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ここで、「日本で積極的にゾンビ映画が製作されるようになった要因」について考察してみたいと思います。
まず、内的な要因として「コストの低さ」が考えられます。
ホラー映画を製作しようとするときに半透明の幽霊や、巨大な体格のフランケンシュタインなどを表現するときとは異なり、ゾンビの仮装はかなり安価にすみます。ある程度のエキストラが確保できれば、彼らに特殊メイクを施し、あのゾンビ特有の動きをさせるだけで、ゾンビ映画の最も大切な要素をクリアすることができ、撮影に入ることができます。
この「インスタントさ」が、チープな自主製作から大規模なメジャー映画まで幅広いクオリティのゾンビ映画が作られるようになった要因の一つでしょう。ちなみに、簡単にできるゾンビメイクの方法はこちら。
また、外的な要因としてシネコンの設立とDVDの登場があります。シネコンとは、シネマコンプレックスの略称で、一つの映画館に複数のスクリーンがあるような映画館のことを指します。1993年に日本で初めてのシネマコンプレックスが設立されてから、スクリーン数は現在に至るまで増加しており、ゾンビをはじめとする多種多様なジャンルの映画が公開される幅が生まれました。
また、2000年代以降レンタルビデオ店がビデオテープから幅を取らないDVDレンタルへの移行が始まり、DVDコンテンツの需要がこの時期に高まったということもあります。
このようにして、もともと安価に製作しやすかったゾンビ映画はシネコンやDVDの登場という時代の流れに乗ることで、急激に増殖していくことになったのです。
ゾンビを利用したまちおこしに成功している自治体も出てきました。佐賀県の唐津市は、ゾンビと化した少女たちがアイドルとなり地域をPRするアニメ『ゾンビランドサガ』(2019)の“聖地”として注目されています。
アニメのゆかりのある土地を実際に訪問することを「聖地巡礼」と呼びますが、唐津市は特に聖地巡礼によるPRを積極的に行っている自治体です。西日本新聞の記事によれば、2016年には『ユーリ!!! on ICE』というアニメ作品の聖地として様々な企画を立ち上げ、およそ4億円の経済効果があったといい、それに続く企画として『ゾンビランドサガ』が挙げられたのだといいます。
作中には「旧三菱合資会社唐津支店本館」(市歴史民俗資料館)をはじめとする歴史ある建築物が登場し、平日にもかかわらず訪れる観光客がいるとのこと。確かに「アニメ」や「アイドル」といった要素に惹かれて訪れていることは否めませんが、それ以上にアニメのキャラクターが「ゾンビ」であることが受け入れられているということが興味深いです。
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