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日本の食料自給率という言葉を耳にしたことがある方は多いかもしれませんが、その具体的な数字や背景については意外と知らなかったりしますよね。
しかし、食料自給率は、私たちの毎日の食生活や将来の安心につながる、とても大切な指標です。日本の食料自給率はここ数十年で大きく低下しており、今や国際的にも低いレベルにあります。今回は、そもそも食料自給とはどんな指標なのか、そして、日本におけるその現状と背景をまとめていきます。
食料自給率は、計測方法によって種類が異なります。
一つ目が、カロリーベースの食料自給率です。これは、国内で消費される食料のうち、国内で生産された食料がカロリー換算でどれだけの割合を占めているかを示す指標です。言い換えれば、日本の国民が日々摂取しているカロリーのうち、どれだけが国内で生産された食料から供給されているのかを表します。
この指標は下記のように求められます:
1人1日当たり国産供給熱量/1人1日当たり供給熱量
カロリーベースの食料自給率は、主に国民の食生活における自給率を表すもので、全体のエネルギー供給に対する国内生産の貢献度を測ることができます。たとえば、米や小麦などの主要な穀物の自給率が高ければ、このカロリーベースの食料自給率も高くなる傾向があります。
一方で、肉や乳製品などカロリーが高い輸入食品が多いと、この自給率は低くなります。
もう一つが、生産額ベースの食料自給率です。この指標は、国内で消費される食料のうち、国内で生産された食料の金額が占める割合を示します。言い換えると、日本の食料消費に対して、国内生産が経済的にどれだけ寄与しているかを示すものです。
この指標は下記のように求められます:
食料の国内生産額 ÷ 食料の国内消費仕向額
生産額ベースの食料自給率は、経済的な視点から食料自給率を捉えるもので、特に国内農業がどれだけの経済的価値を持っているかを評価するのに役立ちます。たとえば、高価な輸入食品が増えると、生産額ベースの食料自給率は低くなります。逆に、国内産品が多く消費される場合には、この自給率が高くなります。
生産額ベースの食料自給率は、農業政策や国内市場の状況を理解する上で重要な指標です。経済のグローバル化が進む中で、日本の農業が国際市場でどのように競争力を持っているのか、そして国内市場でどれだけのシェアを確保しているのかを知ることができます。
これら2つの食料自給率は、それぞれ異なる視点から日本の食料供給状況を評価するための重要な指標です。カロリーベース食料自給率は、国民のエネルギー供給をどれだけ国内で賄えているかを示し、生産額ベース食料自給率は、経済的な視点から見た自給率を示します。
どちらの指標も、それぞれの側面から日本の食料安全保障を考える上で欠かせないものです。両方の指標を合わせて考えることで、私たちがどのように食料を生産し、消費しているのか、そしてそれが将来の日本の食の安全につながっているかをより深く理解することができます。
農林水産省のデータによると、日本の食料自給率の推移は以下のようになります。
戦後の日本において、食生活は豊かになりました。米と味噌汁が中心だった食卓に、パンや肉、乳製品が増え、バラエティ豊かな食事が楽しめるようになりました。しかし、その反面、国内で生産される食料の割合、つまり「食料自給率」はどんどん低下してしまいました。
グラフは、1965年から2022年までの日本の食料自給率をカロリーベースと生産額ベースで示しています。カロリーベース自給率は1965年の73%から2022年の38%まで、約半分に減少しました。これは、食生活の変化や農業の衰退によるものです。
この水準は主要諸国と比較しても非常に低い状態です。
一方、生産額ベース自給率は、カロリーベースより高いものの、同様に1965年の86%から2022年の58%まで低下しています。特に2020年以降、急激な低下が見られ、国際的な経済変動やコロナ禍が影響している可能性があります。
日本の食料自給率が低い理由は、いくつかあります。
まず、地理的な問題です。日本は山が多く、平らな土地が少ないため大規模な農業がやりにくいのです。また、戦後の経済成長に伴って、私たちの食生活が変わったことも影響しています。昔は米が主食だったのが、今ではパンや肉、乳製品が増えました。こうした食材の多くを輸入に頼っているため、国内での生産が減っていったのです。
さらに、農業を支える人たちの問題もあります。農業従事者の高齢化が進み、後継者がなかなか育たない現状があります。若い世代が農業を選ばない理由は、収入の不安定さや、重労働が原因と言われていますが、これが結果として食料自給率の低下につながっています。
日本の食料自給率は確かに低いですが、スマート農業の進化などそれを改善するための努力が今、さまざまなレベルで進んでいます。政府の政策や企業の取り組み、技術の発達によって少しでも国内で生産された食材を増やすために、一人一人が日本の食材に意識を向けて、日々の買い物や食事に生かしていく必要があるのかもしれません。
(大藤ヨシヲ)
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