About us データのじかんとは?
「社会価値の創造」という企業理念の下、「スポーツを通じて社会を豊かにする」というミッションを掲げている株式会社ドーム。
そのミッションのためのひとつの施策として、小学生の硬式野球日本一を決める「全国小学生硬式野球交流大会アンダーアーマーカップ」を特別協賛。そして、大会期間中に希望するチームを対象に育成診断テストを行い、グラフ化し、トレーニングによる育成に活かすという取り組みを行っています。その模様はこちらの記事で紹介しております。
今回は、「ドームアスリートハウス」ジェネラルマネージャーの友岡 和彦さん、そして株式会社ドームのスポーツイノベーション部部長の池田 一昭さんに、この取り組みの意義や今後、「スポーツ×テック」が及ぼす影響について、お話を伺いしました。
ドームでは、スポーツチームの運営をサポートするツールとして、スマートフォン/タブレット用アプリ「SMP」(Sports Management Platform)の開発を行っています。
ドームがSMPの開発に至った背景には、日本のスポーツチームの運営を変えたいという想いがあります。
「日本のスポーツ界は、オンフィールドの経験者は豊富で、チームやアスリートのパフォーマンスの改善、能力の向上を得意としています。一方、オフフィールドに関しては、改善の余地が大きいのが現状です。たとえば、チーム内での連絡には電話やメール、LINEを使い、データの管理はエクセルで、そしてスケジュール管理はマネージャーがホワイトボードや手帳で管理するというように、使っているツールがバラバラで一元管理ができていない状態です。チームの管理はいわゆる組織管理です。それを円滑にするためにはITを活用した統合的な解決策が有効というところから、SMPの開発が始まりました」(池田さん)
チーム内の情報の一元管理。それがSMPの主な機能です。チーム全体の運営管理に加え、チームを構成する一人ひとりの属性情報を管理するという仕組みです。
チーム運営のパフォーマンスを向上させるだけでなく、選手一人ひとりのパフォーマンス向上においても、SMPを活用する。その試みの1つが、今回の体力測定なのです。
今回実施された育成診断テストの詳細については、こちらの記事で詳しくご紹介しております。
このテストを行った友岡さんは、現在の日本のスポーツ界の「低年齢特化」にともなうさまざまな弊害に危機感を感じ、このプロジェクトを立ち上げたと言います。
「日本での傾向として、幼いころからひとつのスポーツの特化したトレーニングを行ってきた結果、16歳くらいまでは能力が伸びるんですが、その後が頭打ちになってしまいます。小さいころに早く体を作りすぎた結果、動きのキャパシティやバリエーションがなくなってしまいます。また、15、16歳で成績が伸びなくなるという現象が起きると、精神的にダメージを受けてしまい、競技からドロップアウトしてしまうという例も多く見られます」(友岡さん)
小さいころからひとつのスポーツばかりをやらせる、いわゆる英才教育を施した結果、小中学生の段階では世界レベルで通用するけれども、それ以降は成績が伸びない。それが今の日本のスポーツ界だということです。野球、サッカー、陸上など、あらゆるスポーツでこのような現象が起こっています。
実際、平成30年10月7日にスポーツ庁より報道発表された「平成29年度体力・運動能力調査の結果について」によると昭和60年度の調査結果と比較できる今回のテスト項目(握力/反復横とび:小学生のみ/持久走:中学生のみ/50m走/ボール投げ)について、昭和60年度の平均値以上の児童生徒の割合を調査したところ、一部を除き、児童生徒の半数以上が昭和60年度の平均値を下回っています。子供たちの体に関して、見逃せない変化が見られるようです。
そこで重要になるのが、子どものころの運動体験です。さまざまな運動を行うことで、運動器だけではなく感覚機能にも刺激を与えることが重要なのです。
最近では、タワーマンションの高層階に住む子どもは、学力や体力運動能力が低下しているという現象も起きているといいます。これは、変化の少ない環境にいることで、運動不足に陥ったり、感覚機能が育たなくなってしまうのです。
また、現在行われている体力測定のあり方にも疑問を持っています。
「現在の子どもたちのなかには、12歳でもスキルレベルが16歳という場合があります。しかし、スキルレベルが16歳だからといって、16歳と同じフィジカルトレーニングや練習負荷を与えてはいけません。技術レベルは16歳でも、エネルギー系体力レベルは12歳ですから」(友岡さん)
そのために必要なことは、その子どもの現在の体力運動能力は何歳のレベルなのかを知ること。これらを知ることができれば、そのレベルにあった適切なフィジカルトレーニングや育成が行えるようになる。そのようなことを目指して、今回の育成診断テストが実施されたのです。
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