近年、同性婚や夫婦別姓といった結婚にまつわる議論が加速しています。実際に、今年の6月には野党3党が「同性婚を認める法案」を提出するなど、婚姻制度について法律を含め考え直す流れも。
日本において婚姻制度のあり方が問われるようになった背景には、人々の結婚観の多様化が大きな要因として挙げられます。
そこで今回は、内閣府が行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を基に日本の若者たち結婚観の特徴を探っていきます!
「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」は、内閣府が日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7ヶ国の若者を対象に行ったアンケート調査です。
今回、サンプルとして各国、満13歳から満29歳までの男女約1000人を対象に行われました。平成30年の11〜12月にかけて行われた調査の結果、有効な回答数は各国以下の値だったそうです。
国 |
日本 |
韓国 |
アメリカ |
イギリス |
ドイツ |
フランス |
スウェーデン |
有効回答数 |
1134 |
1064 |
1063 |
1051 |
1049 |
1060 |
1051 |
野党によって提出された「同性婚を認める法案」では、同性婚の法制化や同性婚カップルへの特別養子縁組の認可だけでなく、「夫」や「妻」、「夫婦」を「婚姻の当事者」、「父」や「母」を「親」のように婚姻関係や家族関係を表す文言を性中立的なものに改正するという提案も盛り込まれています。
共働き家庭が急増し、家庭の中での家事・育児・仕事の役割分担のパターンが多様化する中で、家事育児は母親が、仕事は父親が、というワンパターンの役割分担の家庭のみを想定した旧来的な婚姻制度に一石を投じたこの法案は実際に多くの若者たちの考え方の変化を反映したものでした。
例えば、「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」における、「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ、という意見にあなたは賛成ですか、反対ですか。」という設問の回答からは、多くの日本の若者たちが旧来の画一的な役割分担に疑問を呈していることがわかりました。
まず、日本は、「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」という考え方に「賛成だ」と回答した比率が最も低く14.9%、「わからない」と回答した比率が最も高く36.9%という結果になりました。特に「わからない」という回答は、他国と比較しても高い水準となっています。一方で、「反対する」と回答した割合は7ヶ国の中で最も低い48.7%となりました。
また、トランプ政権の大きな後押しとなった保守主義が台頭するアメリカでは、「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」という考え方に「賛成だ」と回答した比率が7ヶ国で最も高い、35.7%になるなど、各国の情勢がよく現れています。
続いて、国内における男女の役割分担への考え方の変化を見てみましょう。「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」という考え方についての賛否を平成25年と比較してみると「反対する」と回答した割合は増加しているのに対し、「反対する」と回答した割合は減少しています。したがって、この5年間で見ても男女の役割分担に対する画一的な考えに反対の意見を持つ若者が増えていると考えられます。
さらに、「子供が小さいときは、子供の世話は母親がするべきだ、という意見にあなたは賛成ですか、反対ですか。」という設問の回答でも日本は「わからない」の回答の比率が7カ国で最も多くなりました。
また、この項目では、欧州各国で「賛成する」という回答の比率が35%以上と比較的高い水準になっており、特に女性のパートタイマーの比率が高いドイツでは、53.3%と半数以上を占めました。
一方で「賛成する」が最も少なかったのは、韓国でした。この数年、フェミニズム文学の台頭など、女性の権利の拡大についての議論が盛んに行われている韓国。実際この5年間で、「子供が小さいときは、子供の世話は母親がするべき」という考え方に賛成する若者の割合は20%以上減り逆に反対する若者は20%以上増加しています。
同様の傾向は日本でもみられ、この5年間で比較すると「賛成する」は6%減少、逆に「反対する」は6%減少しています。
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