して「体感」による知名度向上や活動の理解を深めてもらうことを図っています。
※THL 公式WEBサイト
https://www.thl.jp/
※OTDO 公式WEBサイト
https://otdo.or.jp/
株式会社オーシーシーは1996年10月に設立された「沖縄県で初めて設立されたIT企業」です。県内では北部、宮古島や石垣島などにも支社・支店を設け、システムインテグレーション、ディザスターリカバリーサービス、保守サービス、コンタクトサービスなど、幅広いITサービスを提供しています。
リゾテックエキスポ2023に出展したテーマは「OCC×超高齢化社会〜デジタル利活用で社会課題を解決〜」です。これまで様々な見守りサービスのソリューションを提案していますが、今回は「LSS(生活習慣の可視化)」に焦点を当て、未病段階からの健康管理に注力されています。未病とは「発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態」を指し、予防医学の重要性が高まっている昨今、重要なキーワードになっています。
OCCはMBTリンク株式会社と協力し、「LSSサービス」を沖縄地区で普及・促進することを目指しています。LSSサービスでは、配電盤にセンサーを配置することで電力データを収集し、電力の波形に基づき「生活系(エアコン、テレビ、待機電力)」、「食事系(電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器、IH)」、「活動系(洗濯機、掃除機、高電家電)」、「その他」のカテゴリに分類します。それぞれの「電気の使い方」から抽出されるライフスタイルのデータを、発生頻度や行動周期性、実証時間帯、季節変動といった過去実証データをもとに評価するシステムになっています。
「あまり知られていないのですが、各家電の使用データは一分単位で取得可能です。『猛暑日なのにエアコンを付けていないぞ』や『夜中に冷蔵庫を開けているぞ』といった細かな状況も把握できます。実績を積み重ねることで生活の『変調』もいち早く捉えられる点もメリットです。実証実験では健康を害される数週間前に生活の変調が現れていることも確認されています。」
変調が見られた場合は、「デジタル救急箱」を利用して、体温計や血中酸素濃度等のバイタルデータを取得し、より詳細なデータを収集できます。計測データはクラウドで時系列に保存され、遠隔地であっても家族や医師が簡単に確認できます。これは健康・医療・介護の患者情報を一元的にまとめる「PHR(パーソナルヘルスコード)」としての活用につながります。また、健康の重要な要素である食事については、ユーザーの位置情報から湿度や気圧、天気などの気象情報を活用し、2000種類のレシピのなかから最適なものを提案する機能も備えています。
「現在はレシピを提供するだけですが、将来的には実際に食事をデリバリーなどで提供するサービスまで展開したいです。医療従事者の増加が今後は見込めないなか、何気ない生活の変化から健康状態を察知し、必要なケアを提供できる環境を構築することが求められます。今後はITの力で行動変容を促し、超高齢化社会の様々な課題をデジタル利活用で解決していきたいです。その足がかりとして今回、リゾテックエキスポ2023に出展しました」
株式会社日立製作所は、リゾテックエキスポ2023で「汎用デジタル窓口」と「感性分析サービス」を組み合わせた紹介をしています。
「沖縄県をはじめ、日本の多くの地方自治体では離島や中山間地域などに住んでいる人が本庁に手続きにいくためにかなり時間をかけて移動されているケースは少なくありません。そこで汎用デジタル窓口を公民館や出張所などの公共施設に設置し、まるで対面で手続きしているかのような環境を構築することで利便性の向上、地域格差の是正を図れます」
汎用デジタル窓口は、高齢者や外国人などより幅広い人に仮想的な対面手続きを提供するため、大型のディスプレイや手書きタブレットなどの入力インタフェースを用意しています。端末に搭載されているカメラでお互いの顔を見ながら書類をリアルタイムで共有できます。利用者側の紙の書類をカメラで読み取りながら、リアルタイムでサービス提供者が画面で赤線などを記入して指示などを出せるため、デジタル環境が苦手な高齢者であっても紙の申請と変わらない環境で手続きできるとしています。
「記入した書類をカメラで読み取ってデータ化することができれば、サービス提供者側の業務のデジタル化も図りやすくなります。また、遠隔操作機能も搭載しているのでサービス提供者がその場で電子申請の申請支援をしながら、必要な箇所のみ記入いただくといった申請の流れを構築することも可能です。特に高齢者の方の電子申請においては導入が図りやすくなるのではないでしょうか。汎用デジタル窓口は2023年1月からリリースし、既に複数の自治体で採用されています。」
感性分析サービスは利用者のマイク・カメラで収集した映像や音声データから「①音声の書き起こし」「②書き起こしたテキストから感情」「③動画内の表情から感情を推定」「④音声の声色・話し方から感情」といった利用者の感情を複数の側面から抽出し、分析・可視化します。汎用デジタル窓口と掛け合わせることで、書き起こしや感性に基づいて担当員を補助できるとともに満足度を分析して現場にフィードバックすることで、継続的な利用者の満足度向上につなげられるとしています。
※株式会社日立製作所 公式サイト:「汎用デジタル窓口」
https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/app/digital_helpdesk/
「まだ汎用デジタル窓口と感性分析サービスを掛け合わせたサービスの提案はスタートしたばかりで導入実績はないものの、「地域創生×感情分析」をテーマに普及していきたいとしています」
パナソニックIPマネジメント株式会社は、パナソニックホールディングスの知財部門に関する機能をまとめた会社です。パナソニックグループ全体の知的財産である約9万件の特許の維持管理を行っています。リゾテックエキスポ2023では、そのなかでも研究開発部門の知的財産、約3万件を管理している担当の方々が参加していました。
