前回行った測定が初の試み。今後はこの取り組みをどれだけ継続していけるか、そしてさまざまなスポーツに拡大していけるかがポイントとなります。
現時点では、ドームが関係している少年野球の連盟を中心に、定期的な測定を行い、子どもたちの体力運動能力向上に寄与していきたいとのこと。
「この測定会は、定期的に行って自分のレベルがどのように変化しているかを観測していくことが重要です。そのためには、3ヶ月に1回、年に4回行うのが理想的です。最低でも年に2回行いたいですね。測定→トレーニングを繰り返すことで、どれだけ自分の体力運動能力が向上し、レーダーチャートが円に近づいているのかを確認でき、モチベーションの維持にもつながります」(友岡さん)
そして前述のように、SMPを介してトレーニングの動画を配信するシステムが作れれば、SMPを使って測定結果の管理からトレーニングまでを一貫して行えるようになります。これらの一連のサービスを一般公開し、有料で提供する仕組みを作り、持続可能なビジネスにつなげていければという想いもあるようです。
「これまでは、個人の感情がメインで、これが好きだからやる、これは嫌いだからやらないという感じでスポーツが行われてきました。しかし、現在は自分のことを客観的に知ることができるようになりました。自分の体力運動能力レベルをレーダーチャートで見られれば、自分が何が足りないのか、何をすればいいのかがわかるようになります。今までは隣のやつに勝てばいいという感じでしたが、今後は客観的な指標で努力することができるようになります」(池田さん)
得意なことばかりやるのではなく、苦手なことを克服してバランスのよい体力づくりをすることで大きく育つという知識を持つ。そんな風に子どもたちも、指導者や保護者も意識が変わっていくのが理想です。
このプロジェクトはこれまでの日本のスポーツトレーニングを大きく変えるものであると同時に、子どもたちが長い人生を健やかに過ごすためにも必要であるという想いが強くなりました。
ただし、この取り組みを一番理解し実行しなくてはいけないのは、保護者や指導者たちです。測定により得られたデータを基にトレーニングプログラムを一人ひとりに作ることはもちろん必要です。しかし、それよりも重要なのが普段の生活です。
友岡さん曰く
「例えば、姿勢が悪い子どもに姿勢を正すトレーニングをしても、そのトレーニングをしている10分間だけは姿勢がよくなります。しかし、トレーニングをしてない23時間50分で姿勢が悪ければ意味がありません。一番重要なのが、保護者の方々が気を配り、質のいい生活を送らせることなのです」
とのこと。特定のスポーツに偏った体力運動能力以前に、基礎体力運動能力を向上させる時期の子どもたちにとっては、普段の生活が重要です。
これから、このドームの「スポーツ×テック」の取り組みがどのようにスポーツ界、そして日本の教育界へ浸透していくのか、データのじかんでは追い続けていきたいと思います。
(取材・TEXT:三浦一紀/PHOTO:Inoue Syuhei/企画・編集:野島光太郎)
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