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個人データを銀行に預ける時代がやって来る!?「情報銀行」は誰にとってメリットをもたらすのか?

         

先日開催されたMyData Japan 2018ではホットワードの一つとなっていた「情報銀行」という言葉ですが、あまり耳にしたことがない方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、そもそも「情報銀行」とは何なのか?どんな役割を果たすものなのか?誰にとってメリットをもたらすのか?

その辺りを中心にご紹介してみたいと思います。

そもそも「情報銀行」とは何なのか?

平成29年3月に政府のデータ流通環境整備検討会による中間取りまとめでは以下のように定義されています。

“情報銀行(情報利用信用銀行)とは、個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS等のシステムを 活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示又は予め指定した条件に基づき個人に代わり 妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業。” 

例えば、情報銀行は、N氏から預かったN氏本人に関するデータ(例:位置情報や買い物履歴、健康データなど)を管理し、N氏に代わって第三者(他の事業者)に提供するビジネスです。提供先や活用目的など、N氏の意思を反映(自己情報コントロール)できることがポイントとなります。

これによりN氏は、他の事業者へ自ら情報を提供することなく、提供先の事業者からパーソナライズドサービスといった便益の提供を受けることが可能になります。

大まかな流れはこうです。

① 収集・集約:購買履歴や位置・移動情報、健康状態などの個人データが収集されます。

② 預託:情報銀行は、個人との契約などに基づき、個人データを預かります。

③ 蓄積・管理:情報銀行は預かったデータを安全に保管・管理します。

④ 提供の判断:情報銀行は、個人の判断に応じて、または、提供したデータがもたらす影響に配慮した上で個人に代わって判断して、第三者(他の事業者)に提供します。

⑤ 便益の還元:個人には、提供先の事業者からデータ提供によって得られる便益や、情報銀行がデータ提供によって得た便益の一部が還元されます。場合によっては社会にのみ還元されることもあります。

なぜ今情報銀行が必要だと言われているのか?

IoT技術の進化や、人口知能(AI)の進化により、大量のデータが日々生み出されています。ですが、これらのデータは、活用するにあたって本人の同意が必要となる個人情報を含む場合があります。自分のデータがどのように活用されるのか、というのは多くの人が漠然とした不安を感じている、というのが情報銀行の概念にたどり着いた背景にあります。またデータの提供を求めている側も、大量のデータを求めている場合、一人ずつから本人同意を得る手間をかけることは現実的ではありません。また、データといえば、これまではそれぞれの事業者が自社で活用するために収集したものであり、第三者による二次利用は視野に入れられていませんでした。それをそのまま他社に提供したところで、データ形式の互換性などの問題も発生します。

これらの問題を解決し、人の暮らしや社会をより豊かにすること、企業が新しいサービスを生み出すことを目指して、データの流動性を高めるPDS(Personal Data Store)といった仕組みの検討や、情報銀行といった事業の概念が生まれました。

考えうる問題点

データの流動性が実現されれば、メリットが大きいであろうことは想像に易しく、医療・ヘルスケア、観光、人材などさまざまな分野での活用が期待されます。しかし、データを預ける側の視点に立つと、自分の個人情報がどう扱われるのか、誰に提供され、何に使われるのか、果たして自分のプライバシーは保護されるのか、悪用される可能性はないのか?と漠然とした不安材料は数多くあります。

これに対しては、セキュリティ対策を含め、データを管理する側がいかにして個人からの信頼を勝ち取れるかにかかっている部分も少くないないでしょう。情報銀行を誰が運営するのか、情報銀行は政府機関となるのか、または民間企業なのか、なども論点となりそうです。

ただ一つだけ確かなことは、一人ひとりが、自ら生み出すデータとどのように接していくのかを意識的に考え、決断を下さなくてはならない時代がすぐ目の前まで迫って来ている、ということではないでしょうか。

「情報銀行」についてあなたはどんな風に感じていますか?情報銀行は必要ですか?情報銀行が当たり前に存在する時代が来ると思いますか?そうなった場合、自分の情報の管理を情報銀行に預けますか?情報銀行は私たちの暮らしをより豊かにしてくれますか?

そんなことについてそろそろ考え始める時期に来ているのかも知れません。

(データのじかん編集部)

 
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