ハイプサイクルとは調査会社ガートナーが作った造語で、新技術の需要が生まれ衰退していくまでの流れを表すサイクルのことです。かつては技術の採用度を調べるための目安として用いられましたが、現在では市場動向を探り投資の時期を見逃さないための基準として用いられる機会が多くなっています。
ハイプとは「誇大な宣伝」を意味する単語です。
現代では宣伝活動を拡大すれば、採用実績や有効性が低い技術でも中身が伴っているように見え、採用検討の際に多くの投資家を悩ませます。そこで、技術がどれだけ世間に受け入れられているかの基準を明確にすることで、投資を確実なものにしようという動きが生まれました。結果、開発されたのがハイプサイクルです。
ハイプサイクルは「黎明期」「流行期(「過度な期待」のピーク期)」「反動期(幻滅期)」「回復期(啓蒙活動期)」「安定期」の五段階で新技術の採用度を判断します。黎明期において技術は徐々に浸透し、流行期でピークを迎えます。
その後、世間に知られたことによって反動期で批判を受け人気は低迷しますが、中身の伴った技術は回復期を迎えて安定期に入ります。投資家たちは、現在話題になっている技術がハイプサイクルのどの時期にあたるのか、そして人気が安定する可能性はあるのかを見極めながら投資を行います。流行期を迎えられない技術や反動期に入ったまま浮上できない技術も存在するので、現状分析と共に先見の明を持つこともポイントとなります。
ハイプサイクルを定めるための要因はさまざまです。
そのうちの一つがビッグデータです。ビッグデータとはコンピュータ活動のあるところに必ず集積される膨大なデータの集合体です。たとえば、商品を販売している企業であれば消費動向はデータ化されてコンピュータに蓄積されていきます。ハイプサイクルを知るためにはビッグデータをもとにして、市場の傾向を分析することが重要です。
しかし、ここで問題になるのはあまりにも膨大なデータ量です。市場が広がれば広がるほどビッグデータは巨大になり、人間の知能では解析が困難になっていきます。そこで注目されているのがAIをビッグデータ解析に導入する方法です。
これまでAIは市場調査などの精密で先読みが必要な作業が任せられるか不安視されていました。しかし、近年の急速な発達のおかげで市場調査には欠かせないツールへと変わりつつあります。高い精度のハイプサイクルはターゲットとなる技術のクオリティを見抜き、投資の成功へと導いてくれます。AIは複雑な計算や分析に役立つと期待されています。
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