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新体力テストを応用した「育成診断テスト」で子どもたちを救え! ドームが切り開く「スポーツ×テック」の可能性

         

50年間の体力測定データを活用した新しい試み

体力測定そのものは、日本の学校教育において約50年にわたり行われています。しかし、そのデータはあくまでも日本の子どもたちの成長を確認するためのもので、個人の体力運動能力向上やスポーツの育成やフィジカルトレーニングのプログラミングへの活用は行われていませんでした.

今回の育成診断テストのテスト項目は従来のものを応用し、かつドイツなどで行われているテストも加えています。一見すると新体力テストと大差なく見えますが、大きく異なるのは、データの切り口と見せ方です。

今回の測定結果はレーダーチャート形式で表示。そこに、子どものレベルだけではなく、これまで文科省が蓄積してきた50年にわたる体力測定の平均値が示されています。これにより、現在子どもが同年齢の子どもたちに比べ、どのくらいのレベルにあるのかが、各項目ごとにわかりやすく示されます。これまであまり活用されてこなかった、体力測定のビッグデータを十分に活用しているのが特徴です。

「育成診断テスト」の結果表
※このプログラムはいわきスポーツクラブアカデミーアドバイザー小俣よしのぶ氏とドームアスリートハウスが共同開発し、ウイングアーク1st株式会社の協力により、株式会社ドームがチームや連盟向けに提供しているITソリューションであるスポーツマネージメントプラットフォーム(SMP)で実現したもの

これまでは、体力測定の結果は「クラスで何番」「チーム内で何番」、あるいは全国や学区平均との比較というように、相対的な評価で終わることがほとんどでした。これでは、子どもたちの実際の体力運動能力レベルを知ることは不可能。しかし、今回のデータの見せ方により、子どもが得意とするもの、苦手とするものが視覚的にわかるため、改善点が見えやすくなります。

特に、今回の少年野球をやっている子どもたちは、身体形態は大きいが基礎筋力や特に柔軟性や可動性が低いという結果が多く見られました。この結果から「もうちょっと柔軟性や可動性を高める運動を取り入れよう」という考え方に至ることが可能になるのです。

このレーダーチャートの理想型は、円に近い形。足りない能力を伸ばし、円に近いレーダーチャートにするというトレーニングをすることが、重要なのです。

先ほど述べたように、体力運動能力の偏りを軽減することも目的のひとつですが、もうひとつの大きな目的が、「けがの軽減」です。

現在世界のスポーツ界で問題視されているのがアスリートのけが。一流のアスリートでもけがに悩まされています。けがの軽減というのは、すでに身体が出来上がっている状態では難しいこと。一番効果的なのは、子どものころからバランスのよい体力運動能力作りをすることです。

そのためにも、子どものころからさまざまな運動を行い、バランスのよい体力運動能力を養成し維持するのが重要。これがスポーツ選手の「長期育成」につながります。かつて東ドイツを中心に東ヨーロッパでは、この長期育成が行われていました。逆にアメリカや日本ではあまり取り入れられていませんでしたが、近年は長期育成への取り組みも行われつつあります。今回の育成診断テストは、まさにその長期育成のための取り組みなのです。

「スポーツ×テック」がトレーニングを大幅に効率化

今回の測定結果は、保護者や指導者に概ね好評のようです。レーダーチャートという視覚的にわかりやすく子どもの体力運動能力レベルを提示することで、どこを強化すればいいのかがわかるからです。

前回の測定後は、保護者や指導者の方々が友岡さんに熱心に質問している姿が見られました。その質問内容の大半が「どのようなトレーニングをしたらいいのか」というものです。

実際、友岡さんがさまざまなトレーニングについて実演を交えて解説を行いましたが、それでマスターするのはほぼ不可能。友岡さんも「その場で教えるのは難しい」と語ります。

「みなさんから、トレーニングのDVDはありませんか、本は出してないんですかという質問が多くありました。現時点ではそのようなコンテンツは提供していないのですが、そういうことも視野に入れています。ただし、DVDや書籍といった形式はもう古いかなと。現在ならば、ネットを通じて動画で配信するのがスマートではないかと思っています」(友岡さん)

この取り組みを実現するために生きてくるのが、冒頭で解説したSMPです。SMPというプラットフォームがあれば、チームの管理はもちろん、選手個人の体力測定の結果の管理、そして必要なトレーニングの提示までというのがすべてパッケージングされた統合サービスを提供することができるようになります。

「10年前だったら、子どものころにバランスよく運動させましょうと言っても、誰も関心を示さなかったんですよ。そんなことをさせるくらいなら、1球でも多く打たせて投げさせたほうが勝てるので。でも、今回このような取り組みをして、指導者の方が興味を持たれるというのが、すごい変化だなと思っています」(友岡さん)

現在、体力測定を行っている企業やメーカーなどはあるものの、その後の指導やトレーニングまでを包括的に行っているところは皆無。その上、SMPというプラットフォームも有しているドームは、未来の子どもたちのスポーツを変えることができるシステムを作り上げている国内唯一のメーカーということになります。

今回の育成診断テストでは、測定結果は紙に出力して渡していましたが、チームでSMPを導入すれば測定結果をSMP内で確認。そして必要なトレーニング動画も参照できるというように、スマホやタブレットですべて完結させることの可能となります。現状に比べかなりムダが省け、効率化されることでしょう。これこそが、「スポーツ×テック」の一番のポイントなのではないでしょうか。

 

日本スポーツ界の問題点は「低年齢特化」
一番重要なのは保護者の意識改革。普段の生活が重要

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