「研究開発部門の知的財産のうち、約3万件のうち半分は事業に使われているもの、残りの1万5000件は特許を取得しているものの我が社では製品化ができなかった技術・シーズ・特許権があります。そのような技術を社外の方々と一緒に事業化できませんか?という活動が『知財起点のオープンイノベーション』です。知財起点のオープンイノベーションには大きく分けて2種類あり、1つは技術や特許権を全てお渡しするのでパナソニックと一緒に事業を興しませんか、という方法です。もう1つは特許権をお譲りするのでスタートアップさんの事業に組み込んでいただいて、事業拡大を図りませんか、という提案です」
これまで後者の方法は、シンガポールや香港などで民間のコンサル会社に依頼して毎年1、2回ピッチイベントを行ってきていましたが、2024年内に国内での実施を踏まえてリゾテックエキスポ2023に参加した狙いのひとつといいます。
「オープンイノベーション自体は10年前から活動していましたが、改めて会社として2022年に『無形資産を巡らし、価値に変えて、世界を幸せにする』というパーパスを掲げました。そのもとで活動を継続しており、内閣府が作成した『知財推進計画2023』では我々の取り組みも紹介いただきました。今後も積極的に各所に働きかけて無形知財の活用のロールモデルをつくり上げていきたいです」
住友商事グループの総合IT企業、SCSK株式会社(東京都)は、リゾテックエキスポ2023では、中小企業の脱炭素化への包括的な取り組みのほか、Excelライクでシステムが開発できるローコード・ノーコード開発ツール「CELF」を活用することで、業務課題を自ら解決する「DX人材」として活躍した事例などを紹介しています。
「今回の出展は、SCSKグループの沖縄を中心とした地域共創の取り組みのアピールをコンセプトとしております。『わんにゃ!えしかるECさ~』、『デジタル人材創出』、『スポーツ×Web3』、『首里城復興DX』、『地域産業×脱炭素』の5つのテーマは、それぞれ地域課題解決、地域産業活性化、地域人材創出という観点で、SCSKグループが地域との共創を進めているものです。今年度のリゾテックエキスポのテーマは『沖縄発、Reboot Japan!』です。これを踏まえて、沖縄で開催される展示会ということを意識し、地域共創の観点と関連性を持つ商材を選んで展示内容を決定しました」
同社は2021年にSCSKグループ沖縄センターを開設。それに先立ち、沖縄県と首里城復興に向けたDX連携協定を締結し、首里城の魅力向上や課題解決に向けてデジタル化・DX での取り組みを提案し続けています。「首里城復興DX」や「スポーツ×Web3」などではその成果・可能性を実感しているといいます。
「首里城公園内の『密』の解消に向けた人流解析、渋滞問題解決につながるバス駐車場の予約、来場者に首里城への理解を深めてもらうためのデジタル展示の導入などが実現し、まさに地域課題の解決につながる実例ができている事を実感しています。また、プロスポーツイベントでのNFTスタンプラリーや首里城でのクイズラリーの実施で、来場者の行動変容(当初の目的地から周辺施設への拡大訪問など)の実証ができるなど、デジタルの活用で関係人口の拡大や地域活性化につながる可能性が見えてきました」
さらに自治体の業務デジタル化伴走支援、観光業の生産性向上支援案件などを通じ、県内自治体や企業の生産性向上にデジタル化が貢献できること、人手不足の解消に役立てる事例ができつつあるといいます。
「沖縄県の産官学、地域住民の方々との共創を通じて改めて気づいたことは、郷土愛、地域に対する思いの強さと、万国津梁の歴史が物語るグローバルを繋ぐ存在としての自負が共存していることです。デジタル技術活用・DXによってより良い未来を実現するためにも、古くから継承されている文化をリスペクトしつつ、新しいものや異文化を受け入れて取り込む柔軟さを持つ沖縄の特性は、地域の素晴らしい側面をデジタル技術でより良いものとして発展させる大きな可能性を秘めていると思います」
さらに2021年11月から同社グループ沖縄センター内で運用している「Business Design Hub OKINAWA」をリゾテックエキスポ2023の公認サテライト会場として運営し、147型の大型スクリーンでリゾテックエキスポのオンラインセミナーを上映したほか、通常は非公開の施設内ワーケーションエリアを開放。さらにリゾテックエキスポ2023でセミナーを実施した「首里城復興におけるDX推進に関する連携協定」の取り組みも紹介しています。また、グループ会社のベリサーブ沖縄とSCSKニアショアシステムズ株式会社も学生向けのワークショップなど実施しています。
「これまでは那覇市内とリゾテックエキスポの本会場の間に位置していたため、利便性が高かったサテライト会場ですが、距離的にもルート的にも離れてしまい、集客や運営に懸念がありました。しかし予想よりも多くの皆様にご来場いただき、皆さまから高い評価をいただきました。サテライト会場には本会場の当社ブースを見た後でお越しになる方が多く、Business Design Hub OKINAWAのコンセプト『見て』、『触れて』、『行動する』を実践するための空間や最新技術を活用した展示に接して新鮮な驚きをお感じいただくとともに、当社の沖縄県における取り組みをより深くご理解いただけたのではないかと思います」
リゾテックエキスポ2023で輝いていた5社・団体を紹介しました。今回、ご紹介できなかった企業のITサービスやデジタル製品、DXによる取り組みも非常に今後に期待できるものばかりで、来年のResorTech EXPO 2024ではどのようなPRを伺えるのか今から楽しみです。観光Tech、自治体・地方創生、全産業DX、ワ―ケーション、スタートアップ……。リゾテックエキスポ2023に参加した208社(県内98社、県外95社、国外15社)の動向から目が離せません!
リゾテックエキスポ2023の全体レポートはこちら
(取材:データのじかん編集部)
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