カテゴリー
キーワード

デバイス側で処理を行うことで高速化・安定性アップを実現させるエッジプロセッシングとは?

         

昨今ニュースなどでよく耳にするバズワードと言えば、クラウドやIoTやMaaSなどがありますが、IoTの技術の1つとしてエッジプロセッシングという単語を耳にする機会が最近増えてきています。

では、一体エッジプロセッシングとはどのようなことなのでしょうか?

この記事では、

  • エッジプロセッシングとは
  • エッジプロセッシングの可能性
  • エッジプロセッシングの例

などの概要が網羅された記事になっています。ぜひ最後までお付き合いください!

エッジプロセッシングとは

エッジプロセッシングとは、データの集約、データ操作、帯域幅削減、およびその他のロジックの実行を直接、IoTセンサーまたはデバイス上で実行することをいいます。過去に何度か記事として取り上げたことがあるエッジコンピューティングにおいて実際に処理を行うプロセスのことを指します。

「エッジ」とは、データの近くに存在するコンピューティングインフラストラクチャー、例えば産業用機械(風力タービン、磁気共鳴(MR)スキャナ、海中吹き出し防止装置)、SCADAなどの産業用コントローラシステム、時系列データベース、などを指します。

エッジコンピューティングデバイスは通常、クラウドで利用可能な集中型コンピューティングから離れたところに存在していますが、基本的な計算をできるだけデバイスでできるようにします。

すると、デバイスはクラウドサーバー用の自然なフォーマットに変換して適切な通信プロトコルを実装することができ、クラウド側で行う作業を少なくすることができます。

エッジプロセッシングとデータフィルター

エッジプロセッシングは、IoTデバイス自体で処理を行うため、全てのデータをクラウドに送信する必要がない、という特徴があります。クラウドサーバーを必ず介する必要がある場合、接続回線に問題が起きた場合などの対応が困難です。また大量のデータをクラウドサーバーと常にやりとりする必要もあり、これは必ずしも長所とはならない特性です。

例えば、スマートフォンで自宅の照明の操作ができるアプリを使っていた場合に、誰も操作をしていないはずの自宅で、1分ごとに電気が付いているかどうかの確認をするためにデータのやりとりをする必要はありません。この場合、ONとOFFの際にだけデータを送ってくれるようにデバイスを設定することで、クラウド側が受け取るデータ量が少なくなり、処理が少なくて済みます。

エッジプロセッシングの可能性

エッジプロセッシングにより一部の負担が減らせることはわかりましたが、エッジプロセッシングが普及することで、他にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

プライバシー


エッジプロセッシングが進むことで送るデータが少なくなります。

これはプライバシーの観点からいって良いことと言えます。個人の利用でいえば別にデータの漏洩などは気にしないかもしれませんが、インフラや産業のプロセスの中でプライバシーが守られて処理が早くなるというのは魅力的です。

帯域幅


エッジ処理はネットワーク帯域幅にも影響します。デバイスがその情報を送信する前に多大な負担をかける可能性がある場合、デバイスが生成するデータ量を減らす機会があります。本来複雑なものをデバイスが処理をしてくれるだけで削減されます。

データフィルター


前述の照明の例がわかりやすいかと思いますが、どのデータをクラウドに送信して、どのデータをエッジプロセッシングで処理するのかを明確にしておくことで、送信するデータのフィルタリングを行うことができます。センサーが正常に機能しているかどうかの確認をデバイス側で行い、5分前にオフだった照明が今もオフですよ、という情報がわかったとしても、この情報はクラウドにあげる必要はありません。簡易的なものですが、エッジプロセッシングはデータフィルターとしての機能も有しています。

エッジプロセッシングの例

エッジプロセッシングの例として自律型自動車があります。

今の車には目の前にモノが現れたときに自動的にストップしてくれる機能がついているものがあります。こういった機能はクラウドにすべて依存をしていると安全とはいえず、非現実的であることがわかります。

例えば、運転中にボールを追いかけて道路に飛び出してしまった子どもが目の前に現れたとします。前の前に子どもがいるかどうかのデータをクラウドに送り、処理をして、信号を返し、ブレーキをかける。この瞬間に少しでも通信が滞ってしまった場合どうなるでしょうか?ブレーキをかけるタイミングが遅れてしまい、事故が起きてしまう危険性は否定できません。

エッジプロセッシングを使い、処理を各デバイスで行うことで、瞬時に判断する必要がある場合にも対応できるようになります。

終わりに

この記事では、エッジプロセッシングとは何かについて簡単に説明してみました。エッジプロセッシングやエッジコンピューティングはフォグコンピューティングとも似ていますが、全く同じではありません。その違いについて知りたい方はこちらの記事をどうぞ。スマート掃除機の例を出してとてもわかりやすく解説されています。

エッジプロセッシングはエッジコンピューティングとほぼ同意義で使われることが多い用語です。エッジプロセッシングを使えば、データのやり取りを減らすことができ、ネットワークにかかる負荷を減らしながら、より複雑な処理をより高速に、かつ安定して行うことが可能となる、と覚えておいてください!

参考URL
・What is Edge Processing anyway? | SKKYNET JAPAN
・Thoughts on Edge Processing for the IoT | Cloud Technology Partners

(桑折和宗)

 

メルマガ登録をしていただくと、記事やイベントなどの最新情報をお届けいたします。


データ活用 Data utilization テクノロジー technology 社会 society ビジネス business ライフ life 特集 Special feature

関連記事Related article

書評記事Book-review

データのじかん公式InstagramInstagram

データのじかん公式Instagram

30秒で理解!インフォグラフィックや動画で解説!フォローして『1日1記事』インプットしよう!

おすすめ記事Recommended articles

掲載特集

デジタル・DX・データにまつわる4コマ劇場『タイムくん』 データのじかんをもっと詳しく データのじかんフィーチャーズ 「47都道府県47色のDXの在り方」を訪ねる『Local DX Lab』 DXの1次情報をを世界から 『World DX Journal』 データで越境するあなたへおすすめの 『ブックレビュー』 BIツールユーザーによる、BIツールユーザーのための、BIツールのトリセツ CIOの履歴書 by 一般社団法人CIOシェアリング協議会 なぜ、日本企業のIT化が進まないのか――日本のSI構造から考える 日本ビジネスの血流である帳票のトレンドを徹底解説 データを武器にした課題解決家「柏木吉基」のあなたの組織がデータを活かせていないワケ BI(ビジネスインテリジェンス)のトリセツ 入社1年目に知っておきたい 差が付くKPIマネジメント CIOLounge矢島氏が紐解く トップランナーたちのDXの“ホンネ” データのじかん Resources 越境者のためのお役立ち資料集 AI実装の現在地点-トップITベンダーの捉え方 データでビジネス、ライフを変える、 面白くするDATA LOVERS データマネジメント・ラジオ by データ横丁 データのじかんNews データ・情報は生もの! 『DX Namamono information』 ちょびっとラビット耳よりラピッドニュース AI事務員宮西さん(データ組織立ち上げ編) 藤谷先生と一緒に学ぶ、DXリーダーのための危機管理入門 生情報取材班AI時代に逆行?ヒトが体感した「生情報」のみをお届け! データはともだち 〜怖くないよ!by UpdataTV Original データ飯店〜データに携わるモノたちの2.5thプレイス by UpdataTV〜 インサイトーク〜データで世界を覗いてみたら〜by WingArc1st + IDEATECH
モバイルバージョンを終了