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2020年のクリスマス商戦はどうだった? データをもとに振り返る

         

昨年(2020年)12月は、コロナ禍での初めてのクリスマスでした。外出自粛が国民に浸透し、経済が一気に冷え込んだように思えます。しかし、データをもとに分析すると、面白い事実が見えてきました。今回は、クリスマス商戦におけるデータを中心に見ていくことにします。

贈り物の市場規模は大きな変化なし!?

まずは2020年の全体のギフト市場規模から。矢野経済研究所によれば、ギフト市場規模推移・予測において2020年は9兆8840億円(見込み)。2019年が10兆6917億円であり、2020年比で約8000億円の減少額となっていますが、例えば、2016年は10兆1681億円であり、2020年とさほど変わらないことがわかります。この調査は贈り物の市場規模であり、ステイホームの有無に関係なく一定の市場規模を形成していたものと思われます。

一方、クリスマス時期の市場規模を見てみましょう。同研究所「ギフト市場白書2020」によれば、2020年のクリスマスのギフト市場規模は推計5800億円(見込み)。母の日のギフト市場規模が4300億円、バレンタインは1520億円とあるので、やはりクリスマスには一定の消費行動が見られることがわかります。2021年の白書はまだ出ていませんが、新型コロナウイルスの第5波の影響が、ギフト市場にどのように影響を及ぼすのか非常に気になるところです。

一方でクリスマスシーズンの過ごし方には変化が!

続いては、クリスマス時期の消費者行動について見ていきましょう。

クレオ調べ「クリスマスに関するアンケート」によれば、2019年に比べ2020年は「自宅でクリスマスケーキを食べた」「自宅でホームパーティをしたり、ごちそうを食べた」人が増えた一方、「外食をした」「クリスマスのイベントに参加した」人は減少しています。外食をせず、自宅で過ごした人が多かったことがわかり、新型コロナウイルスの影響が如実に表れている結果となっています。なお、「クリスマスイルミネーションを見に行った」人も減少しており、人混みを避け外出自粛をした人が多かったことがわかりました。

こんなデータもあります。(株)NKB 調べによる「2020年クリスマスシーズンの過ごし方に関する意識調査」では、おうちで過ごす意向を示した人に、過ごし方に関する調査(複数回答)を実施しています。これによると、「テイクアウトで豪華なおうちご飯」を楽しむ人が29.5%、「料理、スイーツを手作り」する人が27.5%とあり、外食ではなくテイクアウトや手料理を楽しんだ人が多かったようでした。事実、フラーが調査したフードデリバリー系月間利用者数(MAU)上位5アプリの推移では、2020年12月には前月比47.8%増と大きく拡大していることがわかります。このことから、デリバリーサービスを利用してクリスマスを過ごした人が多かったものと推測できます。

ケーキにまつわるエトセトラ

ところで、クリスマスといえばクリスマスケーキ。

ケーキにも様々な種類がありますが、オーソドックスなケーキといえば、いちごのショートケーキですね。いちごの旬は春ごろですが、クリスマスシーズンに需要が高まるものと想像できます。実際のところ、一年を通していちごの入荷量はどうなっているのでしょうか。

出典:いちごの需給動向 | 独立行政法人農畜産業振興機構(alic)

alic(独立行政法人 農畜産業振興機構)の資料によれば、東京都中央卸売市場の平成29年の「いちごの月別入荷実績」を見ると、いちごの旬の時期である3月にピークを迎えていることがわかります(約5300トン)。その一方で、12月は約2300トンとなっています。6月~10月にほとんど入荷実績がないことを鑑みると、やはりクリスマスシーズンにいちごの需要が高まっているのがわかりますね。ちなみに大阪中央卸売市場の同調査も同じように12月に需要が高まっていることが明らかになっています。

そのような中、このようなデータも。ある記事では、1都1府6県(東京・神奈川・千葉・埼玉・山梨・静岡・京都・大分)のコンビニ・スーパーなどのべ134店舗における、2020年12月24日夜および25日夜のクリスマスケーキの売れ残り調査を行っています。両日における19時のケーキの売れ残り数は、24日が1148個、25日が362個でした。多かったのが某スーパーで、24日の20時ごろと25日の20時の時点で、合計364個が売れ残っていたそうです。

この調査の主催者は2019年にも31店舗を調査しており、単純に比較はできませんが、2019年と比較して2020年はスーパー・コンビニとも、店舗によっては入荷を抑え目にしているところも見られたと言います。対して、夕食時間帯を過ぎた20時ごろでも相変わらず売れ残ったケーキが陳列されているところもあり、食品ロスの対応が今後の課題と見ることができます。例えばコンビニエンスストアチェーンのローソンは、余剰のクリスマスケーキをこども食堂や福祉施設に寄付する取り組みを実施しており、こうした取り組みがほかのコンビニや業態に広まっていくのが望ましいと思われます。

今年も主流は「おうちで楽しむ」!?

以上、クリスマス商戦に関するデータをいくつか見てきました。

2020年および2021年は新型コロナウイルスの影響があり、通常のデータと比較する際には注意が必要です。とはいえ、「おうちで楽しむ」人が増えるなど、新しい生活様式を反映したものとなっており、大変興味深いものになっていると思います。

さて、今年はみなさまにとってどんなクリスマスになるのでしょうか?みなさまにとって素敵なクリスマスになりますように!

【参考文献】
・ ギフト市場に関する調査を実施(2020年) | 矢野経済研究所
・ クリスマス特集 | GiftNet
・ クリスマス調査~2020年クリスマス結果と2021年のクリスマスの過ごし方予測~ | KREO
・ 2020年クリスマスシーズンの過ごし方に関する意識調査 | NKB INC
・ フードデリバリーアプリ利用、2強以外も急増 | 日本経済新聞
・ いちごの需給動向 | 独立行政法人農畜産業振興機構(alic)
・ 2020クリスマスケーキの食品ロスは?コンビニ・スーパー134店舗、大学生が調査 | Yahoo!ニュース

(安齋慎平)

 
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